「ジムに入会したけど、グローブってみんな使ってる?自分も買った方がいいのかな?」
「手のひらにマメができるのが嫌だ!でも、グローブするとなんか初心者っぽくて恥ずかしいかも…」
「上級者の人って、なんでグローブしないで素手でやってるの?グローブって、もしかして意味ない(甘え)なの?」
ジムでトレーニングに励む人々を見渡すと、色とりどりの「トレーニンググローブ」を装着している人もいれば、チョーク(滑り止め)を手に付け、「素手(ベアナックル)」で無骨にバーベルを握る人もいます。
「一体、どっちが正解なんだ?」——そう悩んだことはありませんか?
「手のマメを防ぐため」という分かりやすい理由で多くの初心者に選ばれるグローブですが、その一方で「グリップが太くなるからダメ」「素手の感覚が養われない」といったデメリットを指摘する声も根強く存在します。
果たして、トレーニンググローブはあなたの筋トレにとって「必須アイテム」なのでしょうか、それとも「不要なもの」なのでしょうか?
この記事では、そんな「グローブ論争」に終止符を打つべく、グローブを「着用するメリット」と「着用しない(素手)メリット」を、公平な視点で徹底的に比較・解説します。
さらに、もしグローブを選ぶなら、どのような種類(リストラップ一体型など)があり、どう選ぶべきかまでを網羅。
この記事でわかること
- トレーニンググローブを着用する5つの具体的なメリット(マメ予防、滑り止めなど)
- なぜ上級者は素手を好むのか?グローブを着用しないメリット(デメリット)
- あなたの目的やスタイルに合ったグローブの選び方(タイプ、素材、サイズ)
「グローブ=初心者」は誤解?グローブ論争を整理する

まず、なぜグローブの要否について意見が分かれるのか、その背景を整理しましょう。
なぜ上級者には「素手(ベアナックル)派」も多いのか?
ジムで見かける上級者、特にデッドリフトやスクワットで高重量を扱うパワーリフターやボディビルダーの中には、グローブをせず、チョーク(滑り止め)やリストストラップ(握力補助)だけ、あるいは完全に「素手」の人も多くいます。
これは、彼らが「マメが痛くない」からではなく、後述する「素手のメリット」——すなわち、バーを直接握る感覚(ダイレクト感)や、グリップの太さを変えないことを、マメ予防よりも優先しているからです。
グローブは「甘え」ではなく「目的別の選択」である
この事実から、「グローブ=初心者が使うもの、甘え」と考えるのは早計です。
高重量を追求するパワーリフティング的なトレーニングと、筋肉に効かせる(筋肥大)ことを目的とするボディビル的なトレーニング、あるいは快適に健康維持を目指すトレーニングとでは、優先順位が異なります。
グローブを使うか使わないかは、「優劣」の問題ではなく、あなたの「目的」や「トレーニングスタイル」に合わせた、合理的な「選択」の問題なのです。
グローブを「着用する」ことの5つの明確なメリット

では、グローブを着用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?
マメ予防だけではありません。
① 最大のメリット:「手のマメ(タコ)」を予防・保護する
これが最大かつ最も分かりやすいメリットです。
バーベルのローレット(ギザギザ)やダンベルのグリップとの摩擦は、手のひらの皮膚に負担をかけ、マメやタコの原因となります。
一度マメが潰れると、その痛みで数日間トレーニングに集中できなくなることも。
グローブは、物理的な「盾」となり、あなたの手のひらを保護します。
特に、手の皮膚がデリケートな人や、女性、マメができて欲しくない職業(例:美容師、エステティシャンなど)の人にとっては、必須と言えるでしょう。
② 「滑り止め」効果によるグリップの安定(特に手汗をかく人)
トレーニング中に「手汗」でバーが滑り、ヒヤッとした経験はありませんか?
グリップの滑りは、パフォーマンスの低下だけでなく、ダンベルやバーベルの落下といった重大な事故に繋がる可能性もあり、非常に危険です。
多くのグローブの手のひら側には、ラバーやシリコンなどの滑り止め素材が使われており、汗をかいても安定したグリップ力を維持するのを助けてくれます。
③ 負荷の分散による「痛み」の軽減(バーベルの食い込み)
高重量のプレス系種目(ベンチプレスなど)やプル系種目(デッドリフトなど)では、バーベルが手のひらに強く食い込み、その「痛み」が集中力を妨げることがあります。
グローブのパッド(クッション)は、この圧力を手のひら全体に「分散」させ、局所的な痛みを軽減する効果があります。
④ 手首を保護する「リストラップ一体型」という選択肢
ベンチプレスやショルダープレスなどで手首に不安がある場合、手首を固定する「リストラップ」が必要になります。
グローブの中には、このリストラップとグローブが一体化したモデルが存在します。
マメ予防、滑り止め、手首保護の3つを同時に実現できるため、特に初心者やプレス系種目を重視する人には、非常に合理的で便利な選択肢となります。
⑤ 衛生的(器具に直接触れない安心感)
ジムの器具は、不特定多数の人が触れるため、汗や皮脂が付着しています。
「他人の汗がついたバーを直接握るのに抵抗がある」という人にとって、グローブは衛生的なバリアとしての役割も果たしてくれます。
(もちろん、グローブ自体も定期的に洗濯する必要がありますが)
マメが潰れて、デッドリフトができなかった1週間
僕は、グローブなしの「素手派」でした。
「マメはトレーニーの勲章だ」と本気で思っていました。
しかし、ある日のデッドリフトの日。
高重量セットに挑んだ際、手のひらの皮がバーベルのローレットに耐えきれず、ベロンと剥けてしまいました。
血が滲み、激痛が走る。
その日のトレーニングは、もちろんそこで強制終了。
問題はその後でした。
傷が治るまでの約1週間、僕は「引く」種目が一切できなくなってしまったのです。
懸垂も、ラットプルダウンも、ダンベルロウも、握るだけで激痛が走る。
背中トレが全くできない。
「勲章」だと思っていたマメは、僕からトレーニングの機会を奪う「弱点」でしかなかったのです。
僕はプライドを捨て、グローブ(リストラップ一体型)を購入しました。
以来、快適にトレーニングを続けられています。
あの「1週間トレーニングできなかった」損失に比べれば、グローブ代など安いものでした。
グローブを「着用しない(素手)」ことの3つのメリット(=グローブのデメリット)

では、なぜ上級者には「素手派」も多いのでしょうか?
それは、グローブを着用することの「デメリット」が、彼らの目的にとって無視できないからです。
① バーを「直接握る感覚」が養われる(グリップ力向上)
これが素手派の最大の理由です。
グローブという一枚の布を介さず、バーベルのローレット(ギザギザ)を素手で「直接握る」ことで、バーとの一体感が生まれ、より繊細なコントロールが可能になります。
また、グローブの補助に頼らないことで、前腕や握力そのものが、より強く鍛えられるというメリットもあります。
② グリップが太くならず、自然な握りを維持できる
グローブ(特にパッドが厚いもの)を装着すると、その生地の厚みのぶん、握るバーの「直径」が太くなります。
手が小さい人にとっては、これが「握りにくさ」に繋がり、逆に握力が消耗しやすくなるデメリットになる場合があります。
素手なら、バー本来の太さで、最も自然な握りを維持できます。
③ 「タフな手」が育つ(上級者の証?)
素手でのトレーニングを続けると、皮膚が摩擦に適応し、硬く、強い「タコ」ができます。
これは、高重量を扱うための「適応」であり、一部のトレーニーにとっては、努力の証であり、誇り(ステータス)でもあります。
(ただし、ケアを怠るとマメになって潰れます)
あなたはどっち?「グローブ派」vs「素手派」目的別推奨

結局、あなたはどちらを選ぶべきか?
あなたの「目的」と「優先順位」で判断しましょう。
【グローブ派】がおすすめな人
以下に当てはまる人は、迷わずグローブの使用を推奨します。
手のマメや痛みを絶対に避けたい人(特に女性)
手のひらを綺麗に保ちたい人、痛みに敏感な人、マメができると仕事や生活に支障が出る人。
手汗をかきやすく、滑るのが怖い人
手のひらの汗が原因で、グリップに不安がある人。
安全性を最優先したい人。
マシン中心、または中重量で快適にトレーニングしたい人
超高重量は扱わず、マシンや中重量のダンベル・バーベルで、快適にトレーニングを継続したい人。
手首の保護も同時に行いたい人(リストラップ一体型)
ベンチプレスなどで手首に不安があり、リストラップの購入も検討している人。
一体型なら一石二鳥です。
【素手派】(+チョーク/ストラップ)がおすすめな人
以下に当てはまる人は、素手(または他のギアとの併用)が向いているかもしれません。
高重量のデッドリフトやベンチプレスをメインに行う人
バーを「直接握る感覚」や「グリップの太さ」が、パフォーマンスに直結する高重量種目をメインに行う人。
バーを直接握る感覚や、握力そのものを鍛えたい人
グローブのクッション性が邪魔に感じ、前腕や握力もハードに鍛えたい人。
(チョークやリストストラップ、パワーグリップとの使い分け)
素手派の多くは、「滑り止め」には「チョーク」を、「握力補助」には「リストストラップ」や「パワーグリップ」を、というように、目的に応じて専門のギアを使い分けます。
(グローブは、これら全ての機能を中途半端に併せ持つ、とも言えます)
失敗しない!トレーニンググローブの「選び方」4つのポイント

グローブを買うと決めたら、次は「選び方」です。
安物買いで失敗しないためのポイントです。
① タイプ:「リストラップ一体型」 vs 「通常型」
・リストラップ一体型:手首部分に長いベルト(ラップ)が付いており、そのまま手首に巻き付けて固定できる。
手首の保護も同時に行いたい人、プレス系種目をよく行う初心者に非常におすすめ。
・通常型:手首の保護機能はない、シンプルなグローブ。
手首が自由なため、動きを妨げない。
手首保護が不要な人、マシン中心の人向け。
② 素材:メッシュ(通気性)、レザー(耐久性)、シリコン(グリップ力)
・通気性:手の甲側がメッシュ素材になっていると、汗ムレを軽減できます。
・耐久性:手のひら側が合成皮革や本革(レザー)で補強されていると、耐久性が高い。
・グリップ力:手のひら側にシリコンプリントやラバー素材が使われていると、滑り止め効果が高い。
③ 着脱のしやすさ:「フィン付き」モデルの利便性
トレーニングで汗をかいたグローブは、手に張り付いて脱ぎにくく、非常にストレスになります。
中指や薬指の部分に「フィン(小さなベロ)」が付いているモデルは、そこを引っ張るだけで驚くほど簡単に脱ぐことができます。
これは、地味ですが非常に重要な機能です。
④ サイズ感:ブカブカはNG!ジャストフィットを選ぶ
サイズが「ブカブカ」だと、グローブの中で手が滑ってしまい、逆に危険です。
かといって、「キツすぎる」と血流を妨げます。
必ず試着するか、メーカーのサイズ表(手のひらの周長など)を参考に、吸い付くような「ジャストフィット」のサイズを選びましょう。
清潔さも重要!グローブの「洗濯・お手入れ方法」

グローブは、あなたの汗を吸い込む「消耗品」です。
手入れを怠れば、雑菌の温床となり、悪臭を放ちます。
臭いの原因は雑菌。使用後は毎回ケアを
使用後は、消臭スプレーをかけるだけでなく、風通しの良い場所でしっかりと乾燥させましょう。
「手洗い・陰干し」が基本
多くのグローブ(特に革素材)は、洗濯機NGです。
基本は、中性洗剤を使って「手洗い」で優しく洗い、タオルで水分を取った後、「陰干し」で乾かします。
(直射日光は素材を劣化させます)
洗濯機OKモデルの選び方
手洗いが面倒な人は、丸洗いOK(洗濯機対応)を謳った素材(メッシュや布製など)のグローブを選ぶのも一つの手です。
その場合も、ネットに入れて「弱」で洗い、乾燥機は避けましょう。
「リストラップ一体型」が、僕のベンチプレスを救った
僕は、ベンチプレスで高重量に挑戦すると、いつも「手首」が先に悲鳴を上げていました。
重さに負けて手首が反ってしまい、力がうまくバーに伝わらない。
「リストラップを買おうかな…でも、マメも気になるからグローブも欲しい…どっちも買うとお金が…」。
そんな時、ジムのショップで「リストラップ一体型」のグローブを見つけました。
「これだ!」。
価格は少し高めでしたが、一つのギアで二つの悩みが解決するなら、と購入。
装着してベンチプレスをやってみると、世界が変わりました。
グローブのパッドが手のひらの痛みを和らげ、ラップ部分が手首をガッチリと固定してくれる。
「ブレない!」。
手首の不安が消えたことで、僕は初めて「胸で押す」感覚に100%集中できました。
マメの予防と、手首の保護。
この二つを同時に求める僕にとって、「リストラップ一体型グローブ」は、まさに完璧な答えでした。
まとめ:「マメ」と「感覚」、あなたが優先するのはどっち?

トレーニンググローブは、「甘え」でも「初心者用」でもありません。
それは、あなたの「目的」に応じて使い分ける、賢い「選択肢」の一つです。
最後に、あなたの「最適解」を見つけるための判断基準をまとめます。
- グローブ派(着用推奨):
・「手のマメや痛み」を絶対に避けたい。
・「手汗」による滑りが怖い。
・「手首の保護」も同時に行いたい(→リストラップ一体型が最強)。
・「快適性」「衛生面」を重視したい。 - 素手派(非着用):
・「バーを直接握る感覚」を最優先したい。
・「握力」そのものをハードに鍛えたい。
・グローブでグリップが太くなるのが嫌だ。
・(その代わり、滑り止めには「チョーク」、握力補助には「ストラップ/パワーグリップ」を別途使用することが多い)
「マメ」や「快適性」を取るか、「素手の感覚」や「握力強化」を取るか——。
そこに優劣はありません。
あなたのトレーニングスタイルと、何を「優先」するかに基づいて、自信を持って選択してください。
もしグローブを選ぶと決めたなら、この記事の選び方(特に「タイプ」「サイズ」「着脱のしやすさ」)を参考に、あなたにとって最高のパフォーマンスを引き出してくれる「相棒」を見つけましょう!



