「ジムにいるマッチョな人たちがつけているベルト、自分もつけた方がいいのかな?」
「でも、初心者があんなガチな装備をしてたら、笑われるんじゃないか…」
「何から買えばいいかわからないし、無駄なお金は使いたくない!」
ジムに通い始めて少し経つと、必ずそんな疑問が頭をよぎります。手にはグローブ、腰にはベルト、手首にはリストラップ。上級者たちはまるで戦場に向かう兵士のように装備を固めていますが、Tシャツ短パンの自分とは何が違うのでしょうか。
結論から言えば、彼らが装備(ギア)を使うのは「カッコつけ」ではありません。怪我を防ぎ、効率よく筋肉をつけるための「合理的かつ科学的な判断」の結果です。むしろ、フォームが安定せず、筋肉の使い方が未熟な初心者こそ、ギアの恩恵を最大限に受けるべきなのです。
しかし、適当に買い揃えるのは危険です。
この記事でわかること
- 初心者こそ今すぐギアを使うべき「科学的理由」
- 【優先度S】絶対に後悔しない最初の2つのアイテム
- 3万円で揃える「最強の初心者セット」リスト
「まだ自分には早い」は大間違い!初心者にこそギアが必要な3つの理由

多くの初心者が陥る最大のメンタルブロックが、「もっと筋肉がついてから買おう」という謙虚すぎる思考です。
しかし、これは大きな機会損失であり、怪我のリスクを高める行為でもあります。
なぜ今すぐギアを手に入れるべきなのか、その理由は明確です。
理由1:フォームが未熟だからこそ「怪我」から身を守る
上級者は、自分の限界や、関節に負担がかかる角度を熟知しています。
しかし、初心者は違います。
「今のフォーム、腰が丸まっていないか?」「手首が変な方向に曲がっていないか?」
自分では気づかないうちに、関節に危険な負荷をかけてしまっていることが多いのです。
腰、手首、肘…関節は消耗品である
関節や軟骨は、一度壊れると完全には元に戻らない「消耗品」です。
特に腰椎(腰の骨)を痛めると、トレーニングどころか日常生活に支障をきたします。
トレーニングベルトは、腹圧を高めて腰椎を守る「コルセット」の役割を果たし、リストラップは手首をギプスのように固定してくれます。
これらは「怪我をしてから買う」ものではなく、「怪我をしないために買う」保険なのです。
「腹圧」の感覚を強制的に覚えさせる教育効果
スクワットやデッドリフトで最も重要な技術が「腹圧(お腹に空気を溜めて固める)」です。
しかし、初心者に「腹圧をかけて!」と言っても、感覚を掴むのは至難の業です。
ここにベルトがあれば、物理的にお腹を締め付けるため、ベルトを押し返すように力を入れるだけで、誰でも簡単に「正しい腹圧」の感覚を体得できます。
つまり、ギアは最高の「コーチ」でもあるのです。
理由2:狙った筋肉より先に「握力」が死ぬのを防ぐ
背中のトレーニング(懸垂やラットプルダウン)をしていて、「背中より先に腕が疲れてしまった」「握力がなくなってバーを持っていられない」という経験はありませんか。
これは初心者の99%が直面する悩みです。
背中のトレーニングの最大の敵は「前腕の疲労」
背中の筋肉(広背筋など)は非常に大きく強い力を持っていますが、バーを握る「前腕(握力)」は小さく弱い筋肉です。
素手でトレーニングすると、背中を追い込む前に、弱い握力が先に限界を迎えてしまいます。
これでは、いくらやっても背中は大きくなりません。
ギアは「ズル」ではなく、ターゲット部位に集中するための「武器」
パワーグリップなどの補助具を使えば、握力をほとんど使わずにバーを保持できます。
これにより、意識を100%背中の筋肉の収縮に向けることが可能になります。
これは「ズル」ではなく、目的の筋肉を効率的に鍛えるための「必須テクニック」です。
理由3:モチベーションと「トレーニーとしての自覚」が爆上がりする
精神論に聞こえるかもしれませんが、効果は絶大です。
「形から入る」ことの心理的効果
マイベルトやマイグリップをバッグに入れ、ジムで装着する瞬間。
「よし、やるぞ」というスイッチが入ります。
安くないお金を出して道具を買うことで、「元を取るまで頑張ろう」「自分はもう単なる冷やかしではなく、トレーニーなんだ」という自覚が芽生えます。
このモチベーションこそが、継続の最大の燃料となります。
【優先度S:即購入】絶対に後悔しない「最初の2つ」

では、具体的に何から買うべきか。
予算3万円の中で、優先順位の「Sランク」に位置する、今すぐポチるべき2つの神器を紹介します。
これがあるだけで、ジムでの景色(トレーニングの質)は劇的に変わります。
1. パワーグリップ(またはリストストラップ)
最優先は、背中トレの効率を数倍に跳ね上げる「握力補助ギア」です。
これが無い背中トレは、「穴の空いたバケツで水を汲む」ようなものです。
役割:握力の補助、背中トレの必須アイテム
バーベルやダンベル、マシンのバーに巻き付けることで、握力が尽きても重さを支え続けることができます。
懸垂で3回しかできなかった人が、これを使った瞬間に5回、6回とできるようになることも珍しくありません。
【徹底比較】パワーグリップ vs リストストラップ
握力補助には主に2種類ありますが、初心者はどちらを選ぶべきでしょうか。
初心者は「パワーグリップ」一択な理由(装着の速さ、簡単さ)
結論から言えば、初心者はパワーグリップを選んでください。
ベロ(手首から伸びるパッド)をバーに巻き付けるだけなので、セットアップが1秒で完了します。
左右同時にセットするのも簡単です。
ジムでの時間は限られています。
装着にモタモタして集中力を切らさないためにも、操作性は正義です。
コスパ最強だが慣れが必要な「リストストラップ」
一方、リストストラップは長い紐をバーに螺旋状に巻き付けるタイプです。
価格は1000円〜2000円と非常に安いですが、片手で巻き付けるのにコツと慣れが必要で、毎セットの準備に時間がかかります。
「とにかく安く済ませたい」という場合以外は、最初はパワーグリップをおすすめします。
おすすめの選び方:サイズ感と素材(ラバー vs 革)
パワーグリップで最も有名なのは「ゴールドジム」や「バーサグリップ」です。
価格は7000円〜1万円ほどしますが、耐久性とグリップ力が段違いです。
予算3万円なら、ここには投資すべきです。
手首の太さに合ったサイズを選びましょう(緩いと意味がありません)。
2. トレーニングベルト(パワーベルト)
次に買うべきは、腰を守り、全身のパワーを引き出す「ベルト」です。
スクワット、デッドリフトをするなら必須です。
役割:腰椎の保護、腹圧の強化、最大筋力の向上
お腹を強く締め付けることで腹圧を高め、体幹を「空気の柱」のように固めます。
これにより腰への負担が減るだけでなく、力が逃げなくなるため、使用重量が平均して5%〜10%アップするとも言われています。
【徹底比較】ナイロン製 vs 革製(レザー)
ベルトにも種類があります。
まずは「ナイロン製(マジックテープ式)」でもOK?
ナイロン製は軽くて柔らかく、安価(3000円〜)です。
体のラインにフィットしやすく、痛みも少ないため、女性や「まずは腹圧の感覚を知りたい」という初心者には悪くない選択です。
本気なら最初から「革製(ピン式orレバーアクション)」を買うべき理由
しかし、本気で重量を伸ばしたいなら、硬い「革製」一択です。
ナイロンは高重量になると伸びてしまい、腹圧を支えきれなくなります。
革製は全く伸びないため、強烈な腹圧サポートが得られます。
特に、ワンタッチで着脱できる「レバーアクション」タイプは非常に便利ですが、高価(1.5万〜3万円)です。
予算3万円で揃えるなら、信頼できるメーカー(ゴールドジムのエントリーモデルや、SBD以外のコスパブランド)の「ピン式(バックル式)」の革ベルト(5000円〜1万円)が、最もバランスが良い選択肢となります。
正しい巻き方:「苦しい」くらいが丁度いい位置と強さ
おへその位置を中心に巻き、指が1本入るか入らないかくらいの強さで締め込みます。
息を吸ってお腹を膨らませた時に、ベルトがパンパンに張る状態を作ります。
緩すぎるとただの腹巻きになってしまうので注意しましょう。
【優先度A:数ヶ月以内に】重量が伸びてきたら欲しくなる「関節保護」ギア

優先度Sの2つ(グリップとベルト)があれば、ジムデビューとしては完璧です。
ここからは、トレーニングに慣れ、扱う重量が増えてきた段階(または手首などに不安がある場合)で導入すべき「優先度A」のギアです。
3. リストラップ(手首の保護)
ベンチプレスやショルダープレスなど、「押す(プレス)」種目で手首を守ります。
※リストストラップ(引く種目用)と名前が似ていますが、全く別物です。
役割:ベンチプレスやショルダープレスでの手首の過伸展防止
重いバーベルを持つと、手首が反り返ってしまい(過伸展)、手首を痛める原因になります。
リストラップを巻くことで手首をガチガチに固定し、反り返りを防ぎます。
これにより、バーベルの重さを骨でダイレクトに受け止めることができるようになり、プレスの安定感が増します。
グローブとの違い:「手首をガチガチに固める」ことの重要性
よくある「トレーニンググローブ」にも手首を巻く機能がついていますが、専用のリストラップに比べると固定力は弱いです。
高重量を扱うなら、専用のリストラップ(伸縮性のある硬い生地)が必要です。
選び方:長さ(60cm前後が万能)と硬さ
長さは30cm〜90cmまでありますが、60cm(約24インチ)前後が最も汎用性が高くおすすめです。
硬さもメーカーによって異なりますが、初心者は「フレキシブル(少し柔らかめ)」タイプの方が手首に馴染みやすく痛くなりにくいでしょう。
価格は2000円〜4000円程度です。
4. トレーニングシューズ(足元の安定)
意外と見落とされがちなのが「靴」です。
クッション性の高いランニングシューズで筋トレをしていませんか?
ランニングシューズでスクワットをしてはいけない理由
ランニングシューズのソール(靴底)は、衝撃を吸収するために「フワフワ」しています。
これは走る時には最適ですが、スクワットやデッドリフトで重いものを担ぐ時には「不安定な足場」となり、力が逃げるだけでなく、バランスを崩して怪我をする原因になります。
「底が硬く平らな靴」が正義(コンバース、足袋靴、リフティングシューズ)
筋トレには、「底が硬く、薄く、平らな靴」が最適です。
地面を強く踏みしめる感覚が得られます。
専用のトレーニングシューズを買うのも良いですが、予算を抑えるなら「コンバース(オールスター)」や、職人さんが履く「足袋靴(たびぐつ)」もトレーニーの間では定番中の定番です。
これらは3000円〜5000円で手に入ります。
エピソード:「自分には早い」とベルトを買わなかった僕の末路
筋トレを始めて半年、スクワットが80kgに達した頃のことです。「ベルトなんて100kgを超えてからだ」と意地を張っていた僕は、ある日のセット中、不意に気が緩み、腰に「ピキッ」という鋭い痛みを感じました。軽度のぎっくり腰でした。そこから2週間、トレーニングはおろか、靴下を履くのさえ辛い生活を送りました。復帰後、すぐに革のベルトを買いました。巻いた瞬間の安心感たるや。「数千円をケチって、2週間を棒に振ったのか」と激しく後悔しました。あの痛みは、ベルト代より遥かに高い授業料でした。
【優先度B:必要に応じて】さらなる高みを目指すためのギア

予算3万円には収まらないかもしれませんが、今後必要になるかもしれないアイテムです。
知識として持っておきましょう。
5. ニースリーブ・エルボースリーブ(膝・肘の保護)
膝や肘に履くサポーターです。
ネオプレン素材などでできており、強力な圧迫力があります。
役割:関節の保温と反発力(ボトムポジションでの補助)
関節を温めて動きをスムーズにするだけでなく、生地の弾性による「反発力」で、スクワットの立ち上がり動作などを少しだけ助けてくれます。
高重量を扱うパワーリフターには必須ですが、初心者のうちはまだ優先度は低いです。
サイズ選びが命:キツめを選ばないと意味がない
緩いとただの保温サポーターになります。
装着するのに汗だくになるくらい「キツめ」を選ぶのが効果を得るコツです。
6. トレーニンググローブ(手のひらの保護)
手のひらのマメを防ぐためのアイテムです。
役割:マメ防止、滑り止め
女性や、「仕事柄、手にマメを作るとまずい」という人には必須です。
しかし、マメができるのもトレーニーの勲章と考える人もいます。
注意点:グリップ力が逆に下がる場合もある?素手派との論争
グローブの厚み分だけバーが太くなり、逆に握りにくくなるというデメリットもあります。
「背中トレはパワーグリップ、プレス系はリストラップ」があれば、実はグローブの出番はそれほど多くありません。
まずは素手(+他のギア)で始めてみて、痛くて耐えられない場合に検討すればOKです。
7. 液体チョーク(滑り止め)
手汗でバーが滑るのを防ぐための炭酸マグネシウムの粉です。
粉末タイプは禁止のジムが多いですが、アルコール揮発性の「液体チョーク(リキッドチョーク)」なら許可されている場合が多いです。
デッドリフトで素手で挑むなら必須ですが、パワーグリップがあれば代用可能です。
失敗しない!初心者向けトレーニングギアの選び方と注意点

最後に、買い物で失敗しないためのポイントです。
「安物買いの銭失い」になりやすいギア、安くても良いギア
ギアには「お金をかけるべき部分」と「節約してもいい部分」があります。
ベルトとグリップは有名ブランド(ゴールドジム、SBD、Versaなど)が無難
優先度Sの2つは、耐久性と安全性が命です。
Amazonにある謎の激安ブランドのベルトは、革がペラペラだったり、金具がすぐに壊れたりします。
パワーグリップも、ゴムが滑りやすく使い物にならない場合があります。
ここは「ゴールドジム」や「バーサグリップ」といった定番ブランド、あるいは評判の良い国内メーカーを選ぶのが、結果的に長く使えてお得です。
消耗品(ストラップ、グローブ)はAmazonの安価ブランドでも十分?
一方で、構造が単純なリストストラップやリストラップは、安価なブランドでもそこそこの品質のものが手に入ります。
まずは安いもので試してみるのもアリです。
ジムでのマナーと振る舞い
ギアを手に入れたら、ジムでの使い方もスマートにいきましょう。
インターバル中はベルトを緩める(酸欠防止)
セットが終わったら、すぐにベルトを緩めて呼吸を整えましょう。
締めっぱなしだと血圧が上がりっぱなしになり、酸欠や立ちくらみを起こす危険があります。
ギアを放置して場所取りをしない
パワーラックに自分のベルトを巻きつけたまま、長時間スマホをいじったり、どこかへ行ったりするのは重大なマナー違反です。
ギアは常に自分の手元で管理しましょう。
エピソード:3万円で「ジムの景色」が変わった日
ボーナスが出たタイミングで、思い切ってゴールドジムのパワーグリップ(約1万円)、革ベルト(約8000円)、リストラップ(約4000円)、コンバース(約5000円)を一気に揃えました。合計3万円弱。ワクワクしながらジムに行き、いつものデッドリフトを行いました。衝撃でした。いつも握力が限界で100kg×5回がやっとだったのが、パワーグリップのおかげで8回も引けたのです。ベルトがお腹を支えてくれる安心感も別次元。その日、僕は初めて「背中がパンパンに張る」感覚を知りました。「道具ひとつで、こんなに世界が変わるのか」。ジムからの帰り道、筋肉痛の予感にニヤけながら、もっと早く買えばよかったと心底思いました。
トレーニングギアに関するよくある質問(Q&A)

最後に、初心者がギア導入にあたって抱きがちな疑問にお答えします。
Q. ベルトをすると体幹(腹筋)が弱くなりませんか?
A. なりません。
むしろ逆です。
ベルトは「お腹を締め付ける力」に対して「お腹を膨らませて押し返す力」を使って腹圧を高めます。
ベルトをしている間、腹筋群は強烈に活動しています。
研究でも、ベルト着用時の方が腹筋の活動量が増えるというデータもあります。
安心して使ってください。
Q. 女性でもベルトやグリップは必要ですか?
A. もちろんです。
女性は男性に比べて関節が細く、筋肉量も少ないため、相対的に関節への負担が大きくなりがちです。
また、女性は「くびれ」を意識して腹圧をかけるのが苦手な場合も多いため、ベルトによるサポートは非常に有効です。
女性用のサイズ(XSなど)も豊富に販売されています。
Q. 全部一度に揃えると予算が…最低限のスタートセットは?
A. 3万円が厳しいなら、まずは「パワーグリップ(約5000円〜1万円)」の1点突破をおすすめします。
背中トレの質が変わる感動は、他のどのギアよりも大きいです。
次にベルト、その次にリストラップという順序で、数ヶ月かけて揃えていけばOKです。
Q. 洗濯や手入れはどうすればいいですか?
A. 革製品(ベルト、グリップ)は水洗いできません。
使用後は汗を拭き取り、風通しの良い日陰で乾かしましょう。
ナイロン製品やリストラップは、ネットに入れて洗濯機で洗えるものが多いですが、マジックテープが他の衣類を傷つけないよう注意してください。
臭いが気になる場合は、アルコール除菌スプレーも有効です。
まとめ:ギアはあなたの努力を裏切らない。最強のパートナーと共にジムへ行こう

「道具に頼るなんてカッコ悪い」
そんな考えは捨てましょう。
道具は、あなたの努力を「正しく筋肉に届ける」ための架け橋であり、あなたを怪我から守ってくれる頼もしいパートナーです。
予算3万円で揃える「パワーグリップ」「革ベルト」「リストラップ」「底の硬い靴」。
この初期投資は、将来あなたが手に入れる理想の体と、怪我なくトレーニングを続けられる日々の価値を考えれば、あまりにも安い投資です。




