「腕立て伏せすると、手首が痛くて回数ができない…何か良い方法ないかな?」
「プッシュアップバーって、ただの腕立て伏せの持ち手でしょ?本当に使う意味あるの?」
「もっと胸筋に効かせたいんだけど、腕立て伏せだけじゃ限界を感じる。バーを使ったら変わる?」
自重トレーニングの王道であり、たくましい胸板を作るための基本でもある「腕立て伏せ(プッシュアップ)」。しかし、そのシンプルさゆえに、「手首への負担が大きい」「可動域が狭く、胸への刺激が物足りない」といった悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
その悩みを解決し、あなたの腕立て伏せを劇的に進化させるツール、それが「プッシュアップバー」です。
「ただの持ち手」と侮るなかれ。
プッシュアップバーは、あなたの手首を守り、胸筋を限界までストレッチさせ、**自重トレーニングの効果を最大化**するための、シンプルかつ非常に強力な武器なのです。
この記事では、なぜプッシュアップバーが腕立て伏せに革命をもたらすのか、その具体的な効果、失敗しない選び方、そして胸筋を限界まで追い込むための「正しい使い方」と応用テクニックまで、徹底的に解説します。
この記事でわかること
- プッシュアップバーが腕立て伏せの手首の痛みを劇的に軽減する理由
- なぜプッシュアップバーを使うと胸筋への刺激(可動域)が深まるのか
- 固定式・回転式などプッシュアップバーの種類と、効果を最大化する正しい使い方
プッシュアップバーとは?「ただの持ち手」では終わらない!

プッシュアップバーは、床に置いて使用する、コの字型またはそれに類する形状のグリップ(持ち手)です。
見た目は非常にシンプルですが、腕立て伏せにおける長年の課題を解決するために設計されています。
腕立て伏せの悩みを一挙解決するシンプルギア
床で腕立て伏せを行う場合、手のひらを床につけるため、手首が90度近く反った(伸展した)状態になります。
この体勢は、手首の関節に大きな負担をかけ、痛みの原因となります。
また、床が可動域の限界となるため、体を深く下ろすことができず、胸筋へのストレッチが不十分になりがちです。
プッシュアップバーは、これらの問題を「グリップを握る」ことと「高さを出す」ことによって解決します。
プッシュアップバーがもたらす「3つの根本的メリット」
1. 手首の負担軽減:グリップを握ることで、手首が自然な角度(真っ直ぐに近い状態)に保たれ、関節への負担が激減します。
2. 可動域の拡大:バーの高さ分、体を床より深く下ろせるため、胸筋をより強くストレッチさせることができます。
3. 負荷の向上:より深い可動域で動作を行うことは、筋肉に対する刺激(負荷)を高めることに繋がります。
つまり、プッシュアップバーは「楽をする」ための道具ではなく、「より安全に、より深く、より効かせる」ための、極めて合理的なトレーニングギアなのです。
プッシュアップバーがあなたの「腕立て伏せ」を変える5つの効果

これらの根本的なメリットから、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか?
① 関節(手首)への負担軽減:痛くないから続けられる!
これが最大の効果と言えるでしょう。
床での腕立て伏せで手首が痛かった人も、プッシュアップバーを使えば、痛みを気にせずトレーニングに集中できるようになります。
「痛み」という継続の障壁を取り除くことで、あなたは腕立て伏せをもっと好きになり、長く続けられるようになります。
② 可動域の拡大:胸筋のストレッチ効果が段違い!
バーの高さがあるため、体を床すれすれ、あるいはそれ以上に深く沈めることができます。
これにより、胸筋(大胸筋)が通常よりも強く引き伸ばされ(ストレッチされ)ます。
筋肉は、強くストレッチされた状態から収縮する時に、より大きな力を発揮し、筋肥大のシグナルも強まります。
③ 負荷の向上:より深く、より効かせる「質」の高い刺激
より広い可動域で動作を行うことは、筋肉が力を発揮する時間(Time Under Tension)を長くし、結果として筋肉への総負荷量を高めます。
同じ回数でも、より深く行う腕立て伏せの方が、筋肉への刺激の「質」が格段に高まるのです。
④ ポジション変更の自由度:多様な角度で筋肉を刺激
プッシュアップバーは固定されていないため、設置する「幅」や「角度」を自由に変えることができます。
幅を広くすれば胸筋の外側に、狭くすれば胸筋の内側や二の腕(上腕三頭筋)に、角度を変えれば肩への刺激も調整可能です。
これにより、腕立て伏せだけで上半身の様々な部位を狙い撃ちすることが可能になります。
⑤ フォームの安定性向上:正しい姿勢をサポート
グリップをしっかりと握り込むことで、上半身全体が安定しやすくなります。
これにより、体幹がブレにくくなり、より正しいフォームで動作を行うことをサポートします。
特に、肩甲骨を寄せ、胸を張る意識がしやすくなります。
「たった5cm」が僕の胸筋を変えた
僕は、自宅での腕立て伏せを日課にしていました。
毎日100回。
しかし、なぜか胸筋は一向に大きくなる気配がありませんでした。
「自重じゃこんなものか…」と諦めかけていた時、友人にプッシュアップバーを勧められました。
「騙されたと思って使ってみろ。
世界が変わるぞ」と。
正直、半信半疑でした。
「たかが数センチ高くなるだけで、何が変わるんだ?」と。
しかし、実際に使ってみて衝撃を受けました。
体を深く沈めると、胸の筋肉が「ブチッ」と引き伸ばされるような強烈なストレッチ感。
床でやっていた時とは、全く別の種目でした。
最初の10回で、胸はパンパンに。
翌日、経験したことのない筋肉痛が大胸筋を襲いました。
「効いてる…!」。
たった数センチの可動域の違いが、これほどまでに刺激を変えるとは。
プッシュアップバーは、僕の腕立て伏せを「ただの回数こなす運動」から「本物の胸筋トレーニング」に変えてくれたのです。
失敗しない!プッシュアップバーの「種類」と「選び方」

プッシュアップバーにもいくつか種類があります。
それぞれの特徴を知り、自分に合ったものを選びましょう。
① 固定式タイプ:安定性重視の定番スタイル
最も一般的で、安価(1,000円〜2,000円程度)なタイプ。
コの字型やH字型をしており、床に置いた時の安定性が高いのが特徴です。
グリップの角度は固定されています。
結論:特にこだわりがなければ、まずこのタイプを選べば間違いありません。
初心者から上級者まで、幅広く使えます。
② 回転式タイプ:関節への負担をさらに軽減、多角的な刺激も可能に
グリップ部分、または土台部分が回転するタイプ。
動作中に手首や肘、肩が自然な角度に動くため、固定式よりもさらに関節への負担が少ないとされています。
また、体を下ろした時と上げた時でグリップの角度を変えることで、筋肉への刺激に変化をつけることも可能です。
価格は固定式よりやや高め(2,000円〜4,000円程度)。
結論:関節への優しさを最優先したい人や、トレーニングに変化をつけたい中級者におすすめです。
③ グリップ形状・素材:握りやすさと耐久性で選ぶ
グリップ部分は、太さや形状(円筒形、波型など)、素材(スポンジ、ゴム、プラスチック)が製品によって異なります。
自分の手の大きさに合い、滑りにくく、しっかりと握り込めるものを選びましょう。
スポンジ素材は柔らかいですが、劣化しやすいというデメリットもあります。
④ 本体素材(プラスチック、木製、金属製):好みと予算で選ぶ
本体の素材も様々です。
・プラスチック製:軽量で安価だが、耐久性はやや劣る。
・木製:温かみのあるデザイン。
滑りにくいが、水分に弱い場合がある。
・金属製(スチールなど):耐久性が最も高いが、重く、価格も高め。
床への傷つきにも注意が必要。
結論:最初は安価なプラスチック製でも十分ですが、長く使いたいなら金属製がおすすめです。
【実践編】プッシュアップバーの「正しい使い方」とバリエーション

プッシュアップバーの効果を最大限に引き出すための、正しい使い方と、刺激を変えるバリエーションをご紹介します。
基本フォームの再確認:手首の負担を減らす「握り方」と「設置位置」
・握り方:グリップの中央を、指だけでなく手のひら全体でしっかりと握り込みます。
手首は反らさず、前腕と一直線になるように意識します。
・設置位置:肩の真下、またはやや広めの位置に「ハの字」または「平行」に置くのが基本です。
動作中にバーがグラつかないよう、安定した床の上で行いましょう。
① スタンダードプッシュアップ:最も基本の胸トレ
バーを肩幅よりやや広く、平行またはハの字に置きます。
頭からかかとまで一直線の姿勢を保ち、胸をバーの高さまでゆっくりと下ろします。
胸筋のストレッチを感じたら、力強く体を押し上げます。
② ワイドプッシュアップ:胸筋の外側を刺激!
スタンダードよりバーの幅を広く置きます。
体を下ろした時に、より強く胸筋の外側がストレッチされます。
胸の「幅」を作りたい場合におすすめです。
③ ナロープッシュアップ:二の腕(上腕三頭筋)と胸筋の内側に効く!
バーの幅を肩幅より狭く置き、脇を締めて動作を行います。
胸筋の内側と、二の腕(上腕三頭筋)に強い刺激が入ります。
腕を太くしたい場合にも効果的です。
④ 傾斜プッシュアップ:負荷の調整と狙う部位の変更(デクライン、インクライン)
・デクラインプッシュアップ:足を椅子などの高い位置に乗せて行います。
体重の負荷が大きくなり、特に胸筋の上部に刺激が集中します。
・インクラインプッシュアップ:手を椅子などの高い位置に乗せて行います。
負荷が軽くなり、胸筋の下部に刺激が入ります。
通常の腕立て伏せができない初心者向けの導入としても有効です。
【応用】片足上げ、片手上げ(難易度アップ)
通常のプッシュアップが楽になったら、片足を上げて不安定な状態で行ったり、片手で行ったりすることで、さらに負荷を高めることができます。
(片手プッシュアップは非常に高強度です)
プッシュアップバーを使った「効果的なトレーニングメニュー」例

プッシュアップバーを活用した、具体的なメニュー例です。
初心者向け:基本フォーム習得と体力向上メニュー
各種目を「限界の回数 × 3セット」(インターバル1分)
1. インクラインプッシュアップ(まずは簡単な角度から)
2. スタンダードプッシュアップ(できる範囲で)
中級者向け:筋肥大を狙う「追い込み」メニュー
各種目を「8〜12回 × 3〜4セット」(インターバル1分)
1. スタンダードプッシュアップ
2. デクラインプッシュアップ(胸上部狙い)
3. ワイドプッシュアップ(胸外側狙い)
4. ナロープッシュアップ(胸内側・三頭筋狙い)
プッシュアップバー使用上の注意点

安全に使うために、いくつか注意点があります。
① 設置面の安定性を確認する(滑り止め機能)
フローリングなどの滑りやすい床で使用する場合、バーの底面に滑り止めが付いているかを確認しましょう。
動作中にバーが滑ると、バランスを崩して顔面を強打するなどの大怪我に繋がる可能性があります。
必要であれば、トレーニングマットの上で使用しましょう。
② 無理な可動域での実施を避ける(特に肩)
プッシュアップバーを使うと深く下ろせますが、肩関節が硬い人が無理に深く下ろしすぎると、肩を痛める(インピンジメントなど)リスクがあります。
最初は無理のない範囲から始め、徐々に可動域を広げていきましょう。
痛みを感じたらすぐに中止してください。
③ 急激な負荷の変更は避ける(徐々に慣らす)
床での腕立て伏せから、いきなりデクラインプッシュアップなどに挑戦すると、負荷が高すぎて肘や肩を痛める可能性があります。
まずはスタンダードプッシュアップに慣れ、徐々にバリエーションを増やしていくようにしましょう。
回転式バーが僕の肘を救った
僕は固定式のプッシュアップバーを愛用していました。
しかし、ナロープッシュアップをやると、どうしても肘に軽い痛みを感じるのが悩みでした。
そんな時、ジムで「回転式」のプッシュアップバーを使っている人を見かけ、試させてもらうことに。
体を下ろしていくと、グリップが自然と内側に回転し、肘への窮屈な感じが全くない。
「なんだこれ、すごく自然だ!」。
固定式では、手首の角度に合わせて肘や肩が無理な動きを強いられていたのかもしれません。
回転式に変えてから、僕は肘の痛みに悩まされることなく、ナロープッシュアップで三頭筋を限界まで追い込めるようになりました。
関節への優しさを求めるなら、回転式は素晴らしい選択肢だと感じました。
まとめ:プッシュアップバーで、あなたの自重トレは劇的に変わる!

プッシュアップバーは、決して「ただの持ち手」ではありません。
それは、腕立て伏せという基本的な種目を、より安全に、より深く、より効果的に行うための、シンプルにして最強の「進化系ギア」です。
最後に、プッシュアップバー活用のポイントをまとめます。
- 効果:「手首の保護」「可動域の拡大」「負荷の向上」で、腕立て伏せの効果を最大化する。
- 選び方:初心者は「固定式」で十分。
関節への優しさなら「回転式」。
握りやすさと安定性を重視する。 - 使い方:手首を真っ直ぐに保ち、胸を深く下ろす。
幅や角度を変えて、刺激にバリエーションを。 - 注意点:滑り止めを確認し、無理な可動域は避ける。
数百円〜数千円という僅かな投資で、あなたの自宅トレーニング(特に胸と腕)の質は劇的に向上します。




