「ジムで汗を流した後のビール、これがあるから筋トレを頑張れるんだよ!」
「プロテイン割りの焼酎とか、意外といけるんじゃない?」
「筋肉とお酒、どっちを取るかと言われたら…正直選べない」
トレーニーにとって、お酒は「悪魔の誘惑」であり、同時に「人生の楽しみ」でもあります。
一生懸命トレーニングをした直後、乾いた喉に流し込む冷えたビールの美味しさは、何物にも代えがたいものです。
しかし、残酷な真実をお伝えしなければなりません。
筋トレ直後の飲酒は、あなたがジムで積み上げた努力を、「マイナス」にしてしまう可能性が高いのです。
「筋肉が溶ける」という表現は決して大袈裟ではありません。
とはいえ、人生からお酒を完全に排除するのは、あまりにもストイックすぎて辛いですよね。
私たちに必要なのは、禁酒ではなく「共存のための知識」です。
この記事では、アルコールが筋肉に与える科学的な悪影響を包み隠さず解説した上で、それでもお酒を楽しみたいあなたのための「ダメージを最小限に抑える飲み方」と「おつまみ戦略」を徹底ガイドします。
この記事でわかること
- 【科学】なぜアルコールで筋肉の合成率が30%も低下するのか?そのメカニズム
- 【選択】太らないお酒はどっち?「醸造酒 vs 蒸留酒」決定戦
- 【実践】飲み会でも筋肉を守るための「水分サンドイッチ法」と「神おつまみ」
第1章:アルコールが筋肉を「破壊」する3つの科学的理由

まずは敵を知ることから始めましょう。
なぜトレーナーたちは口を揃えて「お酒は控えろ」と言うのか。
それには明確な生理学的な理由があります。
1. 筋肉の合成シグナル「mTOR」の活動停止
筋肉が大きくなるためには、「mTOR(エムトール)」という酵素がシグナルを出し、タンパク質の合成を促進する必要があります。
しかし、アルコールを摂取すると、この重要なシグナル伝達経路がブロックされてしまうのです。
⚠ 衝撃の研究データ
ある研究では、筋トレ後にアルコールを摂取した場合、プロテインを飲んでいたとしても、「筋肉の合成率が約30%低下した」という結果が出ています。
つまり、あなたの努力の3割が、アルコールによって無効化されてしまうのです。
2. ストレスホルモン「コルチゾール」による筋分解
アルコールを摂取すると、体はそれをストレスと認識し、ストレスホルモンである「コルチゾール」を分泌します。
コルチゾールには、筋肉を分解してエネルギーに変える作用があります。
せっかく筋肉を作ろうとしているのに、体内で筋肉を分解する命令が出てしまう。
まさにアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態です。
3. テストステロン(男性ホルモン)の減少
筋肉を太く、強くするために不可欠なのが、男性ホルモン「テストステロン」です。
長期的な飲酒や、一度の大量飲酒は、このテストステロンの分泌量を低下させることが分かっています。
「お酒を飲むと筋肉がつきにくくなる」というのは、決して迷信ではありません。
第2章:「お酒のエンプティカロリー」の大きな誤解

「でも、お酒のカロリーは『エンプティカロリー』だから太らないんでしょ?」
そう思って安心しているなら、今すぐ考えを改めてください。
これはダイエッターが陥る最大の罠です。
エンプティカロリー = カロリーゼロではない
エンプティカロリーとは、「カロリーがない」という意味ではなく、「栄養素(ビタミンやミネラル)が空っぽのカロリー」という意味です。
アルコール自体にも、1gあたり7kcalという、糖質(4kcal)以上の高いエネルギーがあります。
肝臓が「アルコール処理」を最優先にする恐怖
ここが最も重要なポイントです。
アルコールは体にとって「毒」です。
そのため、体内に入ってくると、肝臓は他のすべての作業を後回しにして、全力でアルコールの分解(解毒)を始めます。
| 通常時の肝臓 | 飲酒時の肝臓 |
|---|---|
| 食事から摂った脂肪や糖質を代謝し、エネルギーに変える。 | 脂肪燃焼をストップし、アルコール分解に全集中する。 |
つまり、お酒を飲んでいる間、「一緒に食べたおつまみのカロリー」は、燃焼されずにそのまま体脂肪として蓄積されやすくなるのです。
「お酒で太る」のではなく、「お酒と一緒に食べたもので太る」と言われるのはこのためです。
エピソード:ジム後のビールと唐揚げを楽しみにしていたAさんの悲劇
私の友人のAさんは、「運動したからプラマイゼロ!」と、週3回のジム通いの後、必ず居酒屋で生ビールと唐揚げ定食を食べていました。彼は「ジムに通っているのに、なぜかお腹が出てきた」と私に相談してきました。食事内容を聞いて即座に原因が判明。彼の肝臓は、ジムで消費したカロリー以上のアルコール処理に追われ、唐揚げの脂質を処理する余裕がなかったのです。彼に「ジムの日はハイボールと焼き鳥(塩)に変えてみて」とアドバイスしたところ、翌月からスルスルとお腹が凹み始めました。「飲むな」ではなく「変える」だけで、結果は違ったのです。
第3章:【選択】太らないお酒はどっち?「醸造酒 vs 蒸留酒」決定戦

お酒の種類選びは、ボディメイクの成否を分ける重要な分岐点です。
基本ルールは、「糖質が含まれているか、いないか」です。
NGなお酒:醸造酒(糖質の塊)
これらは原材料(麦、米、ブドウ)の糖分がそのまま残っています。
減量中や体を絞りたい時期は避けるべき筆頭です。
- ❌ ビール:「液体のパン」と呼ばれるほど糖質が高い。最初の1杯までにするのが無難。
- ❌ 日本酒:お米ジュースです。美味しいですが、糖質制限中は大敵。
- ❌ 甘いカクテル・チューハイ:カシスオレンジやレモンサワー(加糖)は、アルコールと砂糖を同時に摂取する最悪の組み合わせです。
- ❌ ワイン:辛口なら多少マシですが、果実由来の糖分が含まれます。
OKなお酒:蒸留酒(糖質ゼロ)
蒸留という工程を経ることで、糖質がカットされています。
トレーニーが飲むなら、迷わずこちらを選びましょう。
- ✅ ウイスキー(ハイボール):最強の選択肢。炭酸でお腹も膨れます。
- ✅ 焼酎(甲類・乙類):水割り、お茶割り、無糖レモンサワーで。
- ✅ ジン・ウォッカ・テキーラ:ただし、ジュースで割っては意味がありません。ソーダ割(ジンリッキーなど)で。
- ✅ ブランデー:香りを楽しみながらちびちび飲むのは大人で良いスタイルです。
結論:「とりあえず生!」ではなく「とりあえずハイボール!」が、マッチョへの合言葉です。
第4章:飲み会でも筋肉を守るための「5つの鉄則」

種類を選んだら、次は飲み方です。
この5つのルールを守るだけで、翌日のコンディションと筋肉の守られ方が劇的に変わります。
鉄則1:トレーニング直後(ゴールデンタイム)は避ける
筋トレ直後の1時間は、筋肉が栄養を渇望している時間です。
ここにアルコールを流し込むのは自殺行為です。
最低でもトレーニング終了から「1〜2時間」は空け、その間にプロテインと食事を摂取してから飲み始めましょう。
鉄則2:水とのサンドイッチ(同量の水を飲む)
アルコールには利尿作用があり、筋肉から水分を奪います(脱水)。
筋肉の約75%は水分です。水分が抜ければ筋肉はしぼみます。
お酒を1杯飲んだら、同量の水を1杯飲む。
これにより、血中アルコール濃度の上昇を抑え、脱水を防げます。
鉄則3:おつまみは「高タンパク・低脂質」一択
前述の通り、アルコール摂取中の脂質は体脂肪に直結します。
揚げ物(ポテト、唐揚げ)は、親の仇だと思って避けてください。
| 神おつまみ(推奨) | 悪魔のおつまみ(非推奨) |
|---|---|
| 枝豆(植物性タンパク質) | フライドポテト(糖質+脂質) |
| 焼き鳥(塩、皮なし) | 焼き鳥(タレ、ぼんじり) |
| 刺身、タコわさ、冷奴 | ピザ、アヒージョ、唐揚げ |
| だし巻き卵、エイヒレ | 締めのラーメン、お茶漬け |
鉄則4:締めのラーメンは「プロテイン」に置き換える
酔っ払うと満腹中枢が麻痺し、炭水化物を欲します。
ここでラーメンを食べたら、その日の筋トレは全て無駄になります。
家に帰って、冷たいプロテインを一気飲みしてください。
意外とラーメン欲が収まります。
鉄則5:寝る前に「グルタミン」と「ビタミンB群」を摂る
アルコール分解で消費されるビタミンB群と、免疫維持のためのグルタミンをサプリで補給して寝ましょう。
二日酔いの予防にもなり、翌日のリカバリーが早まります。
エピソード:ハイボールへの転向で、飲み会好きでも体脂肪率10%を切った話
私は週2回の飲み会が生きがいのサラリーマントレーニーです。以前は「飲み会があるから絞れない」と言い訳をしていました。しかし、あるボディビルダーの方から「お酒は蒸留酒なら怖くない」と聞き、飲み会でのオーダーを全て「ハイボール」か「芋焼酎の水割り」に変えました。おつまみも、ポテトには手を付けず、枝豆と刺身をひたすら食べるスタイルに変更。すると、飲み会の頻度は変わらないのに、半年で体脂肪率が18%から9%まで落ちたのです。周りからは「ストイックだね」と言われますが、実はお酒を我慢した記憶はありません。知識があれば、我慢しなくても体は変わるのです。
第5章:お酒と筋トレに関するよくある質問(Q&A)

最後に、お酒好きのトレーニーが抱える疑問にお答えします。
Q. ノンアルコールビールなら飲んでもいいですか?
A. 大いに推奨します。
最近のノンアルコールビールは味も進化していますし、カロリーゼロ、糖質ゼロのものが多いです。
「炭酸と苦味」で脳を満足させることができるため、減量中のストレス解消に最適です。
ただし、添加物が多いものもあるので、成分表はチェックしましょう。
Q. 二日酔いでもトレーニングしていいですか?
A. 絶対にやめましょう。
二日酔いの状態は、肝臓がまだアルコール処理に追われており、脱水状態でもあります。
この状態でトレーニングをしても、パワーは出ず、怪我のリスクが高まるだけです。
さらに、筋肉の分解が進む可能性もあります。
その日は潔くオフにして、水分と栄養を摂って回復に努めるのが正解です。
Q. 筋トレしない日(オフの日)なら、好きに飲んでもいい?
A. 筋トレ直後よりはマシですが、「好きに飲んでいい」わけではありません。
筋肉の修復(超回復)は、トレーニング後48時間〜72時間続いています。
つまり、オフの日も筋肉は作られている最中です。
オフの日であっても、蒸留酒を選び、深酒を避けるのが、早く理想の体に近づくコツです。
まとめ:お酒は「敵」ではない。付き合い方次第で「友」にもなる

筋トレのために大好きなお酒を一生断つ。
それでストレスが爆発して筋トレ自体をやめてしまっては、本末転倒です。
ボディビルで優勝を目指すなら断酒が必要かもしれません。
しかし、カッコいい体になって人生を楽しむことが目的なら、お酒と適度な距離感で付き合うことは可能です。
「蒸留酒を選ぶ」「水を飲む」「おつまみを変える」
たったこれだけの工夫で、筋肉へのダメージは最小限に抑えられます。
今日から、居酒屋のメニューを見る目を変えてみてください。




