「トレーニングチューブって、なんかリハビリとか、女性が使うイメージだけど…筋トレにも使えるの?」
「ゴムバンド引っ張るだけで、本当に筋肉に効くのかな?負荷が軽すぎる気がするんだけど…」「いろんな種類や色のチューブがあるけど、どれを選べばいいか分からない。おすすめとか、使い方が知りたい!」
ジムの片隅やスポーツ用品店で見かける、カラフルなゴム製のバンドやチューブ。
あなたは、それを「本格的な筋トレには役立たない、補助的な道具」だと見過ごしていませんか?
もしそうなら、あなたはトレーニングの可能性を大きく狭めているかもしれません。
トレーニングチューブ(レジスタンスバンド)は、正しく使えば、ダンベルやバーベルにも匹敵する刺激を筋肉に与え、あなたのトレーニングを劇的に進化させるポテンシャルを秘めた、最強のコスパギアです。
1000円台から手に入り、場所も取らず、自宅でもジムでも無限の活用法があるのです。
この記事では、「ゴムバンドでしょ?」という侮りを覆し、なぜチューブが筋トレに効果的なのかという科学的根拠から、失敗しない選び方、そしてウォームアップから本格的な筋トレまで、あなたのトレーニングを革命する具体的な活用術を徹底解説します。
この記事でわかること
- なぜトレーニングチューブが筋肥大にも効果的なのか、その科学的な理由
- ループバンド、ハンドル付きチューブなど、種類別の特徴と強度の選び方
- ウォームアップ、補助、負荷追加、単体トレまで、具体的な目的別活用術
「ゴムバンドでしょ?」と侮るなかれ!チューブが筋トレに効く科学的理由

「ゴムの力で筋肉がつくわけがない」。
そう思う気持ちも分かります。
しかし、チューブにはダンベルやバーベルにはない、独自の「負荷特性」があり、それが筋トレに非常に有効なのです。
① 漸進的な負荷:「伸ばすほどキツくなる」特性が筋肉を刺激する
ダンベルやバーベルの負荷(重力)は、基本的に一定です。
しかし、トレーニングチューブの負荷は「漸進的(ぜんしんてき)」、つまり、伸ばせば伸ばすほど、ゴムの張力によって負荷が強くなっていきます。
これは、筋肉が最も力を発揮する「収縮しきった」局面(トップポジション)で、最大の負荷がかかることを意味します。
ダンベルでは負荷が抜けやすいトップポジションでも、チューブなら筋肉を刺激し続けることができるのです。
これが「効く」感覚に繋がります。
② 関節への負担が少ない(怪我のリスク低減)
チューブトレーニングは、基本的に「自分の筋力」で負荷をコントロールします。
高重量のダンベルやバーベルのように、重力に負けて関節に予期せぬ負荷がかかるリスクが低いです。
そのため、怪我のリハビリや、関節に不安がある人でも、安全に筋肉を刺激することができます。
正しいフォームで筋肉に「効かせる」練習にも最適です。
③ 場所を選ばない「携帯性」と「安価」さ
これがチューブ最大の魅力でしょう。
数本のチューブを合わせても、カバンにすっぽり収まるサイズと軽さ。
自宅はもちろん、旅行先や出張先のホテルでも、本格的なトレーニングが可能です。
そして、価格も1本数百円〜数千円と非常に安価。
ダンベルセットのように、初期投資や設置スペースに悩む必要がありません。
どれを選べばいい?トレーニングチューブの「種類」と「強度」

トレーニングチューブには、形状や素材によっていくつかの種類があります。
あなたの目的に合わせて選びましょう。
① ループバンド(平たい輪っか状):下半身トレ・補助に最適
平たいゴムが輪っか(ループ)状になっているタイプ。
太ももや足首に巻いて、お尻(中殿筋)や股関節周りを鍛えるトレーニング(ヒップアブダクション等)に非常に適しています。
また、懸垂の補助(アシスト)としてバーに引っ掛けて使うのにも便利です。
強度別に数本セットになっていることが多いです。
② チューブ(ハンドル付き):上半身トレに使いやすい
ゴム製のチューブの両端にハンドルが付いているタイプ。
ダンベルのように握りやすく、チェストプレス、ショルダープレス、アームカールなど、上半身のトレーニング全般に使いやすいのが特徴です。
ドアアンカー(ドアに挟んで固定するアタッチメント)が付属している製品も多く、自宅でのトレーニングの幅が広がります。
③ セラバンド(布・リボン状):リハビリ・ストレッチ向き
平たいリボン状のゴムバンドで、自分で好きな長さにカットして使うタイプ。
元々はリハビリ用に開発されたもので、負荷は比較的軽めです。
肩周りのインナーマッスルを鍛えたり、ストレッチの補助として使ったりするのに適しています。
強度の選び方:「色」で判断。 最初は「中強度」セットがおすすめ
ほとんどのチューブは、「色」によって強度が異なります(例:黄色=弱、赤=中、黒=強)。
メーカーによって色の基準はバラバラなので、購入前に必ず強度を確認しましょう。
初心者が最初に買うなら、弱・中・強の3〜5本がセットになった「ループバンド」または「ハンドル付きチューブ」がおすすめです。
種目や部位によって適切な強度は異なるため、複数の強度を持っておくと、トレーニングの幅が格段に広がります。
「たかがゴム」と舐めていた僕
僕は、ジムのストレッチエリアに置いてあるトレーニングチューブを、「準備運動用の、負荷の軽いオモチャ」だと思っていました。
ある日、肩のトレーニング(サイドレイズ)で、いつものダンベルが全て使用中でした。
仕方なく、一番強そうな「黒色」のチューブを手に取り、サイドレイズの動きを真似てみました。
「ん?軽いな…」。
しかし、腕を真横まで上げた瞬間、想像を絶するゴムの抵抗が襲いかかりました。
「ぐっ…重い!」。
伸ばせば伸ばすほど負荷が増すチューブの特性を、僕は完全に舐めていました。
ダンベルでは負荷が抜けるトップポジションで、肩の筋肉(三角筋中部)が焼き切れるような感覚。
10回もできませんでした。
「たかがゴム」ではありませんでした。
正しく使えば、ダンベル以上に強烈な刺激が入ることを、僕はその日初めて知りました。
【実践編①】ウォームアップ&アクティベーションでの使い方

チューブは、本格的なトレーニング前の「準備」で絶大な効果を発揮します。
怪我を予防し、メインセットの質を高めるための活用法です。
肩周りのインナーマッスル(ローテーターカフ)の活性化
ベンチプレスやショルダープレスの前に、軽い強度のチューブを使って肩関節のインナーマッスル(回旋筋腱板)を温めましょう。
チューブを両手に持ち、肘を脇につけたまま、外側に開いたり(エクスターナルローテーション)、内側に閉じたり(インターナルローテーション)する動き。
これにより、肩の怪我を予防し、プレス動作を安定させます。
股関節周り(中殿筋など)の活性化
スクワットやデッドリフトの前に、ループバンドを膝の上あたりに巻き、カニ歩きのように横に移動したり(ラテラルウォーク)、膝を開閉したりする動き。
これにより、お尻の横の筋肉(中殿筋)などが刺激され、スクワットで膝が内側に入る(ニーイン)のを防ぎ、股関節の安定性を高めます。
ターゲット筋への「事前刺激(パンプアップ)」
その日のメインターゲットとなる筋肉(例:胸)を、軽い負荷のチューブで事前に刺激し、血流を集めて軽くパンプさせておく(プレパンプ)。
(例:ベンチプレスの前に、チューブチェストフライを20回×2セット行う)
これにより、「マインドマッスルコネクション(筋肉への意識)」が高まり、メインセットでその筋肉をより効果的に使うことができます。
【実践編②】トレーニングの「補助(アシスト)」としての使い方

チューブの「張力」を、自分の体重を軽くするための「補助」として使うテクニックです。
今までできなかった種目を可能にします。
懸垂(チンニング)アシスト:できない人も可能に
懸垂スタンドのバーに強度のあるループバンドを引っ掛け、その輪に足や膝を乗せて懸垂を行います。
ゴムの力が、あなたの体重を引き上げるのを助けてくれます。
懸垂が1回もできない初心者でも、この方法なら正しいフォームで懸垂の動作を練習でき、筋力向上に繋がります。
チューブの強度を変えることで、補助のレベルを調整可能です。
腕立て伏せ(プッシュアップ)アシスト
ループバンドを背中に回し、両端を左右の手のひらで押さえた状態で腕立て伏せを行います。
体を下ろした時にゴムが伸び、体を押し上げる時にその張力が補助してくれます。
膝つき腕立て伏せを卒業したい女性などにおすすめです。
【実践編③】フリーウェイトへの「負荷追加」としての使い方

チューブの「伸ばすほど負荷が増す」特性を、ダンベルやバーベルと組み合わせる上級テクニックです。
停滞打破にも繋がります。
ベンチプレス:トップでの負荷抜けを防ぐ
パワーラックの底部にループバンドを固定し、そのバンドをバーベルの両端に引っ掛けてベンチプレスを行います。
バーベルを胸まで下ろした時はチューブの負荷はほぼゼロですが、バーを押し上げ、トップポジションに近づくにつれてゴムの張力が加わり、負荷が抜けなくなります。
三頭筋への刺激も強まります。
スクワット:ボトムでの負荷を高める
同様に、バーベルの両端にバンドを引っ掛け、ラックの底部に固定してスクワットを行います。
しゃがみ込んだボトムポジションでゴムの張力が最も弱まり、立ち上がるにつれて負荷が増していきます。
爆発的な挙上(スピード)を鍛えるのに有効です。
【実践編④】チューブ「単体」で行う本格筋トレメニュー

ジムに行けない日や、旅行先でも、チューブさえあれば全身を鍛えることが可能です。
(各種目15〜20回 × 3セットを目安に)
【胸】チューブ・チェストプレス / フライ
ハンドル付きチューブを背中側に回し、両手でハンドルを持って前に押し出す(プレス)。
または、柱などにチューブを固定し、腕を横から前に閉じる(フライ)。
【背中】チューブ・ローイング / プルダウン
足の裏や柱にチューブを引っ掛け、ハンドルを胸に向かって引く(ローイング)。
または、ドアアンカーなどで高い位置にチューブを固定し、ハンドルを上から下に引き下げる(プルダウン)。
【肩】チューブ・サイドレイズ / フロントレイズ
チューブの中央を足で踏み、両端のハンドルを持って腕を真横に上げる(サイドレイズ)。
または、前に上げる(フロントレイズ)。
【腕】チューブ・アームカール / プレスダウン
チューブの中央を足で踏み、ハンドルを持って肘を曲げる(アームカール)。
または、高い位置に固定したチューブのハンドルを、肘を伸ばして下に押し下げる(プレスダウン)。
トレーニングチューブ使用上の注意点

手軽なチューブですが、使い方を誤ると危険も伴います。
安全に使うための注意点です。
① 劣化・断裂のチェックは必ず行う
ゴム製品である以上、経年劣化は避けられません。
トレーニング前に、チューブにひび割れや亀裂、傷がないかを必ず目視でチェックしましょう。
トレーニング中に突然断裂すると、顔や目に当たって大怪我をする可能性があります。
② 固定場所の強度を確認する(ドアアンカーなど)
柱やドアアンカーにチューブを固定して使う場合、その固定場所があなたの引っ張る力に耐えられるか、十分に確認してください。
ドアアンカーは、必ずドアが「開かない方向」に設置します。
③ 急に離さない(跳ね返りに注意)
限界までチューブを伸ばした後、急に力を抜いて手を離すと、ゴムの跳ね返り(スナップバック)で思わぬ怪我をする可能性があります。
最後までコントロールし、ゆっくりと元の位置に戻すようにしましょう。
ホテルの部屋がジムになった日
僕は、出張が多い営業マンです。
以前は、出張中はトレーニングを完全に諦めていました。
しかし、トレーニングチューブ(ハンドル付き・強度別3本セット)を買ってからは、その悩みから解放されました。
ホテルの部屋に着くと、まずドアにドアアンカーを設置。
それだけで、僕の部屋は即席のジムに変わります。
チューブ・プルダウンで背中を、チューブ・チェストプレスで胸を、チューブ・ショルダープレスで肩を。
軽い強度でパンプさせるだけでも、何もしないのとは大違い。
筋肉の張りも維持でき、何より「トレーニングを継続できている」という精神的な満足感が大きいのです。
今では、出張バッグにチューブセットは欠かせません。
たった数千円の投資で、僕は「どこでもジム」を手に入れたのですから。
まとめ:チューブを使いこなし、トレーニングを次のレベルへ

トレーニングチューブは、決して「補助」だけの道具ではありません。
その特性を理解し、正しく使いこなせば、あなたのトレーニングの質を劇的に向上させ、停滞を打破し、新たな成長をもたらす「革命的ギア」となり得ます。
最後に、チューブ活用のポイントをまとめます。
- 効果の源泉:「漸進的な負荷」が、筋肉のトップ収縮を強烈に刺激する。
- 選び方:最初は「ループバンド」か「ハンドル付きチューブ」の「強度別セット」がおすすめ。
- 活用法①:ウォームアップで怪我を予防し、メインターゲット筋を活性化させる。
- 活用法②:懸垂などの補助(アシスト)に使い、できなかった種目を可能にする。
- 活用法③:フリーウェイトと組み合わせ、負荷を「追加」し、刺激を変える。
- 活用法④:チューブ単体でも、全身の本格的な筋トレが可能。
- 注意点:劣化チェックを怠らず、安全に配慮して使う。
ダンベルやバーベルだけが筋トレではありません。
この安価で、場所を取らず、無限の可能性を秘めたトレーニングチューブを、ぜひあなたの「最強の相棒」に加えてみてください。




