お疲れ様です、現場監督のハリまるです。
現場では「膝は消耗品」と言われます。
重い資材を持って階段を何往復もする日々、私の膝も何度も悲鳴を上げてきました。
しかし、現場の職人さんは、重いものを持っても膝を壊しません。
なぜなら、彼らは「膝を使わず、腰(股関節)で持つ」技術、つまり正しい身体操作を身につけているからです。
さて、健康のためにジムに通い始めたあなた。
スクワットでしゃがみ込むたびに、膝のお皿の奥で「ピキッ」という鋭い痛みや、「パキパキ」「ミシミシ」という不穏な音がしていませんか?
「痛いけど、筋肉痛の一種だろう」
「サポーターを巻いて湿布を貼ればなんとかなる」
「YouTubeの見様見真似で合ってるはずだ」
その自己判断、現場なら「重大事故の予兆(ヒヤリハット)」として即刻作業中止レベルです。
膝の痛みは、筋肉痛とは全く別物の「SOS信号」です。
放置すれば、半月板損傷や靭帯炎になり、最悪の場合、歩くことすら辛くなり、大好きな筋トレも仕事もできなくなります。
この記事では、体重98kg時代に自己流スクワットで膝を壊しかけた私が、なぜ整形外科ではなく「パーソナルトレーナー」に救われたのか。
この記事でわかること
- 膝は「被害者」?痛みの真犯人である「股関節」と「足首」の機能不全
- 痛いならスクワットは捨てろ!ジムにある「レッグプレス」の膝を守る設定術
- 整形外科費より安い?「単発パーソナル」で正しいフォームを買うという投資戦略
なぜあなたの膝は悲鳴を上げるのか?現場監督が解説する「構造的欠陥」

まず、なぜスクワットで膝が痛くなるのか。
それはあなたの膝が弱いからではなく、使い方が間違っている、あるいは「構造的な無理」をさせているからです。
現場の構造力学(ジョイント・バイ・ジョイント理論)に例えて解説しましょう。
膝は「蝶番(ヒンジ)」。横からの力(ねじれ)には極端に弱い
膝関節は、ドアの「蝶番(ちょうつがい)」と同じ構造です。
曲げ伸ばし(縦の動き)には強いですが、横方向の力や、ねじれには極端に弱くできています。
ドアを開け閉めする時、蝶番を無理やり横にねじったらどうなりますか?
ギシギシと音が鳴り、やがて壊れますよね。
スクワット中に膝が痛む人の多くは、無意識のうちに自分の膝をねじりながらしゃがんでいるのです。
これを繰り返せば、中の軟骨(半月板)がすり減るのは時間の問題です。
真犯人は「股関節」と「足首」。膝はただの被害者
ここが一番重要なポイントです。
膝が痛いからといって、膝ばかりケアしても治りません。
なぜなら、「膝は、上下の関節(股関節・足首)が動かないせいで、無理やり動かされている被害者」だからです。
- 股関節が硬い:お尻が引けないため、膝を前に突き出してしゃがむしかない(膝への過荷重)。
- 足首が硬い:深くしゃがめないため、膝を内側に入れて(ニーインして)代償しようとする。
現場でも、基礎(足首)と梁(股関節)が歪んでいれば、その間の柱(膝)に負担がかかってヒビが入ります。
直すべきは柱ではなく、基礎と梁なのです。
98kgの荷重×ねじれ=半月板の摩耗。体重がある人ほど自己流は危険
私が98kgだった頃、自重スクワットですら膝に激痛が走りました。
物理の法則通り、体重が重いということは、それだけ膝にかかる「破壊力」も大きいということです。
メタボ気味の人が、ダイエットのためにといきなり自己流スクワットを始めるのは、整備不良のトラックで砂利道を走るようなもの。
まずは「正しい柱の立て方(フォーム)」をプロに学ばなければなりません。
痛いならスクワットは捨てろ!ジムにある「膝に優しいマシン」活用術

膝が痛い時、「根性でスクワット!」というのは間違いです。
ジムには、膝への負担を減らしつつ、脚を鍛えられる優秀な重機(マシン)があります。
無理せず文明の利器に頼りましょう。
軌道固定の安心感。「レッグプレス」なら膝への負担を分散できる
スクワットの代わりになるのが「レッグプレス」です。
シートに座ってプレートを押すマシンですが、ただ座って押せばいいわけではありません。
膝を守るための「設定(セッティング)」があります。
【現場監督流・膝を守るセッティング】
- 足の位置を高くする:フットプレートの上の方に足を置くと、裏もも(ハムストリングス)とお尻が使われやすくなり、膝への負担が減ります。逆に下に置くと前もも(膝上)に直撃します。
- 足幅を広げる:肩幅より少し広くし、つま先を外に向けます。内股防止です。
- 深く下ろしすぎない:お尻がシートから浮くほど深く下ろすと、腰と膝に悪いです。お尻が浮かない範囲で止めましょう。
裏ももを鍛える「レッグカール」で膝の安定性を確保する
膝の痛みの原因の一つに、「前もも(大腿四頭筋)ばかり強くて、裏もも(ハムストリングス)が弱い」というアンバランスがあります。
現場の足場も、前後左右のワイヤーバランスが悪いと倒壊しますよね。
「レッグカール」で裏ももを鍛えることで、膝関節を後ろから引っ張って支える力が強まり、結果としてスクワット時の安定感が増します。
膝が痛い人ほど、裏ももを鍛えるべきです。
【注意】「レッグエクステンション」は膝殺し? 禁断のマシンになる理由
座って膝を伸ばす「レッグエクステンション」。
前ももを鍛える人気種目ですが、実はリハビリの現場では「剪断力(せんだんりょく)」が働くため注意が必要とされています。
膝下の骨(脛骨)を前に引き出す力が強くかかるため、前十字靭帯にストレスがかかります。
膝が痛い時は、このマシンは避けるか、重量を半分以下にして「最後の追い込み」程度に留めるのが無難です。
高重量でガツン!と蹴り上げるのは自殺行為です。
整形外科に通うより安い?「単発パーソナル」でフォームを買うという投資

「膝が痛いから病院に行こうかな…」
もちろん、激痛があるなら行くべきです。
しかし、整形外科は「痛み止め(湿布)」はくれても、「痛くならないスクワットの方法」は教えてくれません。
根本解決したいなら、行くべき場所はジムのカウンターです。
YouTube動画では「自分の姿」は見えない。客観視の重要性
今はYouTubeで優良な解説動画がたくさんあります。
しかし、それを見て「わかった気」になるのが一番危険です。
なぜなら、「自分の体がどう動いているか」は、自分では絶対に見えないからです。
「背筋を伸ばしているつもり」が反り腰だったり、「膝を開いているつもり」が内股だったり。
この「感覚のズレ(認知の歪み)」を修正できるのは、第三者のプロの目だけです。
一生モノの「股関節の使い方(ヒップヒンジ)」を教わる価値
多くのジムには、有料のパーソナルトレーニング(1回6,000円〜10,000円ほど)があります。
「高い」と感じるかもしれません。
しかし、そこで「膝を使わずに股関節を使ってしゃがむ技術(ヒップヒンジ)」を習得できれば、その先10年、20年と怪我なくトレーニングができます。
膝を壊してMRIを撮り、ヒアルロン酸注射に通えば、あっという間に数万円が飛びます。
それを考えれば、初期投資としてのパーソナル代は、「破格の安全対策費」です。
毎週通わなくても、「フォームチェックだけお願いします」と単発で依頼するのも賢い使い方です。
【体験談】「足幅を5cm広げてください」その一言で世界が変わった
自己流スクワットで膝の痛みに半年間悩んでいた頃、藁にもすがる思いでジムの単発パーソナル(30分)を申し込みました。
トレーナーさんは私のフォームを一目見て言いました。
「ハリまるさん、股関節が硬いので、足幅をあと5cm広げて、つま先をもっと外に向けてみましょう。今のスタンスだと骨盤がロックされています」
言われた通りにしてみると…驚愕しました。
「えっ、痛くない! しかも深くしゃがめる!」
私の骨格には、教科書通りの「肩幅」というスタンスは合っていなかったのです。
たった一つのアドバイスで、半年の悩みが消し飛びました。
「プロの目利き」の凄さを痛感した瞬間です。
それでも痛む時の「現場対応」。サポーターとアイシングの正しい使い分け

フォームを改善しても、古傷が痛む時や、違和感がある時のケア方法です。
現場の応急処置と同じで、正しい使い分けが必要です。
サポーター(ニースリーブ)は「保温」と「感覚」のために巻け
サポーターは「関節をガチガチに固めるもの」ではありません。
主な効果は「保温」です。
関節は冷えると動きが悪くなり、痛みが出やすくなります。
ニースリーブ(ウェットスーツ素材のもの)で膝を温めることで、潤滑油(滑液)の分泌を促します。
また、皮膚が圧迫されることで「今、膝がどこにあるか」を脳が認識しやすくなり、動作が安定する効果(固有受容感覚)もあります。
スクワットのMAX重量を伸ばすためではなく、「膝のセンサー感度を上げる」ために使ってください。
練習後のアイシングは必須?炎症を抑える初期消火
トレーニング直後に膝が熱を持っている感じがしたら、迷わずアイシング(冷却)してください。
これは現場のボヤに対する「初期消火」です。
炎症を放置すると、慢性的な痛みに変わります。
ジムに氷がない場合は、帰宅後に保冷剤をタオルで巻き、10分〜15分ほど冷やすだけで、翌日の回復が全く違います。
【失敗談】サポーターに頼りすぎて筋力が落ちた話
膝が痛かった時期、私は常にガチガチに硬いサポーターを巻いてスクワットをしていました。
痛みは誤魔化せましたが、数ヶ月後、サポーターを忘れた日に悲劇が。
自分の体重すら支えられないほど、膝周りの細かい筋肉(スタビライザー)が弱っていたのです。
サポーターの反発力に頼りすぎて、自分の筋肉を使っていなかったのが原因でした。
「道具はあくまで補助。頼りすぎると本体が弱る」
これは現場の若手指導でもよく言うことですが、自分自身がやってしまっていました。
今は、アップの時はサポーターを付けず、メインセットのみ付けるようにしています。
【予防策】トレーニング前の「お尻スイッチ」儀式

最後に、膝を守るために私が必ずやっている「準備運動」を紹介します。
これをお尻に入れてからスクワットをすると、膝の負担が激減します。
【クラムシェル(貝殻運動)】
- 床に横向きに寝て、両膝を90度に曲げます。
- かかとをつけたまま、上の膝をパカッと開きます(貝殻が開くように)。
- お尻の横(中殿筋)がキュッと縮むのを感じたら戻します。
- 左右20回ずつ。
これをやると、サボっていたお尻の筋肉が目覚め、スクワット中に膝が内側に入る(ニーイン)のを防いでくれます。
地味ですが効果絶大です。
まとめ:膝は一度壊れたら戻らない。プロの知恵を借りて寿命を延ばせ

筋肉は切れても再生しますが、関節(軟骨・半月板)は消耗品であり、一度すり減ったら二度と元には戻りません。
「これくらいなら大丈夫」という過信が、一生の後悔に繋がります。
もし今、膝に違和感があるなら、それは「フォームが間違っているぞ」「マシン選びが間違っているぞ」という体からの警告音です。
自己流で解決しようとせず、勇気を出してジムのスタッフやパーソナルトレーナーに声をかけてみてください。
「スクワットで膝が痛いので、フォーム見てくれませんか?」
その一言が、あなたの膝寿命を10年延ばすかもしれません。




