「ジムで上級者が巻いてる、あのゴツいベルトって一体何なんだろう…?」
「リストストラップ?パワーグリップ?グローブ?種類が多すぎて、どれを買えばいいか全然わからない…」
「まだ重量も扱えない初心者なのに、ギアとか使うのって、ちょっと恥ずかしいかな…?」
勇気を出してジムに入会し、トレーニングを始めたあなた。
周りを見渡すと、ベテラントレーニー達が様々な「ギア(道具)」を身につけているのを見て、こんな風に感じていませんか?
「ギアは上級者が使うもの」「まだ早い」と考えるのは、筋トレ初心者の方が陥りがちな**最大の誤解**の一つです。
結論から言えば、ギアは「恥ずかしいもの」でも「ズル」でもありません。
あなたの体を怪我から守り、トレーニングの効率を爆上げするために、初心者こそ最初から使うべき「賢い投資」なのです。
この記事では、なぜギアが必要なのかという根本的な理由から、初心者が無駄な買い物をしないために「まず最初に揃えるべき必須ギア4選」を優先度順に徹底解説します。
もうジムで「これ何だろう…」と迷うのは終わりです。

この記事でわかること
- なぜ筋トレにギア(道具)が必要なのかという2つの重要な理由(怪我予防と効率化)
- 筋トレ初心者が「まず最初に」揃えるべき必須ギア4選の優先順位
- 各ギア(シューズ・ベルト・ストラップ)の具体的な選び方と、いつから使い始めるべきか
なぜ筋トレに「ギア」が必要なのか?根性論では怪我をする
「道具に頼るな、根性で上げろ」と考えるのは、非常に危険な精神論です。
筋トレにおけるギアは、あなたの「努力」を最大化し、「リスク」を最小化するために存在します。
その役割は、大きく分けて3つあります。
① パフォーマンスの向上(扱える重量が物理的に変わる)
ギアは、あなたのパフォーマンスの「ボトルネック」を解消してくれます。
例えば、背中を鍛えるデッドリフトや懸垂。
多くの初心者は、背中の筋肉が疲れる前に、重りを掴んでいる「握力」が尽きてしまいます。
これは非常にもったいない。
リストストラップというギアを使えば、握力を補助できるため、背中の筋肉を限界まで追い込むことができ、成長が加速します。
② 怪我の予防(関節・靭帯・皮膚を物理的に守る)
これが、ギアを使う最大の理由です。
特にスクワットやデッドリフトで高重量を扱うようになると、腰(腰椎)には強烈な負荷がかかります。
パワーベルトは、腹圧を高めて体幹をガチガチに固定し、腰椎を物理的に守る「鎧」の役割を果たします。
トレーニングシューズは、あなたの体全体を支える「土台」を安定させ、バランスを崩して関節を痛めるリスクを減らします。
怪我をしてトレーニングができなくなっては、元も子もありません。
③ モチベーションの向上(「形から入る」ことの重要性)
お気に入りのウェアを着ると気分が上がるように、専用のギアを揃えることは、トレーニングへの「スイッチ」を入れる重要な儀式になります。
「形から入る」ことは、決して悪いことではありません。
ギアを装着することで「今日もやるぞ」という覚悟が生まれ、結果としてトレーニングの質と継続率が向上します。
【優先度順】初心者がまず揃えるべき「必須ギア」4選
とはいえ、いきなり全てを揃える必要はありません。
ここでは「本当に必要なもの」を、初心者が揃えるべき優先度順に紹介します。
【優先度:S】① トレーニングシューズ(全ての土台)
最優先で買うべきギアです。
ジムでよく見かける「ランニングシューズ」での筋トレは、実は非常に危険です。
ランニングシューズは「走る衝撃」を吸収するため、ソールが柔らかくフワフワしています。
その上でスクワットを行うと、土台が不安定になり、バランスを崩して膝や足首を痛める原因になります。
筋トレ(特にフリーウェイト)には、ソールが平らで硬い、「フラットソール」のシューズが絶対に必要なのです。
【優先度:A】② パワーベルト(腹圧で腰を守る)
シューズと並んで重要なのが、腰を守るベルトです。
高重量を扱う時、人は息を吸い込み、お腹をパンパンに膨らませる「腹圧」を使って体幹を固定します。
パワーベルトは、この腹圧が外に逃げないように「壁」となり、あなたの体幹を鉄の筒のように固めてくれます。
これにより、腰椎への負担を劇的に減らし、怪我のリスクを最小限に抑えることができます。
【優先度:A】③ リストストラップ(握力の限界を超える)
背中のトレーニング(デッドリフト、懸垂、ラットプルダウン)で、誰もがぶつかる壁が「握力」です。
背中の筋肉はまだ余裕があるのに、先に指が開いてバーを握っていられなくなる…。
リストストラップは、この問題を一発で解決します。
手とバーを文字通り「巻きつける」ことで、握力をほぼ使わずに、鍛えたい背中の筋肉を限界まで追い込むことを可能にします。
【優先度:B】④ トレーニンググローブ(手のマメ防止)
優先度はAの3つより下がりますが、快適性を求めるなら重要です。
バーベルやダンベルを握り続けると、手のひらにタコやマメができます。
グローブは、これを防ぎ、滑り止めの役割も果たします。
(ただし、上級者になると「素手の感覚が大事」と、あえて使わない人も多いです)
「初心者だからまだ早い」は最大の誤解!ギアを使い始めるべきタイミング
「まだ50kgしか挙がらないのに、ベルトなんて恥ずかしい…」。
その考えは、今すぐ捨ててください。
ギアを使い始めるタイミングに、重量や経験は関係ありません。
怪我をしてからでは遅い。守るためのギアは「初日」から
シューズやベルトといった「守備のギア」は、軽い重量であっても「正しいフォーム」を体に覚えさせるために、最初から使うべきです。
軽い重量でも、間違ったフォームや不安定な土台で繰り返せば、怪我のリスクは蓄積します。
怪我をしてから「あの時ベルトを買っておけば…」と後悔しても、失った時間は戻ってきません。
安全への投資は、早ければ早いほど良いのです。
重量を伸ばすギア(ストラップ)は「自分の限界」が見えたら
リストストラップのような「攻撃のギア」は、明確な課題が見えた時に導入しましょう。
具体的には、「背中のトレーニングで、背中よりも先に握力が辛くなる」と感じ始めた瞬間です。
そのサインが出たら、あなたの背中はもっと成長できるのに、握力がボトルネックになっている証拠。
すぐにストラップを導入し、背中の成長を解放してあげましょう。
ランニングシューズでスクワットしていた僕
ジムに入会したての頃、僕は運動靴なら何でもいいだろうと、クッション性の高いランニングシューズでスクワットをしていました。
重くなるにつれ、どうも足元がフワフワして安定しない。
ある日、60kgでしゃがんだ瞬間、バランスを崩してよろけてしまい、バーベルを落としそうになりました。
冷や汗が止まりませんでした。
それを見ていたトレーナーに、「怪我しますよ。
筋トレするなら、靴底が平らで硬いシューズじゃないとダメです」と強く指導されました。
翌日、僕はジム用のフラットなトレーニングシューズを購入。
履いてスクワットをしてみると、衝撃でした。
「何だこの安定感は…!」。
足が地面に吸い付くようで、ブレない。
あの時、もしトレーナーの忠告を聞かずに続けていたら、僕は間違いなく足首か膝を怪我していたでしょう。
シューズは、まさに命綱だと実感しました。
失敗しない!各ギアの「正しい選び方」と「注意点」
では、具体的にどんなギアを選べばいいのか。
初心者が失敗しないための選び方の基準を解説します。
① シューズ:選ぶべきは「フラットソール」。ランニングシューズはNG
前述の通り、エアやゲルが入った柔らかいランニングシューズは絶対にNGです。
選ぶべきは「フラット(平ら)で硬い」ソールの靴。
・専用シューズ:ナイキの「メトコン」や、リフティングシューズ。
・代用できる靴:「コンバース(オールスター)」や「VANS」のスケートシューズ。
これらは靴底が平らで硬いため、安価に揃えたい初心者には非常におすすめです。
② ベルト:「ナイロン製」と「レザー製」の違いと選び方
パワーベルトには、大きく分けて2種類あります。
・ナイロン製(マジックテープ式):
安価(3,000円〜)で、着脱が簡単。
ホールド力はレザーに劣りますが、初心者〜中級者のトレーニングには十分な性能です。
・レザー製(ピン式・レバー式):
高価(8,000円〜)ですが、ホールド力が最強。
ガチガチに体を固めたい上級者向けです。
結論:初心者が最初に買うなら、安価で扱いやすい「ナイロン製」で十分です。
③ ストラップとグローブ:素材(綿・革)と洗いやすさで選ぶ
・リストストラップ:
「綿(コットン)製」と「革製」などがあります。
最初は、最も安価でスタンダードな「綿製」で全く問題ありません。
1,000円〜2,000円程度で手に入ります。
・グローブ:
汗を吸うため、消耗品です。
高価な革製より、メッシュ素材などで「通気性が良く、洗いやすい」ものを選ぶのが現実的です。
優先度・低:初心者が「急いで買わなくても良い」ギア
ジムには、他にも様々なギアがあります。
しかし、以下のギアは、明確な目的が出てくるまで初心者が急いで買う必要はありません。
リストラップ(手首の保護)
リスト「ストラップ」(握力補助)とは別物です。
これは、ベンチプレスやショルダープレスで「手首」を固定し、保護するためのギアです。
高重量を扱うようになり、手首に痛みや不安を感じ始めたら検討しましょう。
パワーグリップ(ストラップとの違い)
リストストラップの進化版のようなギアです。
手首に固定したベロ(ゴム素材)をバーに巻き付けるだけで、握力を強力に補助できます。
非常に便利ですが、高価(5,000円〜)なのがネック。
まずは安価なリストストラップを使いこなし、不満が出てきたら乗り換えるのが賢明です。
ニースリーブ(膝の保護)
スクワットなどで「膝」を保護・保温するためのサポーターです。
これも、高重量を扱うようになり、膝に不安を感じ始めたタイミングで検討すれば十分です。
握力から解放された日
背中のトレーニング(デッドリフト)が好きだった僕には、悩みがありました。
いつも、背中の筋肉が疲れるより先に、指がバーの重さに耐えきれなくなり、バーベルを落としてしまうのです。
「背中を鍛えたいのに、握力ばかりが疲れてしまう…」。
その悩みをトレーナーに話すと、「それなら、リストストラップを使ってみなよ」と貸してくれました。
使い方を教わり、バーに巻き付けてデッドリフトを引いてみると…信じられないことが起こりました。
「握力が、全然辛くない…!」。
意識が全て背中に集中でき、狙った広背筋が焼けるように熱くなるまで、限界まで追い込めたのです。
ストラップが、僕の「握力」という弱点を消し、背中の成長を加速させてくれました。
これはズルじゃない、自分の限界を超えるための「翼」なんだと実感しました。
まとめ:正しいギアは「ズル」ではない。安全に成長するための「鎧」だ
筋トレのギアは、決して「上級者の見栄」や「恥ずかしいもの」ではありません。
あなたの体を怪我から守り、あなたの努力を100%結果に繋げるための、極めて合理的な「戦略的ツール」です。
最後に、初心者が揃えるべき優先順位をもう一度おさらいします。
- 【優先度S】シューズ:土台を安定させる命綱。
「フラットソール」を絶対に選ぶ。 - 【優先度A】ベルト:腰を守る「鎧」。
怪我予防のために最初から導入する。 - 【優先度A】ストラップ:握力の限界を突破する「翼」。
背中を追い込めないと感じたらすぐに導入する。 - 【優先度B】グローブ:快適性を高める「皮膚」。
マメが気になるなら。
「初心者だからまだ早い」という考えは、怪我のリスクを高め、成長を遅らせるだけです。
まずは、あなたの体を守る「シューズ」と「ベルト」という「鎧」から揃えてみてください。


