「最近、ジムでの重量が全然伸びない…。何が悪いんだろう…?」
「前回って、何キロで何回できたっけ…?なんか毎回同じことやってる気がする…」
「トレーニング記録つけようと思ったけど、面倒くさくて続かなかった。本当に記録って意味あるの?」
筋トレの停滞期(プラトー)。
それは、トレーニングに真剣に取り組む全ての人が、遅かれ早かれ直面する壁です。
「頑張っているのに、成長が感じられない」——この状況はモチベーションを奪い、多くのトレーニーを挫折へと導きます。
もしあなたが今、まさにその「伸び悩み」を感じているなら、その原因の一つは「トレーニング記録」をつけていないことにあるのかもしれません。
「記録なんて面倒くさい」「感覚で分かる」——そう思う気持ちも分かります。
しかし、断言します。
「記録なくして、継続的な成長なし」。
トレーニング記録は、単なる「日記」ではありません。
それは、あなたの現在地を知り、停滞の原因を分析し、そして成長への道筋(プログレッシブオーバーロード)を示す「航海日誌」であり、停滞期を打ち破るための最強の武器なのです。
この記事では、なぜトレーニング記録があなたの停滞期を打ち破る鍵となるのか、その科学的な理由と、記録をつけることの具体的なメリット、そして「ノート vs アプリ」どちらが良いか、何を記録すべきか、どうすれば継続できるか、といった実践方法を徹底解説します。
この記事でわかること
- なぜトレーニング記録をつけることが筋トレの停滞期打破に不可欠なのか
- 記録ツールとしての「ノート」と「アプリ」のメリット・デメリット比較
- 効果的なトレーニング記録に必要な7つの項目と、記録を継続させるためのコツ
なぜ筋トレに「記録」が不可欠なのか?忘却との戦い

まず、なぜ面倒な「記録」をつけることが、それほどまでに重要なのでしょうか?
それは、記録があなたのトレーニングにもたらす、計り知れないメリットがあるからです。
① プログレッシブオーバーロードの羅針盤となる
筋トレで成長し続けるための絶対原則は、「プログレッシブオーバーロード(漸進性過負荷)」——すなわち、常に前回よりも少しだけ強い負荷を筋肉に与え続けることです。
しかし、「前回、どの種目を、何キロで、何回、何セットやったか」を正確に覚えていなければ、「前回を超える」という目標設定自体ができません。
記録は、プログレッシブオーバーロードを確実に実践するための「羅針盤」となるのです。
② 停滞の原因分析と「気づき」を与えてくれる
「最近、ベンチプレスが伸びないな…」。
記録を見返せば、その原因が見えてくるかもしれません。
「補助種目(ダンベルフライなど)のボリュームが足りていない?」「前回、睡眠不足で調子が悪かったから?」「そもそも、前々回から回数が減っていた?」
記録は、あなたのトレーニングパターンやコンディションの変化を客観的に示し、停滞の原因を分析するための貴重なデータとなります。
感覚だけでは見逃してしまう「気づき」を与えてくれるのです。
③ モチベーション維持の強力な武器となる
体の変化は、すぐには現れません。
しかし、記録をつけていれば、「1ヶ月前より5kg重い重量が挙がるようになった!」「先週より1回多くできた!」といった数字での成長を、明確に実感することができます。
この「小さな成功体験」の可視化こそが、「自分はちゃんと進歩しているんだ」という自信と達成感を生み出し、モチベーションを維持するための強力な燃料となるのです。
人間の記憶は驚くほど曖昧
「いや、自分は全部覚えてるから大丈夫」——そう思っている人ほど危険です。
人間の記憶は、驚くほど曖昧で、都合よく書き換えられがちです。
「前回も10回できたはず…」と思い込んでいても、実際は8回しかできていなかったかもしれません。
客観的な「記録」に基づかないトレーニングは、知らず知らずのうちに停滞への道を歩んでいる可能性があるのです。
アナログ vs デジタル?「ノート」と「アプリ」徹底比較

「記録が大事なのは分かった。
じゃあ、何に記録すればいいの?」
主な選択肢は、昔ながらの「トレーニングノート」と、現代的な「スマホアプリ」です。
それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
【ノート派】メリット(自由度、集中、達成感)とデメリット(手間、集計困難)
・メリット:
自由度が高い:フォーマットにとらわれず、好きなようにメモ(フォームの気づき、体調など)を書き込める。
トレーニングに集中できる:スマホを開かないため、SNSなどの誘惑に邪魔されない。
手書きの達成感:ノートが埋まっていく過程が、努力の証としてモチベーションに繋がる。
・デメリット:
持ち運びがやや面倒。
記録に時間がかかる。
データ集計やグラフ化が困難。
過去の記録を探すのが大変。
【アプリ派】メリット(手軽さ、自動集計、グラフ化)とデメリット(スマホ依存、バッテリー、有料機能)
・メリット:
手軽さ:スマホ一つで完結。
入力も比較的簡単。
自動集計・グラフ化:各種目のMAX重量の推移や、総ボリュームなどを自動で計算・グラフ化してくれる。
成長が一目瞭然。
前回記録の表示:今回のセットで入力する際に、前回の重量と回数が表示されるため、オーバーロードを意識しやすい。
・デメリット:
スマホ依存:インターバル中に他のアプリ(SNSなど)を見てしまい、集中力が途切れる可能性がある。
バッテリー消費:充電が切れると記録できない。
入力の制約:ノートほどの自由なメモは書きにくい場合がある。
有料機能:高度な機能(グラフ分析など)は有料版のみの場合が多い。
どちらを選ぶべきか?(ライフスタイルと好み)
結論としては、「あなたが最も継続しやすい方」を選ぶべきです。
・ノートがおすすめな人:手書きが好き、スマホをジムに持ち込みたくない(集中したい)、自由にメモを取りたい人。
・アプリがおすすめな人:手軽さを最優先したい、データを自動で管理・分析したい、グラフで成長を見たい人。
最近ではアプリの機能性が非常に高まっているため、特にこだわりがなければ、まずは無料のトレーニング記録アプリから試してみるのがおすすめです。
アプリが僕の「停滞期」を暴いた
僕は、ジムに通い始めて1年。
なんとなく「中級者」になった気分でいましたが、ここ数ヶ月、体の変化も扱える重量も全く変わっていませんでした。
「停滞期かな…でも、毎回ちゃんと追い込んでるはずなのに…」。
そんな時、友人に勧められてトレーニング記録アプリを使い始めました。
過去3ヶ月分のトレーニング履歴(記憶を頼りに入力)と、現在のトレーニング内容を記録。
そして、アプリの「分析機能」を見て愕然としました。
各種目の「MAX重量」も「総ボリューム」も、この3ヶ月間、ほぼ横ばい。
グラフは完全に「停滞」を示していました。
僕は、「追い込んでいるつもり」になっていただけ。
プログレッシブオーバーロードが全く実践できていなかったのです。
アプリという「客観的なデータ」が、僕の「感覚」の誤りを容赦なく突きつけてきました。
ショックでしたが、同時に「原因が分かった!」という安堵感もありました。
その日から、僕はアプリで前回の記録を確認し、「+1回」でも「+1kg」でも超えることを目標に、トレーニングを再設計しました。
記録アプリは、僕の停滞期を終わらせるための、最高の「コーチ」になってくれました。
効果的な「トレーニング記録」に含めるべき7つの項目

ノートでもアプリでも、最低限これらの項目を記録することが、効果的な分析と成長に繋がります。
① 日付・曜日
いつトレーニングしたかの基本情報。
曜日を記録しておくと、週ごとのトレーニングパターンや頻度を把握しやすくなります。
② 種目名
行ったトレーニング種目を正確に記録します。
(例:ベンチプレス、ダンベルショルダープレス)
③ 重量(Weight)
使用したバーベル、ダンベル、マシンの重量(kgまたはlbs)を記録します。
自重トレーニングの場合は「BW(Body Weight)」などと記録。
④ 回数(Reps)
各セットで何回反復できたかを記録します。
限界まで追い込んだ場合は、その回数を記録。
⑤ セット数(Sets)
その種目を何セット行ったかを記録します。
(例:ベンチプレス 60kg × 10 reps × 3 sets)
⑥ インターバル(休憩時間)
セット間の休憩時間を記録します。
インターバルの長短もトレーニング強度に影響するため、記録しておくと、前回との比較や意図的な調整(例:インターバルを短くして強度を上げる)に役立ちます。
⑦ メモ欄(その日の体調、フォームの気づきなど)
これが意外と重要です。
「今日は睡眠不足で力が出なかった」「腰に少し違和感があった」「この角度の方が肩に効いた」など、その日のコンディションやフォームに関する「気づき」をメモしておくことで、後で記録を見返した時に、なぜ重量や回数が伸びた(あるいは落ちた)のかを分析する大きなヒントになります。
アプリ選びで失敗しないための「5つのチェックポイント」

アプリを使うと決めた場合、無数にあるアプリの中からどれを選べば良いのでしょうか?
① 操作のシンプルさ(記録が面倒にならないか)
最も重要です。
インターバル中に、ストレスなく素早く記録できるか?
入力画面が見やすいか?
操作が複雑すぎると、記録すること自体が面倒になり、続きません。
直感的に使えるシンプルなものがおすすめです。
② 種目データベースの豊富さとカスタマイズ性
一般的な種目があらかじめ登録されていると便利です。
また、自分がやっている特殊な種目や、自作の種目を自由に追加・編集できる「カスタマイズ性」も重要です。
③ 記録の可視化機能(グラフ、前回記録表示)
記録したデータを、グラフなどで分かりやすく表示してくれる機能があると、成長が一目で分かり、モチベーションに繋がります。
また、トレーニング中に「前回の記録(重量×回数)」がすぐに確認できる機能は、プログレッシブオーバーロードを実践する上で非常に役立ちます。
④ バックアップ機能・データ移行
長年記録したデータが、スマホの機種変更や故障で消えてしまっては悲劇です。
クラウドへのバックアップ機能や、データのエクスポート(書き出し)機能があるかを確認しましょう。
⑤ 無料版でどこまでできるか?有料版の価値は?
多くのアプリには無料版と有料版があります。
まずは無料版で基本的な機能(記録、前回記録表示など)が十分使えるかを試し、グラフ機能やバックアップ機能など、自分が必要だと感じる機能が有料版にある場合に、課金を検討するのが良いでしょう。
【タイプ別】人気トレーニング記録アプリの特徴(※機能中心)

特定のアプリ名は挙げませんが、一般的に見られるアプリのタイプとその特徴です。
タイプA:シンプルイズベスト!手軽さ重視のアプリ
記録機能に特化し、余計な機能が少ない。
とにかく素早く記録したい人向け。
無料版でも十分使えることが多い。
タイプB:データ分析・グラフ機能が充実したアプリ
MAX重量、総ボリューム、部位別ボリュームなどを自動で計算し、グラフで可視化してくれる。
自分の成長をデータで分析したい人向け。
有料版が多い傾向。
タイプC:SNS連携やコミュニティ機能があるアプリ
自分のトレーニング記録を共有したり、他のユーザーと交流したりできる機能がある。
仲間と励まし合いながら続けたい人向け。
(プライバシー設定には注意)
「記録」を三日坊主にしない!継続させるための3つのコツ

どんなに良いツールを選んでも、「継続」できなければ意味がありません。
① トレーニングの一部としてルーティン化する
記録を「面倒な追加作業」と捉えるのではなく、「トレーニングの最後の1セット」くらいの感覚で、トレーニングの流れの中に完全に組み込んでしまいましょう。
インターバル中や、種目が終わった直後に記録するのを「当たり前」にするのです。
② 完璧を目指さない(書き忘れても気にしない)
時には記録を忘れてしまう日もあるでしょう。
そんな時、「ああ、もうダメだ」と諦めてしまうのが一番良くありません。
1回忘れたくらいで、あなたの筋肉が消えるわけではありません。
「まあ、仕方ない。
次回からまたちゃんと記録しよう」と、気軽に考え、とにかく「続ける」ことを最優先しましょう。
③ 定期的に記録を見返し、成長を実感する
記録は、つけるだけでなく、「見返す」ことで、その真価を発揮します。
週に一度、あるいは月に一度、過去の記録を見返してみてください。
「始めた頃はこんなに軽かったんだ!」「着実に回数が増えてる!」という発見が、あなたの努力を肯定し、次へのモチベーションを燃え上がらせてくれるはずです。
手書きノートが僕の「お守り」になった
僕は、最初アプリで記録を始めましたが、どうもデジタルな画面がしっくりこず、結局シンプルな大学ノートに記録するスタイルに落ち着きました。
日付、種目、重量、回数、セット、そして簡単なメモ。
インターバル中にペンで書き込む。
そのアナログな作業が、僕には合っていました。
スマホを開かないので、余計な情報に邪魔されず、トレーニングに集中できるのも良かったです。
そして何より、そのノートが1冊、2冊と埋まっていく過程が、僕の「努力の証」そのものでした。
停滞期で心が折れそうになった時、僕は最初の頃のページを見返します。
バーだけでヒーヒー言っていたスクワット。
震える手で挙げていたベンチプレス。
「あの頃に比べたら、俺、めちゃくちゃ強くなってるじゃん!」。
手書きの記録は、僕にとって単なるデータではなく、過去の自分からの「励まし」であり、未来への「お守り」のような存在になっています。
まとめ:「記録」は未来の自分への最高の投資である

トレーニング記録は、決して「面倒な作業」ではありません。
それは、あなたの努力を可視化し、成長を加速させ、停滞を打ち破るための、最も確実で、最もコストのかからない「自己投資」です。
記録をつけることの重要性を、もう一度確認しましょう。
- オーバーロードの羅針盤:前回を超えるための目標設定が可能になる。
- 停滞の原因分析:客観的なデータが、問題点と解決策のヒントを与える。
- モチベーション維持:数字での成長実感が、継続の燃料となる。
- ノート vs アプリ:あなたが「続けやすい」方を選ぶのが正解(迷ったらアプリから)。
- 記録項目:日付、種目、重量、回数、セット、インターバル、メモ(気づき)。
- 継続のコツ:ルーティン化、完璧主義を捨てる、定期的に見返す。
「記録する者」と「記録しない者」の間には、1年後、必ず埋めがたい差が生まれます。
今日から、あなたのトレーニングの「航海日誌」をつけ始めませんか?



