お疲れ様です、現場監督のハリまるです。
今日もハンマーを振るったり、資材を押し込んだりと、腕っぷしを使う作業が多い一日でした。
現場では、重いものを持つ「背筋」も大事ですが、狭い足場で体を支えたり、壁を押したりする「腕の力」が安全を左右します。
さて、これからの季節、半袖のTシャツやポロシャツを着る機会が増えますよね。
その時、鏡に映る自分の腕を見て、ため息をついたことはありませんか?
「なんか俺の腕、細くて頼りないな…」
「学生時代はもっと太かったのに、今はただの棒みたいだ」
「必死に腕立て伏せをしてるのに、全然太くならないのはなぜだ?」
その悩み、実は「鍛える場所」と「種目選び」が間違っている可能性が高いです。
多くの男性は、力こぶ(上腕二頭筋)ばかりを気にしますが、実は腕を太く見せる鍵は「腕の裏側」にあるのです。
この記事では、ジムに通う時間がない忙しい30代会社員のために、自宅にある「椅子」ひとつでできる最強種目「リバースプッシュアップ」について解説します。
ただし、この種目は効果が高い反面、やり方を間違えると肩を壊す危険な種目でもあります。
この記事でわかること
- 腕を太くしたいなら「力こぶ」より「裏側(三頭筋)」を鍛えるべき数学的理由
- ソファ?ベッド?椅子?自宅トレで絶対に選んではいけない「家具」の条件
- 肩と手首を守りながら限界まで追い込む、現場監督流・安全フォームと週間メニュー
なぜ「力こぶ」より「リバースプッシュアップ」なのか?腕の太さの秘密

まず、なぜ普通の腕立て伏せやダンベルカールではなく、「リバースプッシュアップ」を推すのか。
そこには、解剖学的な「効率」の良さと、私たち30代男性が直面する現実があります。
腕の筋肉の7割は「上腕三頭筋」。ここを鍛えなきゃ太くならない
腕を太くしたいと思った時、多くの人はポパイのような「力こぶ(上腕二頭筋)」をイメージして、ダンベルを持って腕を曲げる運動(アームカール)を始めます。
しかし、これは現場で言えば「内装のリフォーム」をしているようなものです。
建物の骨組みそのものを太くするには足りません。
実は、二の腕の筋肉の体積比は、「上腕二頭筋(表):上腕三頭筋(裏)= 3:7」と言われています。
つまり、腕の裏側にある「上腕三頭筋」の方が圧倒的にデカいのです。
ここを鍛えることは、腕全体の太さを底上げする最短ルート。
リバースプッシュアップは、この「7割」をダイレクトに刺激できる種目なのです。
普通の腕立て伏せとの違い。「押す力」を集中的に鍛えるメリット
「普通の腕立て伏せ(ノーマルプッシュアップ)でも三頭筋は鍛えられるでしょ?」
その通りですが、普通の腕立て伏せは「大胸筋(胸)」への負荷がメインになりがちです。
フォームによっては肩や胸に負荷が分散してしまい、三頭筋への刺激は限定的になります。
一方、リバースプッシュアップは、体の後ろに手をついて上下運動をする構造上、胸の関与を減らし、体重のほとんどを「三頭筋」だけで支えることになります。
自重トレーニングでありながら、ジムの専用マシン(ディップスマシン)に近い「一点集中」の高負荷をかけられるのが最大の特徴です。
現場作業でも役立つ!「押し出す力」がつくと仕事が楽になる
これは個人的なメリットですが、三頭筋が発達すると、現場仕事が楽になります。
三頭筋は、肘を伸ばして物を「押し出す」時に使われる筋肉です。
- 重い資材をトラックの荷台に押し込む
- 頭上の棚に荷物を上げる
- 電動工具(ドリルなど)を壁に押し付ける
これらの動作が驚くほど軽くなります。
見た目だけでなく、実用性も兼ね備えた「使える筋肉」、それが上腕三頭筋です。
【準備編】まずは「足場」の確認!自宅の家具選びにおけるKY活動

リバースプッシュアップを始める前に、最も重要な「道具選び」について話します。
現場でも「段取り八分」と言いますが、間違った家具で行うと、トレーニング以前に大怪我をします。
キャスター付き椅子は絶対NG!「後頭部強打」のリスク
絶対にやってはいけないのが、「キャスター(車輪)付きのオフィスチェア」で行うこと。
体重をかけた瞬間に椅子が後ろに滑り、支えを失った体は後方に落下。
最悪の場合、後頭部を床に強打する大事故になります。
【失敗談】横着してキャスター椅子で挑んだ日の悲劇
筋トレを始めたばかりの頃、私は自室のパソコン用チェア(キャスター付き)でリバースプッシュアップを試みました。
「まあ、壁につければ大丈夫だろ」
そう高を括って、体を沈めた瞬間です。
壁との隙間にキャスターが滑り込み、ズルッ!という音と共に椅子が回転。
私はコントロール不能のままお尻からフローリングに落下しました。
強打した尾てい骨の痛みで数日間歩き方が変になり、現場で「痔か?」と勘違いされました。
それ以来、どんなに面倒でも、必ず動かない椅子を用意するようにしています。
ソファやベッドはOK?「柔らかすぎる」と手首を痛める
「じゃあ、重くて動かないソファやベッドならいいの?」
キャスター椅子よりはマシですが、推奨はしません。
理由は「沈み込み」です。
座面がフカフカしていると、手をついた時に手首が安定せず、過度な角度に曲がってしまいます。
これが手首の腱鞘炎の原因になります。
理想は、「ダイニングチェア」や「ベンチ」のような、硬くて安定した座面です。
どうしてもソファで行う場合は、座面の硬い「縁(フレーム)」の部分に手をつくようにしてください。
【実践編】怪我せず効かせる!現場監督流「安全第一」なフォーム解説

道具が揃ったら、いよいよ実践です。
リバースプッシュアップは、フォームを間違えると肩のインナーマッスルを一発で痛めます。
以下の手順を遵守してください。
STEP1:セットアップ(手幅とお尻の位置)
- 安定した椅子を背にして立ちます。
- 座面の端に手を置きます。指先は「正面」に向けます。
- 手幅は「お尻のすぐ横(肩幅程度)」。広すぎると力が逃げます。
- 足を前に出し、お尻を座面から浮かせ、腕だけで体重を支えます。
この時、「肘をロック(完全に伸ばしきる)」しないように注意してください。
関節に負担がかかります。
STEP2:動作開始(下ろす位置と目線)
- 息を吸いながら、ゆっくりとお尻を真下に下ろしていきます。
- 目線は「正面」を向きます。下を見ると背中が丸まり、肩がすくんでしまいます。
- お尻は、椅子の座面スレスレを通過させます。前に出すぎないように。
STEP3:切り返し(最重要ポイント)
ここが一番のポイントです。
どこまで下ろすか?
「肘が90度になるまで」
これ以上深く下ろさないでください。
深く下ろせば効くと思いがちですが、肩関節の可動域を超えてストレッチがかかり、怪我の原因になります。
90度までいったら、息を吐きながら、手で椅子を強く押し込み、元の位置に戻ります。
最後は、三頭筋をギュッと絞り込むイメージで。
効果を爆上げする「レベル別」攻略法(初心者〜上級者)

リバースプッシュアップの良いところは、足の位置一つで負荷を自由に変えられることです。
自分の筋力レベルに合わせて調整しましょう。
【レベル1】膝曲げスタイル(初心者向け)
- やり方:膝を90度に曲げ、足裏をしっかり床につける。
- 特徴:足の力で補助できるため、負荷が軽い。
- 目安:10回 × 3セット
【レベル2】脚伸ばしスタイル(中級者向け)
- やり方:膝を伸ばし、かかとだけを床につける。
- 特徴:足の補助が減り、体重の約70%が腕にかかる。これが標準フォーム。
- 目安:15回 × 3セット
【レベル3】足上げスタイル(上級者向け)
- やり方:向かい側にもう一つ椅子を用意し、そこに足を乗せて体を水平にする。
- 特徴:体重のほぼ全てが腕にかかる。かなりキツイ。
- 目安:10回 × 3セット
【レベル4】加重スタイル(ガチ勢向け)
- やり方:レベル3の状態に加え、太ももの上に重り(プレートや本を入れたリュック)を乗せる。
- 特徴:ジムのマシンと同等の高負荷。太ももから重りが落ちないように注意。
痛いと思ったら即中止!よくあるNGフォームと怪我対策

「なんか肩が痛いな…」
そう感じたら、すぐに中止してフォームを見直してください。
以下のNG行動をしていないかチェックしましょう。
NG①:脇が開いている(肘が外を向いている)
体を下ろす時、肘が外側にパカーンと開いていませんか?
これでは力が分散し、肩関節(ローテーターカフ)への負担が増します。
「脇を締める」意識を持ち、肘はできるだけ真後ろに向けるように曲げてください。
NG②:お尻が椅子から離れている
動作中、お尻が前に出て、体と椅子の間に広いスペースができていませんか?
支点(肩)から作用点(体)が遠くなると、テコの原理で肩への負担が激増します。
お尻は常に「背中で椅子を擦るくらい」近くを上下させてください。
NG③:肩がすくんでいる
疲れてくると、首が埋もれるように肩が上がってしまいます。
これでは三頭筋ではなく「僧帽筋(首の付け根)」を使ってしまいます。
「首を長く保つ」イメージで、肩を下げた状態をキープしてください。
現場監督が提案する「30代会社員のための週間メニュー」

「やり方はわかったけど、どのくらいの頻度でやればいいの?」
そんなあなたに、忙しい社会人でも続けられるルーティンを提案します。
筋肉痛がある日は休むのが鉄則です。
【例:週3回プラン】
- 月曜日:リバースプッシュアップ(レベル2) 10回 × 3セット(インターバル1分)
- 火曜日:休み(残業など)
- 水曜日:リバースプッシュアップ(レベル2) 12回 × 3セット + 普通の腕立て伏せ 10回 × 2セット
- 木曜日:休み
- 金曜日:休み(飲み会など)
- 土曜日:リバースプッシュアップ(レベル3) 限界まで × 3セット
- 日曜日:完全休養
ポイントは「少しずつ回数か負荷を増やす」こと(漸進性過負荷の原則)。
先週10回できたなら、今週は11回を目指す。
この積み重ねだけが、腕を太くします。
【体験談】「あれ、監督腕太くなりました?」と言われた夏
リバースプッシュアップを自宅トレのルーティンに組み込んで3ヶ月が経った頃の現場での話です。
休憩中にポロシャツの袖をまくって水を飲んでいると、後輩の職人が私の腕を見て言いました。
「監督、なんか腕太くなってません? 力こぶっていうか、腕の厚みがすごいっすね」
自分では毎日見ているので気づきませんでしたが、確かに袖口の締め付けが以前よりキツくなっていました。
力こぶを作るポーズをしなくても、自然体で腕が太く見える。
これこそが、三頭筋を鍛える最大のメリットだと実感しました。
その日の午後のハンマー作業は、いつもより軽快に感じられました(単純ですね)。
まとめ:男の自信は「太い腕」に宿る。今日から椅子とお友達になろう

腕の太さは、男の自信に直結します。
そして、その太さを作る鍵は、ジムの高い会費でも高価なダンベルでもなく、あなたの家にある「椅子」が握っています。
リバースプッシュアップは地味な種目ですが、効果は保証します。
ただし、「安全第一」だけは忘れないでください。
固定された椅子、正しいフォーム、無理のない範囲。
これらを守って継続すれば、今年の夏、あなたは自信を持って半袖を着こなせるようになっているはずです。




