「ジムに入会したけど、なんか独特の雰囲気で怖いな…」
「このダンベル、使い終わったらどこに戻すのが正解なの?みんなの視線が痛い…」
「知らないうちに『迷惑なヤツ』って思われてないかな?何がNG行動なのか知りたい!」
ジムに入会し、やる気に満ち溢れているあなた。
しかし、器具の使い方やトレーニングメニュー以前に、「ジムでの振る舞い方」に不安を感じ、萎縮してしまっていませんか?
ジムは、学校や職場とは違う「独特の文化」と「暗黙のルール」が存在する特殊な空間です。
恐ろしいのは、「悪気はなかったのに、知らないうちに重大なマナー違反をしていた」ということ。
それが原因で、ベテラン会員から冷たい目で見られたり、最悪の場合はスタッフから注意を受けたりして、ジムに通うこと自体が苦痛になってしまうのです。
この記事では、あなたがジムで「迷惑な人」認定され、恥ずかしい思いをしないために、絶対に守るべき「最低限のマナー」と、上級者たちが自然に守っている「暗黙のルール」を徹底的に解説します。

この記事でわかること
- なぜジムでは「マナー」がトレーニングの成果と同じくらい重要視されるのか
- 初心者が最もやりがちな、マシン・フリーウェイトエリアでのNG行動10選
- 上級者が守っている「暗黙のルール」と、ジムで快適に過ごすためのQ&A
なぜジムの「マナー」はこれほど重要なのか?
「マナーなんて堅苦しい」「トレーニングしに来てるんだから自由だろ」と思うかもしれませんが、その考えは非常に危険です。
ジムのマナーは、単なる「お行儀」の問題ではありません。
① 「無知」が「迷惑」になる。ジムは「共有スペース」である
ジムは、月額料金を払った人全員が「共有」で使うスペースです。
あなたが使ったマシンやダンベルは、次の人が使います。
「知らなかった」では済まされないルールを守れない人は、他の会員全員のトレーニング環境を悪化させる「迷惑な存在」と見なされてしまいます。
② 「悪気」がなくても、他人のトレーニングの質を下げている
例えば、あなたがインターバル中にスマホをいじり、マシンを10分間占領したとします。
あなたに悪気はなくても、そのマシンを使いたい他の人は、10分間も待たされ、トレーニングの流れが止まり、体が冷えてしまいます。
あなたの「無知」や「無神経」が、他人の貴重なトレーニング時間を奪い、その日の成果を台無しにしている可能性があるのです。
③ マナー違反は、最悪の場合「怪我」に繋がる
最も恐ろしいのがこれです。
例えば、あなたが使った40kgのダンベルを、10kgのダンベルラックに戻したとします。
次の人が10kgのつもりでそれを持ち上げたら、どうなるでしょう?
重さの違いに驚いてバランスを崩し、腰や肩に深刻な怪我を負うかもしれません。
マナー違反は、他人の安全を脅かす「危険行為」でもあるのです。
【最重要】フリーウェイトエリアの「暗黙のルール」5選
ジムの中で、最も「暗黙のルール」が厳格とされるのが、ダンベルやバーベルを扱う「フリーウェイトエリア」です。
ここは怪我のリスクも高いため、特に注意が必要です。
① 使ったダンベル・プレートを「絶対に」元の場所に戻す
これはマナー以前の「義務」です。
10kgのダンベルは「10kg」と書かれたラックに、20kgのプレート(重り)は「20kg」の場所に戻す。
これができない人は、ジムを使う資格がありません。
「元にあった場所に、元にあった形で戻す」——これが鉄則です。
片付けないのは、レストランで食べ終わった食器を床に投げ捨てるのと同じ行為だと心得ましょう。
② パワーラックの長時間占有(インターバル中のスマホいじり)
パワーラックやスミスマシンは、ジムの中でも最も人気があり、台数が限られた「共有財産」です。
セット間のインターバル(休憩)は、長くても2〜3分。
その間、スマホをいじって5分も10分も占領し続けるのは、最も嫌われる迷惑行為の一つです。
インターバル中はマシンから離れ、他の人に「使ってもいいですよ」と譲る(シェアする)文化があります。
③ 鏡の前を占領し、他の人の視界を遮る
フリーウェイトエリアの鏡は、単なる身だしなみチェック用ではありません。
他のトレーニーが、自分のフォームを確認するために使っています。
ダンベルを持って鏡の真ん前に陣取り、他の人の視界を完全に塞いでしまうのはNG。
少し距離を取るか、他の人の邪魔になっていないか、常に周囲に気を配りましょう。
④ 床に置いたバーベルを「跨ぐ(またぐ)」
これは、トレーニー(特にパワーリフター)の間で古くからある「暗黙のルール」です。
床に置かれたバーベル(特に誰かがセットアップしたもの)を跨ぐ行為は、「非常に失礼な行為」と見なされます。
「他人の神聖な道具を踏みつける」ようなイメージです。
悪気なくやってしまいがちですが、絶対に避け、バーベルは必ず迂回するようにしましょう。
⑤ 「デッドリフト」NGの場所で行う
デッドリフトは、高重量のバーベルを床から引き上げるため、床に「衝撃」と「音」が響きます。
多くのジムでは、デッドリフトを行ってよい専用のプラットフォーム(床がゴムで補強されている場所)が決まっています。
それを知らずに、パワーラックの中や、何もない場所でガンガンとバーベルを床に落とすのは、器具の破損と騒音に繋がる重大なマナー違反です。
僕が「戻せよ…」と呟かれた日
ジムに入会したての頃、僕はダンベルフライ(胸トレ)に挑戦しました。
15kgのダンベルを2つ使いましたが、終わった時にはもうヘトヘト。
早くプロテインが飲みたくて、使ったダンベルを、たまたま空いていた「8kg」のラックの前に置いて、その場を去ってしまいました。
その時、近くにいた上級者から「おい、戻せよ…」と冷たく呟かれたのを聞き逃しませんでした。
ビクッとした僕は、「すみません!」と慌ててダンベルを持ち上げ、正規の「15kg」の場所に戻しました。
あの時の「冷たい視線」と「恥ずかしさ」は忘れられません。
「疲れている」は、片付けない理由にはならない。
片付けまでがトレーニングだ、と痛感した瞬間でした。
【マシンエリア】初心者がやりがちなNG行動4選
マシンエリアは、初心者でも使いやすい反面、だからこそやりがちなマナー違反があります。
① 汗を拭かずにマシンを去る(最悪のマナー違反)
ジムで最も嫌われる行為、ナンバーワンです。
あなたが使った後のシートやグリップが、汗でビショビショだったら、次の人はどう思うでしょう?
ジムには必ず「備え付けのタオル(雑巾)」や「アルコールスプレー」が設置されています。
自分が触れた場所、汗が落ちた場所は、次の人が不快にならないよう、必ず拭き取ってから去る。
これは、人としての最低限のエチケットです。
② マシンで「長すぎるインターバル」を取り、占領し続ける
フリーウェイトエリアと同じく、マシンも共有物です。
1セット終わるごとに、スマホでSNSをチェックし、5分も10分も座り続けるのは「占領」行為です。
インターバル中も、他の人が使いたそうにしていたら、「あと何セットですか?」「一緒に使いませんか?」と声をかけられる「隙」を見せるのがマナーです。
③ 器具を「ガチャン!」と乱暴に下ろす(ドロップ)
限界まで追い込んだ後、重りを「ガシャーン!」と乱暴に下ろしていませんか?
それは、あなたが「頑張ったアピール」をしているようにしか見えません。
大きな音は周囲の人を威嚇し、不快にさせます。
さらに、マシンの破損にも繋がります。
「下ろす動作(ネガティブ)までがトレーニング」です。
最後までコントロールし、そっと重りを置くのが上級者の振る舞いです。
④ 複数のマシンを同時に掛け持ちする(サーキットトレーニング)
ジムが混雑している時に、胸のマシン、背中のマシン、腹筋のマシン…と、3つも4つも同時に「自分の場所」としてタオルを置いてキープする行為。
これは最悪の迷惑行為です。
他の人は一切そのマシンが使えなくなってしまいます。
サーキットトレーニングは、ジムが空いている時間帯を見計らって行うか、混雑時は諦めるのがマナーです。
【その他】ジムの「快適性」を保つための重要マナー
器具の使い方以外にも、ジムという空間全体で気をつけるべきマナーがあります。
① 大きすぎる「うめき声」や「掛け声」
高重量を扱う際、多少の声が出るのは生理現象であり、仕方のないことです。
しかし、「フンッ!」「ウオォォ!」と、必要以上に大声を張り上げ、周囲を威嚇するような行為はNGです。
静かに集中したい人にとっては、ただの「騒音」でしかありません。
声のボリュームには配慮しましょう。
② 更衣室(ロッカー)での長時間の占拠やスマホ
更衣室(ロッカー)も共有スペースです。
トレーニング後に裸のまま、ロッカーの前でスマホを延々とチェックしたり、友人とのおしゃべりに夢中になったりしないでください。
他の人がロッカーを使えず、着替えるのに邪魔になっています。
着替えは速やかに行い、ロッカー前を占拠しないようにしましょう。
③ 他のトレーニーへの「ジロジロ見」や「勝手なアドバイス」
初心者は、上級者のフォームを参考にしたい気持ちは分かりますが、露骨に「ジロジロ」と見続けるのは相手に不快感を与えます。
さらに最悪なのが、求められてもいないのに「そのフォーム、違いますよ」「こうした方がいいですよ」と勝手にアドバイスをする、「教え魔」になることです。
親切のつもりでも、相手にとっては迷惑でしかありません。
アドバイスは、プロのトレーナーか、相手から明確に求められた時だけにするものです。
「インターバル、座ったままでいいですか?」
マシン(レッグプレス)の使い方を覚えたての頃、僕はインターバル中も疲れて座ったまま、スマホで次の種目を調べていました。
すると、体格の良い男性が近づいてきて、「あの、インターバル中ですか?」と声をかけてきました。
「あ、はい!すみません!」と慌てて立ち上がると、彼は「ありがとうございます。
もしよかったら、インターバル中に1セットだけやらせてもらってもいいですか?」と非常に丁寧に聞いてくれました。
「もちろんです!」と僕は答えました。
彼は1分ほどでサッと1セット終えると、「ありがとうございました!お先にどうぞ!」と爽やかに去っていきました。
僕は衝撃を受けました。
僕の「無知な占領」を責めるでもなく、高圧的にどかすでもなく、非常にスマートな「シェア」を提案してくれたのです。
これが上級者のマナーか、と感銘を受けました。
それ以来、僕もインターバル中は必ずマシンから立ち、周囲に「どうぞ」という姿勢を見せるようにしています。
これってOK?初心者が迷うQ&A
最後に、初心者が「これって、やってもいいの?」と迷いがちなグレーゾーンについてお答えします。
Q1. 補助(スポット)をお願いしてもいい?
A1. OKですが、相手とタイミングを選びましょう。
ベンチプレスで限界に挑戦したい時など、補助(スポット)は重要です。
しかし、明らかに集中している人や、イヤホンで自分の世界に入っている人に声をかけるのはNG。
手が空いていそうなトレーナーや、自分と同じくらいのレベルでトレーニングしている人に、「すみません、次のセット、1回だけ補助をお願いできませんか?」と丁寧に頼んでみましょう。
快く引き受けてくれるトレーニーは多いです。
終わったら、必ず大きな声で感謝を伝えましょう。
Q2. インターバル中、マシンに座ったままでもいい?
A2. 混雑時はNG。立ち上がって譲る姿勢を見せるのがベスト。
前述の通り、座ったままスマホをいじるのは最悪です。
ジムが空いていれば問題ありませんが、混雑している時間帯は、インターバル中はマシンから離れて水分補給などを行い、「空いてますよ」というサインを出すのがスマートです。
「シェア(共同利用)」の精神を忘れないでください。
Q3. 写真や動画を撮影してもいい?
A3. ジムのルールを要確認。撮影OKでも「他人が映り込まない」のが絶対条件。
フォームの確認や、成長の記録のために撮影したい気持ちは分かります。
しかし、多くのジムでは「撮影禁止」か「許可制」になっています。
まずはルールを確認しましょう。
撮影がOKなジムであっても、他の利用者が絶対に映り込まないように配慮するのは、人としての最低限のマナーです。
SNSにアップする際は、さらに厳重なチェックが必要です。
まとめ:「郷に入っては郷に従え」。マナーは自分と他人を守る鎧である
ジムのマナーは、一見すると堅苦しく、面倒に感じるかもしれません。
しかし、それらは全て、そこにいる全員が「快適」に、そして「安全」にトレーニングを行うために、長い年月をかけて培われてきた「知恵」であり「文化」です。
重要なポイントを最後におさらいします。
- 最悪のマナー違反:「汗を拭かない」「器具を片付けない」。
- フリーウェイトエリア:「占領しない」「バーベルを跨がない」「重量を元に戻す」。
- マシンエリア:「占領しない(スマホいじらない)」「大きな音を立てない」。
- 共通:「シェア(共有)」の精神と、周囲への「リスペクト」を忘れない。
「初心者だから」と萎縮する必要はありません。
「初心者だから」とマナーを知らないままでいるのが問題なのです。
この記事で紹介したマナーさえ守っていれば、あなたは「分かっている初心者」として、誰からも白い目で見られることなく、堂々とトレーニングに集中できます。


