筋トレの「停滞」を100%打破する!ピリオダイゼーション完全ガイド

筋トレの「停滞」を100%打破する!ピリオダイゼーション完全ガイド 筋トレ

「ベンチプレスの重量が、もう3ヶ月も変わっていない…」
「あんなに楽しかった筋トレが、最近はただの作業になってきた…」
「もう自分の遺伝的な限界が来たんだろうか…」

筋トレに本気で取り組むすべての人が、必ず一度は直面する巨大な壁。
それが「停滞期(プラトー)」です。
トレーニングを始めたばかりの頃は、面白いように重量が伸び、体も変わっていった(ビギナーゲイン)。
しかし、ある地点からピタリと成長が止まる。
昨日と同じメニュー、昨日と同じ重量。
鏡に映る体にも変化はなく、ジムに向かう足は重くなり、モチベーションは急速に失われていく…。
もしあなたが今、そんな「停滞」に苦しんでいるのなら、この記事はあなたのためのものです。
断言します。
その停滞は、あなたの「限界」ではありません。
それは、あなたのトレーニングが「次のステージ」に進むべきだという、体からの「サイン」です。

この記事では、なぜ停滞が起きるのかという科学的な理由から、その停滞を「100%打破する」ための最強の理論的武器――「ピリオダイゼーション(期分け)」について、初心者にも実践可能なレベルまで噛み砕いて徹底的に解説します。
がむしゃらなトレーニングは今日で終わりです。

「計画的」に強くなる理論を学び、再び成長を実感する喜びを取り戻しましょう。

この記事でわかること

  • なぜ筋トレの「停滞」が科学的に起きるのか
  • 停滞を打破する最強理論「ピリオダイゼーション」とは何か
  • あなたも明日から実践できる「ピリオダイゼーション」の具体的な組み方
    1. この記事でわかること
  1. なぜ「停滞」は起きるのか?伸び悩む3つの科学的理由
    1. 理由1:「漸進性過負荷の原則」が途絶えている
      1. 初心者を卒業した証拠(ビギナーゲインの終了)
      2. 体が「同じ刺激」に慣れきってしまった(適応)
    2. 理由2:オーバートレーニング(中枢神経系の疲労)
      1. 「常に全力」が逆効果になる時期
      2. 回復がトレーニングの負荷に追いついていない
    3. 理由3:トレーニングの「計画性」の欠如
      1. 「毎回同じ種目を同じ回数」というマンネリ
      2. 筋力、筋肥大、筋持久力…狙いが曖昧になっている
  2. 停滞打破の鍵「ピリオダイゼーション」とは何か?
    1. 「期分け」という考え方
      1. がむしゃらな「点」の練習から、計画的な「線」のトレーニングへ
      2. なぜエリートアスリートは全員これを取り入れるのか?
    2. ピリオダイゼーションの3つの「サイクル」
      1. マクロサイクル(大周期):数ヶ月〜1年の長期計画
      2. メゾサイクル(中周期):数週間〜数ヶ月の中期計画(例:筋肥大期、筋力期)
      3. ミクロサイクル(小周期):1〜2週間の短期計画(日々のメニュー)
  3. 【実践編】ピリオダイゼーションの主な種類と組み方
    1. 1. 線形ピリオダイゼーション(リニアモデル)
      1. 最もシンプルで初心者〜中級者向け
      2. どう組むか:高回数・低強度から、低回数・高強度へ徐々に移行する
      3. 具体例:12週間のベンチプレス強化プログラム
        1. Week 1-4(筋肥大基礎期):10回×3セット (70% 1RM)
        2. Week 5-8(筋力移行期):5回×3セット (80-85% 1RM)
        3. Week 9-12(ピーキング期):3回×3セット (90%+ 1RM)
    2. 2. 非線形ピリオダイゼーション(アンジュレーティングモデル)
      1. 中級者〜上級者向け、多くの筋トレ愛好家に最適
      2. どう組むか:「筋肥大の日」「筋力の日」などを1週間の中で変動させる
      3. 具体例:週2回スクワットを行う場合のDUPモデル
        1. 月曜(筋力デー):5回×4セット (高強度 85% 1RM)
        2. 木曜(筋肥大デー):10回×4セット (中強度 70% 1RM)
    3. 3. ブロック・ピリオダイゼーション
      1. エピソード:ベンチプレス100kgの壁と「DUP」との出会い
  4. ピリオダイゼーション導入で失敗しないための重要テクニック
    1. テクニック1:「1RM(最大挙上重量)」を正しく把握する
      1. 全ての計画の「基礎」となる数値
      2. 直接測定法 vs 間接測定法(RM換算表の使い方)
    2. テクニック2:「RPE」または「RIR」を導入する
      1. 「今日の調子」を反映させる最強のツール
      2. RPEとは?(自覚的運動強度)
      3. RIRとは?(残存レップ数:「あと何回できるか」)
    3. テクニック3:プログラムは「BIG3」から組み立てる
      1. スクワット、ベンチプレス、デッドリフトを軸にする理由
      2. 補助種目(アクセサリー)の組み込み方
  5. 【最重要】停滞打破を加速させる「トレーニング以外の要素」
    1. 計画に「戦略的ディロード」を組み込む
      1. 「休む」のもトレーニングのうち
      2. ディロードとは?(意図的な負荷の軽減期間)
      3. なぜディロードが「停滞」を打ち破るのか?(超回復の促進)
    2. 「栄養」のピリオダイゼーション
      1. 筋肥大期:明確なオーバーカロリー(PFCバランス)
      2. 筋力期・ピーキング期:メンテナンスカロリーの維持
    3. 「睡眠」と「ストレス管理」
      1. 神経系の回復は睡眠中にしか行われない
      2. エピソード:「ディロード」という名のチートデイ
  6. 筋トレの停滞とピリオダイゼーションに関するよくある質問(Q&A)
    1. Q. ダイエット中(減量中)でも停滞は起きますか?
    2. Q. ピリオダイゼーションは、筋肥大目的の人にも必要ですか?
    3. Q. プログラムの途中で重量が上がらなくなったら?
    4. Q. どのくらいの頻度でプログラムを見直すべきですか?
  7. まとめ:停滞は「限界」の合図ではなく、「変化」を求めるサイン

なぜ「停滞」は起きるのか?伸び悩む3つの科学的理由

なぜ「停滞」は起きるのか?伸び悩む3つの科学的理由

停滞を打破するには、まず「なぜ停滞するのか」という敵の正体を知る必要があります。
あなたの努力不足や才能のせいではありません。
停滞は、トレーニングを継続していれば誰にでも起こる、極めて科学的かつ生理的な現象なのです。

理由1:「漸進性過負荷の原則」が途絶えている

筋トレの最も重要な大原則に「漸進性過負荷の原則(ぜんしんせいかふかのげんそく)」があります。
これは、「筋肉を成長させるためには、常に昨日よりも『少しだけ強い』負荷を与え続けなければならない」というルールです。

初心者を卒業した証拠(ビギナーゲインの終了)

トレーニング初期は、体が「筋トレ」という新しい刺激に慣れていないため、少しの刺激でも簡単に「過負荷」を達成できます。
これが「ビギナーゲイン」です。
しかし、トレーニングを継続すると体は賢くなり、その刺激に適応します。
つまり、あなたの停滞は、あなたが初心者を卒業し、体が強くなった「証拠」でもあるのです。

体が「同じ刺激」に慣れきってしまった(適応)

停滞の最大の原因は、体が現在のトレーニング負荷に「適応」しきってしまい、それがもはや「過負荷」ではなくなっていることにあります。
例えば、ベンチプレス60kg×10回×3セットを半年間ずっと続けていると、体は「ああ、この負荷ね。
もう筋肉を増強しなくても対応できるよ」と判断し、成長を止めてしまうのです。

理由2:オーバートレーニング(中枢神経系の疲労)

「停滞しているのは努力が足りないからだ!」と信じ、さらにトレーニング量を増やしたり、頻度を上げたりする人がいます。
しかし、これが逆効果になるケースが非常に多いです。

「常に全力」が逆効果になる時期

常に100%の力で、毎回限界まで追い込むトレーニングは、一見すると効果的に見えます。
しかし、筋肉の回復が追いついても、「筋肉に指令を出す」役割の中枢神経系(脳や脊髄)が疲労困憊してしまうことがあります。
これを「オーバートレーニング症候群」と呼びます。

回復がトレーニングの負荷に追いついていない

中枢神経系が疲弊すると、「いつもより重く感じる」「力が入らない」「やる気が出ない」といった症状が現れます。
これは、体が「お願いだから休んでくれ」と悲鳴を上げているサインです。
この状態でトレーニングを続けても、パフォーマンスは下がる一方で、停滞を悪化させるだけです。

理由3:トレーニングの「計画性」の欠如

ジムに行き、その日の気分で空いているマシンをやり、なんとなく疲れたら帰る。
このような「計画性のない」トレーニングでは、ビギナーゲインが終わった途端に停滞します。

「毎回同じ種目を同じ回数」というマンネリ

先ほどの「適応」とも関連しますが、トレーニングメニューがマンネリ化することは、脳にも体にも「新しい刺激」を与えません。
「先週より1kgでも重く」「先週より1回でも多く」という明確な目標がないトレーニングは、ただの「運動」であり、「筋肥大・筋力向上のための作業」にはなり得ません。

筋力、筋肥大、筋持久力…狙いが曖昧になっている

あなたは今日のトレーニングで、「重いものを持ち上げる能力(筋力)」を伸ばしたいのですか? それとも「筋肉の断面積(筋肥大)」を増やしたいのですか?
この二つは、似ているようでアプローチ(適切なレップ数やセット数)が異なります。
自分の目的が曖昧なままでは、効果的なプログラムを組むことはできません。

停滞打破の鍵「ピリオダイゼーション」とは何か?

停滞打破の鍵「ピリオダイゼーション」とは何か?

これら3つの停滞理由(適応、疲労、無計画)のすべてを、論理的に解決する最強のメソッド。
それが「ピリオダイゼーション(Periodization)」です。
日本語では「期分け」と呼ばれます。

「期分け」という考え方

ピリオダイゼーションとは、トレーニングの目的(筋肥大、筋力向上、ピーキングなど)に応じて期間を「分ける」ことで、トレーニングの「マンネリ化(適応)」を防ぎ、計画的に「疲労」を管理し、長期的にパフォーマンスを向上させるためのトレーニング理論・計画法です。

がむしゃらな「点」の練習から、計画的な「線」のトレーニングへ

「毎回全力でベンチプレスMAX測定!」というのは、その日限りの「点」の練習です。
ピリオダイゼーションは違います。
「3ヶ月後にベンチプレスのMAXを5kg伸ばす」というゴール(点)に向かって、「今週は何をすべきか」「来月は何をすべきか」という「線」で計画を立てるアプローチです。
これにより、体は常に新鮮な刺激を受け続けることができ、中枢神経系の疲労も計画的にコントロールできます。

なぜエリートアスリートは全員これを取り入れるのか?

オリンピック選手やパワーリフターなど、高いレベルで競うアスリートたちは、ほぼ100%このピリオダイゼーションを取り入れています。
なぜなら、人間の体が「常に右肩上がりに成長し続ける」ことは不可能であり、「計画的な刺激の変化」と「計画的な休養」こそが、長期的な成功に不可欠であることを知っているからです。

ピリオダイゼーションの3つの「サイクル」

「理論」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、構造はシンプルです。
ピリオダイゼーションは、以下の3つのサイクル(周期)で構成されています。

マクロサイクル(大周期):数ヶ月〜1年の長期計画

最も大きな枠組みです。
「次の大会まで」「夏までに体をデカくする」といった、数ヶ月から1年単位の長期的な目標を指します。

メゾサイクル(中周期):数週間〜数ヶ月の中期計画(例:筋肥大期、筋力期)

マクロサイクルを達成するために、具体的な目的に特化した期間(ブロック)に分割したものです。
例えば、「最初の4週間は筋肉を大きくする『筋肥大期』」「次の4週間は重さに慣れる『筋力期』」といった具合に分けます。
これがピリオダイゼーションの核となる部分です。

ミクロサイクル(小周期):1〜2週間の短期計画(日々のメニュー)

メゾサイクルをさらに細かく分け、1週間単位の具体的なトレーニングスケジュールに落とし込んだものです。
「月曜は高強度の日、木曜は中強度の日」といった日々のメニューを指します。

【実践編】ピリオダイゼーションの主な種類と組み方

【実践編】ピリオダイゼーションの主な種類と組み方

「ピリオダイゼーションが停滞打破に効くのはわかった。
でも、具体的にどう組めばいいんだ?」
ここからは、あなたも明日から実践できる、代表的なピリオダイゼーションのモデルを2つ、具体例と共に紹介します。

1. 線形ピリオダイゼーション(リニアモデル)

最もオーソドックスで、シンプルかつ効果的なモデルです。
特に、特定の種目(例:ベンチプレス)の筋力を伸ばしたい、初心者〜中級者に非常におすすめです。

最もシンプルで初心者〜中級者向け

「線形(リニア)」という名前の通り、時間が経過するにつれて「トレーニング強度(使用重量)」を直線的に上げていき、代わりに「トレーニング量(レップ数)」を直線的に下げていく方法です。

どう組むか:高回数・低強度から、低回数・高強度へ徐々に移行する

メゾサイクルを「①筋肥大基礎期」→「②筋力移行期」→「③ピーキング(神経系強化)期」と明確に分け、徐々に重さに体を適応させていきます。

具体例:12週間のベンチプレス強化プログラム

仮にあなたのベンチプレス1RM(1回ギリギリ上がる最大重量)が100kgだとします。

Week 1-4(筋肥大基礎期):10回×3セット (70% 1RM)

まずは土台となる筋肉の「サイズ」を大きくします。
1RMの70%(=70kg)で、10回×3セットを目標に行います。
筋肉を大きくし、関節や腱を中負荷に慣らす時期です。

Week 5-8(筋力移行期):5回×3セット (80-85% 1RM)

次に、筋肉の「力」を発揮できるようにします。
1RMの80〜85%(=80〜85kg)で、5回×3セットを目標にします。
筋肥大と筋力の両方をバランスよく伸ばす時期です。

Week 9-12(ピーキング期):3回×3セット (90%+ 1RM)

最後に、神経系を「重さ」に慣れさせ、最大の力を発揮できるように調整します。
1RMの90%以上(=90kg〜)で、1〜3回×3セットを行います。
そして最終週(Week 12)に、新しい1RM(例:105kg)に挑戦します。
このように、計画的に負荷を変化させることで、体は「適応」する暇がなく、常に新しい刺激として受け取り続け、結果として停滞を打破できるのです。

2. 非線形ピリオダイゼーション(アンジュレーティングモデル)

「12週間も同じ種目の計画を立てるのは難しい」「筋力も筋肥大も同時に追い求めたい」という、多くの筋トレ愛好家(中級者以上)に最適なのが、このモデルです。
特に DUP (Daily Undulating Periodization) と呼ばれる手法が人気です。

中級者〜上級者向け、多くの筋トレ愛好家に最適

「非線形(アンジュレーティング=波打つ)」の名の通り、メゾサイクル(数週間)単位ではなく、ミクロサイクル(1週間)単位で強度やレップ数を「波立たせる」方法です。

どう組むか:「筋肥大の日」「筋力の日」などを1週間の中で変動させる

線形モデルが「4週間は筋肥大、次の4週間は筋力」とブロック分けするのに対し、非線形モデルは「月曜は筋力、木曜は筋肥大」というように、1週間の中で目的を変えます。

具体例:週2回スクワットを行う場合のDUPモデル

あなたが週に2回、スクワットのトレーニングをするとします。

月曜(筋力デー):5回×4セット (高強度 85% 1RM)

月曜日は「筋力」を伸ばす日と決め、高強度(85% 1RM)で低回数(5回)のトレーニングを行います。
神経系に強い刺激を入れます。

木曜(筋肥大デー):10回×4セット (中強度 70% 1RM)

木曜日は「筋肥大」を狙う日と決め、中強度(70% 1RM)で高回数(10回)のトレーニングを行い、筋肉に代謝的ストレス(パンプ感)を与えます。
この方法の最大のメリットは、筋力と筋肥大という異なる刺激を、疲労を分散させながら同時に追求できる点にあります。
「常に全力」ではなく、強度に波を持たせることで、中枢神経系の疲労を防ぎながら、マンネリ化を完璧に回避できるのです。

3. ブロック・ピリオダイゼーション

上級者向けの参考モデルです。
「筋持久力ブロック(3週間)」「筋肥大ブロック(4週間)」「筋力ブロック(3週間)」のように、特定の能力に特化した期間(ブロック)を積み重ねていく方法です。
非常に高度な計画が必要ですが、特定の競技(パワーリフティングなど)でピークパフォーマンスを発揮するために使われます。

エピソード:ベンチプレス100kgの壁と「DUP」との出会い

僕もベンチプレスが95kgからピタリと止まった経験があります。100kgの壁。焦って毎日ベンチプレス台に向かい、潰れる日々。重量は増えず、右肩に違和感さえ出始めました。「もう限界か」と諦めかけた時、SNSで「DUP(非線形ピリオダイゼーション)」を知りました。半信半疑で、「高強度の日(5レップ)」と「中強度の日(10レップ)」に分けるプログラムを組んでみたのです。すると驚いたことに、あれほど停滞していたのに、3週間後には高強度の日が「軽く」感じ始め、6週間後、僕はついに100kgを挙げることができました。僕に足りなかったのは筋力ではなく、「計画」だったのです。

ピリオダイゼーション導入で失敗しないための重要テクニック

ピリオダイゼーション導入で失敗しないための重要テクニック

計画を立てる上で、絶対に欠かせない「テクニック」があります。
これを知らないと、せっかくの計画が絵に描いた餅になってしまいます。

テクニック1:「1RM(最大挙上重量)」を正しく把握する

ピリオダイゼーションは、全ての負荷設定を「1RMの何%」という形で決定します。
そのため、自分の「1RM」が何kgなのかを、できるだけ正確に把握することがスタートラインです。

全ての計画の「基礎」となる数値

1RMが不明確だと、プログラム全体が崩壊します。
70% 1RMで組むべきところを、感覚でやって80%になっていれば、それは単なるオーバートレーニングであり、計画的な疲労管理は不可能です。

直接測定法 vs 間接測定法(RM換算表の使い方)

安全に1RMを測る「直接測定法」は、補助者がいないと危険です。
そこでおすすめなのが「間接測定法」です。
例えば、「80kgのベンチプレスが5回ギリギリ上がった」とします。
これを「RM換算表」(ネットで検索できます)に当てはめると、「5RM = 80kg」の場合、「1RM = 約91kg」と推定できます。
この91kgを「推定1RM」として、プログラムの%計算の基礎にします。

テクニック2:「RPE」または「RIR」を導入する

「今日は調子が良い」「今日は寝不足で力が入らない」
人間のコンディションは毎日変わります。
プログラムで「80kgで5回」と決まっていても、日によってはそれが簡単すぎたり、逆に重すぎたりします。
この「その日の調子」をプログラムに反映させる最強のツールが「RPE」と「RIR」です。

「今日の調子」を反映させる最強のツール

RPE (Rate of Perceived Exertion) は「自覚的運動強度」
RIR (Reps in Reserve) は「残存レップ数(あと何回できるか)」
を意味します。
RIRの方がシンプルで使いやすいでしょう。

RPEとは?(自覚的運動強度)

「RPE 10」が「もうこれ以上1回も反復できない限界」で、「RPE 9」が「あと1回はできた」、「RPE 8」が「あと2回はできた」という感覚の指標です。

RIRとは?(残存レップ数:「あと何回できるか」)

RIRはRPEの逆です。
「RIR 1」=「あと1回できる余力を残す」
「RIR 2」=「あと2回できる余力を残す」
プログラムを「80kg×5回」と固定するのではなく、「80kgでRIR 2(あと2回余力)で5回」というように設定します。
もし調子が良くて、80kgで5回やっても「あと3回以上できそう」なら、次セットから重量を82.5kgに上げます。
逆に調子が悪く、80kgで5回やったら「もう限界(RIR 0)」なら、次セットは77.5kgに下げます。
これにより、プログラムの柔軟性が格段に上がり、オーバートレーニングを防ぎつつ、常に最適な「過負荷」をかけることができます。

テクニック3:プログラムは「BIG3」から組み立てる

ピリオダイゼーションは、全身の筋肉を連動させ、神経系に強い刺激を与える「BIG3(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト)」、あるいはオーバーヘッドプレスやベントオーバーロウといった「多関節種目」から優先的に組み立てます。

スクワット、ベンチプレス、デッドリフトを軸にする理由

これらの種目は、体の「土台」となる筋力と筋量を最も効率的に向上させます。
これらの種目が伸びれば、他のアームカールやサイドレイズといった「補助種目」も自然と伸びていきます。

補助種目(アクセサリー)の組み込み方

BIG3のプログラムを組んだ後、残った体力で補助種目を行います。
補助種目まで厳密に%管理する必要はなく、「RIR 1-2」の範囲で、自分の弱点部位を10〜15回程度で刺激するのが一般的です。

【最重要】停滞打破を加速させる「トレーニング以外の要素」

【最重要】停滞打破を加速させる「トレーニング以外の要素」

完璧なプログラムを組んでも、それ以外の生活(食事・休養)が疎かであれば停滞は打破できません。
ピリオダイゼーションは、トレーニングだけでなく、これらの要素にも計画性を持たせることで真価を発揮します。

計画に「戦略的ディロード」を組み込む

これが停滞打破の「裏技」であり、ピリオダイゼーションの核心の一つです。
「常に全力」が中枢神経系の疲労を招くと説明しました。
その解決策が「戦略的ディロード」です。

「休む」のもトレーニングのうち

ディロードとは、メゾサイクルの最後(例:4週間に1回)や、停滞を感じた時に、意図的にトレーニングの強度や量を「下げる」期間(通常1週間)を設けることです。

ディロードとは?(意図的な負荷の軽減期間)

具体的には、「いつもより使用重量を20%下げる」あるいは「セット数を半分にする」などです。
ジムには行きますが、「物足りないな」というレベルで切り上げます。

なぜディロードが「停滞」を打ち破るのか?(超回復の促進)

ディロードの目的は、蓄積した筋肉や中枢神経系の「疲労」を完全に抜き去ることにあります。
この1週間の「積極的休養」によって、体は万全の状態に「超回復」します。
そして、ディロード明けのトレーニングでは、これまで停滞していた重量が嘘のように軽く感じ、停滞の壁を突き破るエネルギーが満ち溢れていることに驚くはずです。
「急がば回れ」ならぬ、「押してダメなら休んでみろ」です。

「栄養」のピリオダイゼーション

トレーニングプログラムに合わせて、栄養摂取(食事)も変える必要があります。

筋肥大期:明確なオーバーカロリー(PFCバランス)

「Week 1-4」のような筋肥大期は、筋肉の材料を大量に必要とします。
この時期は、消費カロリーを上回る「オーバーカロリー」状態を意図的に作り、特にPFCバランス(タンパク質、脂質、炭水化物)を意識したクリーンバルクを実践します。

筋力期・ピーキング期:メンテナンスカロリーの維持

「Week 9-12」のような高強度・低レップの筋力・ピーキング期は、筋肥大期ほど多くのカロリーは必要ありません。
無駄な脂肪をつけないためにも、消費カロリー=摂取カロリーの「メンテナンスカロリー」を維持することが推奨されます。

「睡眠」と「ストレス管理」

最後に、見落とされがちなのが睡眠です。

神経系の回復は睡眠中にしか行われない

筋肉の修復はもちろん、中枢神経系の疲労回復は、主に「睡眠中」に行われます。
どれほど完璧なプログラムと栄養管理をしても、睡眠時間が毎日5時間では、体は回復せず、停滞は打破できません。
最低7時間以上の質の高い睡眠を確保することも、あなたのトレーニングプログラムの一部なのです。

エピソード:「ディロード」という名のチートデイ

僕はかつて「休むこと=悪」だと信じていました。ディロードという概念を知っても、「強くなりたいのに休むなんて、サボっているだけだ」と。しかし、何をしてもスクワットの重量が伸びない停滞期が訪れ、藁にもすがる思いで1週間のディロード(重量を全て20%オフ)を試しました。正直、物足りなくて不安でした。しかし翌週、ディロード明けの最初のスクワット。バーを担いだ瞬間「軽い!?」と。結果、停滞していた重量を1回多くクリアできたのです。あの時、「疲労を抜く」ことが、次のレベルに進むための「必要なジャンプの溜め」なのだと痛感しました。

筋トレの停滞とピリオダイゼーションに関するよくある質問(Q&A)

筋トレの停滞とピリオダイゼーションに関するよくある質問(Q&A)

最後に、停滞とピリオダイゼーションに関するよくある疑問についてお答えします。

Q. ダイエット中(減量中)でも停滞は起きますか?

A. はい、起きます。
ただし、減量中の停滞は「アンダーカロリーによるエネルギー不足」が主な原因であることが多いです。
ピリオダイゼーション(特に非線形)は、減量中に「筋力をなるべく維持する」ためにも非常に有効な手段です。
また、食事(カロリー)を計画的に増減させる「リフィード」も、減量中の停滞打破には有効です。

Q. ピリオダイゼーションは、筋肥大目的の人にも必要ですか?

A. 必須と言えます。
「線形ピリオダイゼーション」の例で示した通り、筋肥大を最大化するためにも、土台となる「筋力」を伸ばす時期が必要です。
筋力が強くなれば、結果として筋肥大トレーニング(10レップ)で扱える重量も増え、より強い刺激を筋肉に与えられるようになります。
筋力と筋肥大は、相互に補完し合う関係なのです。

Q. プログラムの途中で重量が上がらなくなったら?

A. 素晴らしい質問です。
それは、計画が順調に進んでいる証拠か、あるいは疲労が溜まっているサインです。
まずは「RPE/RIR」のテクニックを使い、その日のコンディションに合わせて重量やレップ数を微調整します。
それでも2〜3週間連続で計画通りのレップ数がこなせない場合は、プログラムが終了していなくても、1週間の「ディロード」を挟むことを強く推奨します。
疲労をリセットすることで、再びプログラムに戻ることができます。

Q. どのくらいの頻度でプログラムを見直すべきですか?

A. 線形モデルであれば、計画したサイクル(例:12週間)が終了し、1RMを測定した後です。
新しい1RMを基に、再び新しい12週間のプログラムを組みます。
非線形モデル(DUP)の場合、1RMの伸びや体の調子を見ながら、4〜8週間ごと(1メゾサイクルごと)に、設定重量やレップ数の構成を見直すのが一般的です。

まとめ:停滞は「限界」の合図ではなく、「変化」を求めるサイン

まとめ:停滞は「限界」の合図ではなく、「変化」を求めるサイン

筋トレの「停滞」は、あなたが挫折すべき「壁」ではありません。
それは、あなたの体が「今の刺激にはもう慣れたよ。
もっと賢く、もっと計画的に、新しい刺激をくれないか?」と問いかけてきている「サイン」です。
がむしゃらにトレーニング時間を延ばしたり、闇雲に重量を追いかけたりするステージは、もう終わりです。
ピリオダイゼーションという「計画性」と、ディロードという「戦略的休養」を手に入れること。
それこそが、停滞という厚い雲を突き破り、再び「成長」という青空に出会うための、唯一にして最強の武器となります。
停滞を悲観せず、自分のトレーニングを次のレベルに引き上げるチャンスだと捉えましょう。

この記事で学んだ「理論」を、明日からの「実践」に変え、計画的に、そして賢く、あなたの限界(だと思っていたもの)を超えていってください。
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