「毎日ジムに行かないと筋肉は落ちちゃうのかな…」
「胸の日とか背中の日とか、上級者っぽくて憧れるけど、自分にはまだ早いの?」
「週3回しか行けない自分にベストなメニューを教えてほしい!」
筋トレを始めたばかりの頃は、全身をなんとなく鍛えるだけで精一杯だったかもしれません。
しかし、慣れてくると「もっと効率的に筋肉をつけたい」「今日はここを重点的に鍛えたい」という欲求が出てきます。
そこで登場するのが「分割法(スプリットルーティン)」です。
しかし、ネットで検索すると「週5回の5分割が最強」「いや、週3回の全身法こそ至高」など、意見が真っ二つに割れており、初心者は混乱してしまいます。
正解は一つではありません。
あなたの「生活リズム」と「レベル」によって、正解は変わるのです。
この記事では、最新のスポーツ科学に基づいた「頻度の理論」と、週2回から週5回以上まで、それぞれの頻度に応じた「具体的なメニューの組み方」を、7000字で完全解説します。
この記事でわかること
- 科学的に証明された「最も筋肥大する頻度」
- 【週2〜6回】あなたの通える日数に合わせた最適な分割スケジュール
- 世界中のトレーニーが実践する「PPL法」や「全身法」の具体例
そもそもなぜ「分割法」が必要なのか?筋肉成長のメカニズム

そもそも、なぜ上級者たちはわざわざ体をパーツごとに分けて鍛えるのでしょうか。
「毎日全身やった方が早くデカくなるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、そこには筋肉の成長メカニズムと深い関係があります。
筋肉はジムにいる時ではなく「休んでいる時」に成長する
筋トレとは、筋肉を「破壊」する作業です。
破壊された筋肉は、十分な栄養と休養を与えることで、元の状態よりも強く太く修復されます。
これを「超回復」と呼びます。
「超回復」には48〜72時間が必要
一般的に、筋肉が完全に回復するには、トレーニング後48時間から72時間(2〜3日)が必要だと言われています。
(部位や強度によって異なりますが、大きな筋肉ほど時間がかかります)
毎日同じ部位を鍛えてはいけない理由
もし、胸の筋肉痛が残っている状態で、翌日もベンチプレスをしたらどうなるでしょうか。
修復工事中のビルを、再び破壊するようなものです。
これではビル(筋肉)はいつまで経っても完成せず、むしろボロボロになってしまいます。
だからこそ、同じ部位を連日鍛えるのはNGなのです。
分割法の3つのメリット
そこで、部位を分ける「分割法」の出番です。
1回のトレーニング時間を短縮できる(集中力の維持)
全身をくまなく鍛えようとすると、どうしても2時間以上かかってしまい、後半は集中力が切れて質が下がります。
分割法なら、「今日は胸と三頭筋だけ」と決めることで、45分〜1時間程度で濃密なトレーニングが可能になります。
1つの部位をフレッシュな状態で限界まで追い込める
全身法だと、スクワットで体力を使い果たした後でベンチプレスをすることになり、高重量を扱えないことがあります。
分割法なら、その日のターゲット部位に体力満タンの状態で挑めるため、より強い刺激を与えることができます。
連日ジムに通っても「休み」を作れる(部位を変えればOK)
これが最大のメリットです。
「月曜に胸」をやっても、「火曜は背中」なら、胸は休ませることができます。
体全体としては毎日ジムに通いながら、部位単位ではしっかりと休息日を確保できる。
このパズルを成立させるのが分割法です。
【結論】科学的に最強の頻度は「各部位を週2回」刺激すること

では、具体的にどう分ければいいのでしょうか。
かつては「月曜は胸の日」のように、各部位を週1回ずつ鍛えるのが主流でした。
しかし、近年のスポーツ科学では、その常識が覆されつつあります。
かつての常識「週1回(5分割)」vs 最新科学「週2回以上」
多くの研究が、「週1回」よりも「週2回」その部位を鍛えた方が、筋肥大の効果が高いことを示唆しています。
筋タンパク質合成の高まりは「約2日間」で終わる
トレーニング後、筋肉の合成感度が高まっている(アナボリック状態)のは、長くても48時間程度です。
つまり、月曜に胸トレをして、次の胸トレが翌週の月曜だとすると、水曜〜日曜までの5日間は、胸の筋肉にとって「成長のチャンスがない暇な時間」になってしまうのです。
週1回では「成長の機会」を半分損失している可能性
週2回刺激すれば、常に筋肉合成のスイッチが入っている状態をキープしやすくなります。
もちろん、プロボディビルダーのように1回のトレーニングで筋肉を極限まで破壊できる上級者は、回復に1週間かかるため週1回が適正な場合もあります。
しかし、一般的なトレーニーにとっては、「各部位を週2回」刺激する頻度が、科学的に見て最も効率が良いという結論になります。
あなたの「ジムに行ける日数」がすべての基準になる
「じゃあ週2回全身やればいいの?」
その通りですが、重要なのは「あなたが週に何回ジムに行けるか」という現実的な制約です。
無理なスケジュールは挫折の元
理想を追い求めて「週6回行く」と決めても、仕事が忙しくて週3回しか行けなければ、計画は破綻し、自己嫌悪に陥ります。
「確実に通える日数」をベースに、メニューを組むのが正解です。
ライフスタイル別・おすすめ分割法チャート
- 週2回 → 全身法
- 週3回 → 全身法 or 上半身・下半身(2分割)or PPL(変則)
- 週4回 → 上半身・下半身(2分割)
- 週5回以上 → PPL(3分割)or 部位別(5分割)
次章から、それぞれの詳細を見ていきましょう。
【週2〜3回の人向け】基本にして王道「全身法」と「2分割」

ジムに行ける時間が限られている人は、分割しすぎないことが重要です。
「週2回しか行けないのに5分割」にすると、胸の日が月に2回しか回ってこないことになり、成長は見込めません。
レベル1:週2回なら迷わず「全身法」
忙しい社会人にとって、最も現実的かつ効果的なのがこれです。
メリット:全身の頻度を確保できる唯一の方法
週2回(例:水・日)ジムに行き、その都度全身を鍛えます。
これなら「各部位週2回」の黄金律を守れます。
メニュー例(BIG3中心の構成)
1日で全身をやるため、種目数は絞ります。
大きな筋肉を使う「多関節種目(コンパウンド種目)」を中心に組みます。
- 脚:スクワット
- 胸:ベンチプレス
- 背中:デッドリフト or ラットプルダウン
- 肩:ショルダープレス
- 腹筋:クランチ
これだけで十分です。
細かいアームカールなどは省き、大きな石を積むことに集中します。
レベル2:週3〜4回なら「上半身・下半身(2分割)」
週3〜4回行けるなら、体を「上半身」と「下半身」の2つに分ける「2分割法」がおすすめです。
メリット:上半身と下半身を交互に行うシンプルさ
今日は上半身をやったから、明日は下半身。
非常にシンプルで、疲労の管理もしやすいです。
上半身の日には胸、背中、肩、腕を。
下半身の日には脚全体と腹筋を行います。
スケジュール例:月(上)水(下)金(上)日(下)…
週4回行けるなら「月・火・木・金」のように固定できます。
週3回の場合は、「月(上)・水(下)・金(上)」となり、翌週は「月(下)・水(上)・金(下)」というように、週ごとに偏りが出ますが、長い目で見ればバランスは取れます。
全身法よりも1部位あたりの種目数を増やせるため、より細部まで鍛え込むことが可能です。
【週3〜6回の人向け】世界的なトレンド「プッシュ・プル・レッグ(3分割)」

現在、世界中のフィットネス界で最も人気があり、推奨されているのがこの「PPL法」です。
動作のタイプで筋肉を分ける、非常に合理的で洗練されたシステムです。
PPL法(Push/Pull/Legs)とは?
体を以下の3つのグループに分けます。
Push(押す日):胸、肩(前・中部)、上腕三頭筋
Pull(引く日):背中、肩(後部)、上腕二頭筋
Legs(脚の日):大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎ
なぜPPLが最強と呼ばれるのか(協働筋の効率化)
例えば「ベンチプレス(胸)」をする時、補助的に「肩」と「三頭筋」も使われます。
これらを同じ日にまとめて鍛えてしまえば、一度の疲労で済み、他の日は完全に休ませることができます。
「胸の日に三頭筋も一緒に疲労させ、背中の日には三頭筋は一切使わない」という効率的な休息サイクルが作れるのです。
PPL法の具体的なスケジュールとメニュー
PPLは週3回〜6回まで柔軟に対応できます。
週3回の場合(P・P・L・休・休・休・休)
月:Push、水:Pull、金:Legs
各部位週1回になりますが、全身をくまなく、かつ高強度で鍛えられます。
週末にしっかり休めるので、社会人にも人気です。
週6回の場合(P・P・L・P・P・L・休)※上級者向け
月:Push、火:Pull、水:Legs、木:Push、金:Pull、土:Legs、日:オフ
各部位を週2回、強烈なボリュームで鍛えられます。
体力のある若手や、短期間で体を変えたい人向けのハードなスケジュールです。
PPL法の注意点:脚トレ(Legs)から逃げてはいけない
PPLの唯一のデメリットは、「脚だけの日」という過酷な日が生まれることです。
多くの人がここから逃げ出し、PushとPullだけを繰り返すようになりますが、それではチキンレッグ(上半身だけデカくて脚が細い状態)になってしまいます。
脚の日は、精神修行の日と思って乗り越えましょう。
エピソード:仕事が忙しくなり「週5」から「週2」に変えたら、逆に重量が伸びた話
私は以前、「筋トレは頻度こそ正義」と信じ込み、残業続きの中でも無理やり週5回ジムに通っていました。睡眠時間は5時間を切り、常に体はダルい状態。それでも「休んだら筋肉が落ちる」という恐怖心で通っていました。しかし、ついに過労でダウン。強制的にジムを2週間休み、復帰後は「無理せず週2回、全身法でやろう」と決めました。するとどうでしょう。あんなに重かったベンチプレスが、羽のように軽いのです。記録も更新しました。私の筋肉は「トレーニング不足」ではなく「回復不足」だったのです。「休む勇気」と「自分に合った頻度」を知った瞬間でした。
【週5回以上・上級者向け】一点集中型の「部位別(ブロスプリット)」

ボディビルダーの多くが採用している、いわゆる「5分割法」です。
海外では「Bro Split(兄弟たちの分割法)」と親しみを込めて呼ばれています。
いわゆる「5分割」が適している人
1日1部位だけに集中するため、週5〜6回ジムに行く必要があります。
1部位に20セット以上費やせる上級者
「胸だけ」で1時間トレーニングします。
ベンチプレス、ダンベルフライ、ケーブルクロスオーバー…と、あらゆる角度から胸筋を破壊し尽くせるスタミナと集中力が必要です。
初心者がこれをやっても、後半はバテてしまい、ただ回数をこなすだけになりがちです。
弱点部位を徹底的に改善したいボディビルダー志向
「肩のサイドをもっと張り出させたい」「背中の下部が弱い」といった細かいこだわりがある場合、全身法や2分割では時間が足りません。
細部を作り込む彫刻家のような作業には、この5分割が最適です。
5分割のメリット・デメリット
メリットは、1部位ごとの「パンプ感(筋肉が張る感覚)」が強烈で、達成感が大きいことです。
デメリットは、頻度です。
メリット:1部位を破壊的に追い込める、パンプ感が強い
1週間かけて全身を一周するため、一度鍛えた部位は次の出番まで1週間空きます。
デメリット:次の刺激まで1週間空くため、強度が低いと成長しない
もし月曜の胸トレが「なんとなく」で終わってしまった場合、次のチャンスは来週の月曜です。
その間の機会損失は甚大です。
「二度と立ち上がれないくらい追い込む」という覚悟がないと、5分割は効率の悪い方法になりかねません。
スケジュール例:胸、背中、脚、肩、腕
月:胸、火:背中、水:脚、木:肩、金:腕、土日:オフ
これが最も一般的なブロスプリットの構成です。
自分だけの「最強ルーティン」を作るための調整テクニック

型通りのメニューでは満足できなくなったら、自分流にアレンジを加えましょう。
「弱点部位」から週を始める
多くの人は月曜日からルーティンを始めますが、月曜日は一番体力があり、モチベーションも高い日です。
この貴重な日を、一番好きな部位(例えば胸)に使っていませんか?
もしあなたの脚が弱点なら、月曜日こそ「脚」から始めるべきです。
最もエネルギーのある日を、最も改善したい部位に当てる。
これが体をバランス良く成長させるコツです。
仕事が忙しい週は「全身法」に切り替える柔軟性
「今週は5分割の予定だったけど、急な出張で3日しか行けなくなった…」
そんな時、予定通り「胸・背中・脚」だけやって、肩と腕を捨てるのはナンセンスです。
その週だけ「全身法×3日」に切り替えればいいのです。
ルーティンを守ることより、その週のトータルボリューム(総負荷量)を確保することの方が、筋肥大においては遥かに重要です。
「ダブルスプリット」はやるべきか?
「朝に有酸素と腹筋、夜にウェイト」のように、1日2回ジムに行くことをダブルスプリットと言います。
1日2回ジムに行くことの是非とリスク(一般人には非推奨)
プロのアスリートならいざ知らず、仕事を持つ一般人には推奨しません。
コルチゾール(ストレスホルモン)値が上がりっぱなしになり、免疫力が低下し、怪我や風邪の原因になります。
まずは「1日1回、質の高いトレーニング」を完遂することを目指しましょう。
エピソード:PPL法の「脚の日」が憂鬱すぎてジムに行けなくなった時
PPL法を始めた当初、金曜日の「Legs(脚)」の日が来るのが怖くて仕方ありませんでした。スクワットの苦しさを想像すると、金曜の夕方にお腹が痛くなり、結局サボってしまうことが増えました。そこで私はルールを変えました。「脚の日はスクワットをやらなくていい。マシンだけでOK」とハードルを下げたのです。するとジムに行く足取りが軽くなりました。不思議なことに、ジムに行けばアドレナリンが出て、結局スクワットもやってしまうのですが(笑)。完璧を求めすぎて0になるより、60点でもいいから「行くこと」を継続する。ルーティンは自分を縛る鎖ではなく、自分を助けるガイドラインでなくてはなりません。
トレーニングルーティンに関するよくある質問(Q&A)

最後に、分割法やルーティン作りに関する素朴な疑問にお答えします。
Q. 腹筋は毎日やってもいいですか?
A. はい、大丈夫です。
腹筋やふくらはぎ、前腕といった筋肉は、姿勢維持などで日常的に使われているため、回復が非常に早い特徴があります。
毎日やってもオーバートレーニングにはなりにくいですが、筋肥大させたいなら、週3回程度、重りを持って(負荷をかけて)やる方が効率的です。
Q. 風邪や用事で1週間休んでしまいました。どう再開すればいい?
A. 焦って失った分を取り戻そうとしないでください。
1週間の休みなら筋肉は落ちていません。
むしろ完全に疲労が抜けて、ベストコンディションかもしれません。
再開初日は、いつもの重量の80%くらいからスタートし、体の感覚を確かめる「慣らし運転」を行いましょう。
いきなりMAX重量を持つと怪我をします。
Q. 有酸素運動はルーティンのどこに入れればいいですか?
A. 筋肥大を最優先するなら、「筋トレの後」か「筋トレをしない日」です。
筋トレの前にガッツリ有酸素をやってしまうと、エネルギー切れで筋トレの質が下がります。
脂肪燃焼目的なら、筋トレ直後の有酸素運動が最も効率的です。
Q. 同じメニューをずっと続けてもいいですか?(マンネリ化)
A. 初心者のうちは「使用重量を伸ばすこと」が最大の目的なので、同じメニューを続けて重量を記録していくことが重要です。
しかし、3ヶ月〜半年ほど続けて重量が停滞してきたら、分割法を変えたり、種目を入れ替えたりして、体に新しい刺激を与える(ピリオダイゼーション)時期です。
まとめ:最適な分割法とは、あなたの生活リズムに「溶け込む」もの

最強の分割法。
それはPPL法でも全身法でもなく、あなたがストレスなく1年以上続けられるスケジュールのことです。
どんなに科学的に正しいメニューでも、仕事や家庭を犠牲にして無理やりねじ込んだものは、いつか破綻します。
「週2回しか行けない」ではなく、「週2回も全身を鍛えられる」とポジティブに捉えてください。
自分のライフスタイルという器に合わせて、最適な分割法という水を注ぐ。
そうすれば、トレーニングはあなたの生活の一部となり、歯磨きのように当たり前の習慣になります。
そして気がつけば、鏡の中には、かつて憧れていた理想の体があるはずです。




