お疲れ様です、現場監督のハリまるです。
今日も安全帯の食い込みと戦いながら、現場の安全管理を徹底してきました。
さて、あなたはジムでの筋トレや自宅トレーニングの際、しっかりと「ストレッチ」を行っていますか?
正直に言ってください。
「仕事帰りで時間がないし、さっさとベンチプレスやりたい」
「終わったらヘトヘトで、柔軟体操なんてやってる余裕はない」
そう思って、スキップしていませんか?
その気持ち、痛いほどわかります。
私も以前は、限られた時間の中で少しでも多くダンベルを挙げたくて、準備運動そこそこにトレーニングを開始していました。
しかし、その油断が「あわや大怪我」という事態を招き、結果的にトレーニングを長期間休むハメになったのです。
30代を超えた我々の体は、悲しいかな、昔ほど柔軟ではありません。
この記事では、私が痛い目を見て学んだ「大人の筋トレにおけるストレッチの絶対ルール」について、現場の教訓を交えて徹底解説します。
この記事でわかること
- 筋トレ「前」と「後」でやるべきストレッチは正反対!その理由
- 30代がストレッチをサボると直面する「怪我」と「停滞」のリスク
- 時間がない会社員でも実践できる「5分完結」の時短メニュー
そもそもストレッチって必要?「動的」と「静的」の違いを現場視点で解説

「ストレッチ」と一言で言っても、実は大きく分けて2種類あることをご存知でしょうか?
ここを履き違えると、パフォーマンスが上がるどころか、逆に怪我のリスクを高めてしまうことさえあります。
現場の仕事に例えて、わかりやすく解説します。
体が冷えた状態で動くのは自殺行為。現場の「ラジオ体操」=「動的ストレッチ」
まず一つ目は「動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)」です。
これは、体を動かしながら関節の可動域を広げ、心拍数や体温を上げる運動のことです。
建設現場で毎朝行われる「ラジオ体操」がまさにこれです。
冬場の現場で、冷え切った重機(ユンボやクレーン)をいきなりフルスロットルで動かしたらどうなるでしょうか?
エンジンに負荷がかかり、オイルも回っておらず、最悪の場合は故障しますよね。
人間も同じです。
デスクワークで固まった体を、いきなり高重量のベンチプレスにさらすのは、暖機運転なしでエンジンを吹かすようなものです。
筋トレの「前」に行うべきは、この動的ストレッチで、体を「戦闘モード」に切り替えることです。
作業後のメンテナンスが翌日の明暗を分ける。筋肉を伸ばす「静的ストレッチ」
二つ目は「静的ストレッチ(スタティックストレッチ)」です。
これは、反動をつけずにゆっくりと筋肉を伸ばし、数十秒キープする、いわゆる一般的な柔軟体操です。
現場仕事が終わった後、泥だらけになった道具を清掃し、整備して倉庫に戻す「片付け・メンテナンス」のようなものです。
激しい運動(工事)で収縮し、緊張している筋肉をゆっくり伸ばしてあげることで、血流を促し、疲労物質の排出を助けます。
また、副交感神経を優位にして体を「お休みモード」に切り替える効果もあります。
これをサボると、翌日に疲れが残り、筋肉が硬いまま固まってしまいます。
【結論】筋トレ「前」は動的でアクセル、「後」は静的でブレーキが鉄則!
ここが最大のポイントです。
多くの人が間違いがちなのが、筋トレの「前」に、座り込んでゆっくり足を開くような「静的ストレッチ」を一生懸命やってしまうことです。
実は、運動前に筋肉を過度に伸ばしすぎると、筋肉が緩んでしまい、一時的に筋力が低下するという研究結果もあります。
これから重いものを持ち上げようという時に、ゴムをビロンビロンに伸ばしてしまっては力が伝わりません。
「前は動的に動かして温める(アクセル)」
「後は静かに伸ばして緩める(ブレーキ)」
この使い分けだけは、今日絶対に覚えて帰ってください。
【実録】ストレッチをナメていた私の末路…「ギックリ腰」寸前の恐怖体験

偉そうなことを言っていますが、私もかつては「準備運動なんて時間の無駄」と考えていた一人でした。
その結果どうなったか、私の恥ずかしい失敗談を共有します。
【体験談】時短のつもりが、全治2週間の停滞へ
あれは冬の寒い夜のことでした。仕事が長引き、ジムに到着したのは閉館1時間前。
「時間がない! 今日はアップなしでいきなりメインセットだ!」
焦っていた私は、冷え切った体でいきなり100kgのスクワットに挑みました。
1回目、しゃがんだ瞬間でした。
腰の奥底で「ピキッ」という、嫌な音が聞こえました。
「あっ…」と思った時にはもう手遅れ。
激痛でバーベルをラックに戻すのも必死でした。
幸い完全なヘルニアではありませんでしたが、重度の筋筋膜性腰痛と診断され、そこから2週間はトレーニングどころか、現場で落ちたペンを拾うことすら辛い日々を送りました。
「たった5分のストレッチを惜しんだせいで、2週間を棒に振った」
この後悔は、一生忘れません。
怪我をしたら全てが水の泡。仕事にも影響が出る30代のリスク管理
私たち社会人トレーニーにとって、最大の敵は「怪我」です。
プロのアスリートなら治療に専念できますが、私たちには仕事があります。
筋トレで腰を痛めて現場で動けなくなったら、プロ失格です。
「怪我をしないこと」は、重量を伸ばすことよりも優先順位が高い。
ストレッチは、トレーニングの一部ではなく、社会人としてのリスク管理そのものなのです。
「昔は大丈夫だった」が一番危険。30代を超えたら回復力が落ちている現実
「学生時代は準備運動しなくても平気だった」
その感覚は捨ててください。
30代を過ぎると、筋肉や腱の水分量が減り、柔軟性が低下しています。
昔と同じ感覚で無理をすると、アキレス腱断裂や肉離れといった大怪我に直結します。
自分の体の経年劣化(エイジング)を認め、丁寧なメンテナンスを行うことが、長く現役を続ける秘訣です。
時間がない!でも効果は出したい!忙しい会社員のための「最低限」筋トレ前ストレッチ(動的)

「理屈はわかったけど、やっぱり時間がないんだよ!」
そんなあなたのために、私が実践している「これだけやっとけばとりあえずOK」という時短の動的ストレッチメニューを紹介します。
全部やっても5分かかりません。
目的は「体温上昇」と「関節の潤滑油」。息が少し上がるくらいが目安
動的ストレッチのゴールは、「体がポカポカしてくること」です。
関節を大きく動かすことで、関節包から「滑液(かつえき)」という潤滑油が出て、動きがスムーズになります。
【時短メニュー①】肩甲骨周りをほぐす「アームサークル&肩回し」
ベンチプレスや懸垂など、上半身の日には必須です。
- 手順1:足を肩幅に開き、リラックスして立ちます。
- 手順2:両手を横に広げ、小さな円を描くように回します。徐々に円を大きくしていきます。(前回し10回、後ろ回し10回)
- 手順3:次に、手を肩に置き、肘で大きな円を描くように回します。肩甲骨がゴリゴリ動いているのを意識してください。(前回し10回、後ろ回し10回)
ポイントは、肩甲骨を背中の中心に寄せる意識を持つことです。
デスクワークで固まった背中がほぐれ、胸が張りやすくなります。
【時短メニュー②】股関節の可動域を広げる「レッグスイング&股関節回し」
スクワットやデッドリフトなど、下半身の日には絶対やってください。
腰痛予防にもなります。
- 手順1:壁や柱に手をついて体を支えます。
- 手順2:片足を前後に大きく振り子のように振ります。脱力して、股関節から動かすイメージです。(左右10回ずつ)
- 手順3:次に、膝を曲げて股関節を外側に大きく回します。ハードルをまたぐような動きです。(左右・内外10回ずつ)
これをやるだけで、スクワットのしゃがみやすさが劇的に変わります。
翌日に疲れを残さない!筋トレ効果を最大化する「リラックス」筋トレ後ストレッチ(静的)

トレーニングが終わったら、シャワーを浴びてすぐ帰りたい気持ちを抑えて、5分だけ自分の体を労わりましょう。
ここでのケアが、明日の仕事のパフォーマンスを守ります。
目的は「緊張緩和」と「疲労物質の排出促進」。痛気持ちいい強さで深呼吸
静的ストレッチのコツは、「息を止めないこと」です。
深く息を吐きながら筋肉を伸ばすことで、副交感神経が優位になり、筋肉が緩みやすくなります。
「痛い!」と力むと逆効果なので、「痛気持ちいい」ところで止めて20〜30秒キープします。
【時短メニュー①】使った部位を狙い撃ち!大胸筋・広背筋の壁ストレッチ
上半身を鍛えた日は、胸と背中を伸ばします。
猫背の改善にも効果的です。
- 大胸筋:壁に片手の肘から先を当て、体を反対側に捻ります。胸の筋肉が伸びるのを感じて20秒キープ。
- 広背筋:柱やパワーラックの支柱を片手で掴み、お尻を後ろに引いていきます。脇の下から背中にかけて伸びるのを感じて20秒キープ。
【時短メニュー②】腰痛予防の要!お尻とハムストリングスの座りストレッチ
下半身を鍛えた日は、お尻ともも裏(ハムストリングス)を入念に。
ここが硬いと、骨盤が引っ張られて腰痛の原因になります。
- お尻:椅子やベンチに座り、片足首を反対の膝に乗せます(数字の4の字を作る)。そのまま背筋を伸ばして体を前に倒します。お尻の奥が伸びます。
- もも裏:床に座り、片足を伸ばして、もう片足は内側に曲げます。伸ばした足のつま先に向かって体を倒します。膝は曲がってもいいので、骨盤から倒す意識で。
現場仕事の合間にもできる!「こり」を溜めないためのちょい足しケア(深掘り解説)

ジム以外の時間でも、ちょっとした隙間時間に体をケアすることで、筋トレの質を上げることができます。
私が現場でこっそりやっている「ちょい足しケア」を紹介します。
デスクワークや運転中の信号待ちでできる「首・肩甲骨はがし」
現場監督は書類作成や運転も多い仕事です。
信号待ちやPC作業の合間に、以下の動きを取り入れています。
- 首倒し:片手で頭を押さえ、横にゆっくり倒す。首筋(僧帽筋)を伸ばす。
- 肩の上げ下げ:肩を耳につけるくらい思いっきりすくめて、一気に脱力して「ストン」と落とす。血流が一気に流れます。
トイレ休憩でこっそりリセット。「キャット&カウ」で背骨を整える
個室トイレに入った時や、誰もいない休憩所でやるのが、ヨガの「キャット&カウ」の変形版です。
立ったままでもできます。
- 手順:膝に手をついて中腰になり、息を吐きながら背中を丸め(猫)、息を吸いながら背中を反らす(牛)。
これを数回繰り返すだけで、背骨周りの筋肉がほぐれ、自律神経も整います。
【体験談】昼休憩の「ちょい足し」が生んだ午後の活力
ある夏の日、午前中のコンクリ打設で体がバキバキになり、「午後はもう動けない…」と絶望していました。
そこで昼休憩、昼寝をする前に5分だけ、入念に股関節と背中のストレッチを行いました。
すると驚いたことに、午後の作業開始時、いつもなら感じる「体の重だるさ」が激減していたのです。
「あれ? まだ動けるぞ?」
まるで油を差した機械のように体がスムーズに動き、その日の残業も難なくこなせました。
「休息(ただ寝る)」だけでなく「積極的休養(アクティブレスト)」としてのストレッチの威力を実感した瞬間でした。
まとめ:ストレッチは「未来の自分」への投資。サボらず続けて、長く筋トレを楽しもう

筋トレにおいて、ストレッチは「おまけ」ではありません。
メインのトレーニングと同じくらい重要な「種目」の一つです。
動的ストレッチで安全にアクセルを踏み、静的ストレッチで確実にブレーキをかけて体を休める。
このサイクルを守ることで初めて、怪我なく、長く、健康的に筋肉を育てることができます。
「面倒くさいな」と思ったら、あの日の私の「ギックリ腰寸前の激痛」を思い出してください。
たった5分の手間が、あなたの筋トレライフを、ひいては仕事人生を守ってくれます。




