「トレーニング中に足がつった!これって水分不足が原因なの?」
「ジムでは水筒持ってるけど、正直どれくらい飲めばいいかよく分かってないんだよな…」
「水じゃなくて、スポーツドリンクとかBCAA飲んだ方が筋肉に良いんじゃないの?」
あなたは、トレーニング中の「水分補給」をどれくらい意識していますか?
プロテインやクレアチンといったサプリメントには気を使っても、「水」については「喉が渇いたら飲む」程度にしか考えていないかもしれません。
しかし、それはあなたのトレーニング効果を著しく損ない、深刻な不調を引き起こす危険な落とし穴です。
筋肉の大部分は水分で構成されており、体内の水分バランスは、筋力の発揮、持久力、集中力、そして回復力に至るまで、トレーニングのあらゆる側面に直接的な影響を与えます。
水分補給は、単なる「喉の渇きを癒す行為」ではなく、パフォーマンスを最大化し、体を守るための「戦略的な栄養補給」なのです。
この記事では、筋トレ民が見落としがちな「水分補給」の真の重要性を科学的根拠に基づいて徹底解説。
脱水のサイン、必要な水分量、最適な飲み物、そして効果的な摂取タイミングまで、あなたのトレーニングを次のレベルへと引き上げる「正しい水分補給の全知識」をお伝えします。
この記事でわかること
- なぜ筋トレにおいて水分補給がパフォーマンスと回復に不可欠なのか
- 体重のわずか2%の水分喪失が引き起こす具体的な悪影響
- トレーニング前・中・後における適切な水分補給の量・タイミング・飲み物の選び方
あなたは大丈夫?筋トレ民が見落としがちな「水分不足」の罠

「別に喉渇いてないから大丈夫」——その油断が、あなたの成長を妨げているかもしれません。
体は、あなたが思う以上に「水」を必要としています。
① 筋肉の約70%は「水」。 水なくして筋肉なし
驚くかもしれませんが、私たちの筋肉組織の約70%〜75%は水分で構成されています。
筋肉が力を発揮するプロセス(筋収縮)や、筋肉が合成されるプロセス(タンパク同化)には、水が不可欠な役割を果たしています。
十分な水分がなければ、筋肉は正常に機能せず、成長することもできません。
まさに「水なくして筋肉なし」なのです。
② 「喉が渇いた」はすでに脱水症状のサイン?
「喉が渇いたな」と感じた時点で、実はあなたの体はすでに脱水状態(体重の1〜2%程度の水分喪失)に陥っていると言われています。
つまり、「喉の渇き」を水分補給のサインにするのでは「遅すぎる」可能性があるのです。
特にトレーニングに集中していると、喉の渇きを感じにくくなるため、意識的な水分補給が不可欠です。
③ 体重のわずか2%の水分喪失で、パフォーマンスは激減する
研究によれば、体重のわずか2%の水分が失われるだけで、筋力は約10%、持久力は約20%も低下すると言われています。
(例:体重70kgの人なら、わずか1.4リットルの水分喪失)
これは、あなたが本来挙げられるはずの重量が挙がらなくなったり、いつもより早くバテてしまったりすることを意味します。
水分不足は、あなたが気づかないうちに、トレーニングの質を著しく下げているのです。
水分不足が筋トレに与える「恐るべき悪影響」4選

水分不足が引き起こすのは、単なるパフォーマンス低下だけではありません。
様々な深刻な悪影響があります。
① 筋力・筋持久力の低下(パワーダウン)
前述の通り、水分不足は神経伝達や筋収縮の効率を低下させ、筋力(最大パワー)と筋持久力(力を出し続ける能力)の両方を著しく低下させます。
「今日はなんだか力が出ないな…」と感じる原因は、水分不足かもしれません。
② 筋肉の痙攣(こむら返り)のリスク増大
トレーニング中によく起こる「足がつる」「こむら返り」といった筋肉の痙攣。
これは、脱水による電解質(ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど)バランスの乱れが大きな原因の一つです。
激しい痛みでトレーニングを中断せざるを得なくなるだけでなく、肉離れなどの怪我に繋がる可能性もあります。
③ 疲労回復の遅延と筋肉痛の悪化
水分は、血液の主成分であり、栄養素を筋肉に届け、老廃物を運び去る役割を担っています。
水分が不足すると血流が悪くなり、疲労物質の除去が遅れ、筋肉への栄養供給も滞るため、トレーニングからの回復が遅れます。
結果として、筋肉痛が長引いたり、悪化したりする可能性があります。
④ 集中力の低下と判断ミス(怪我のリスクも)
脳機能も、水分不足の影響を大きく受けます。
脱水状態では、集中力や判断力が低下し、トレーニングへの意欲も削がれます。
集中力が散漫になると、フォームが乱れたり、注意力が低下したりして、思わぬ怪我に繋がるリスクも高まります。
足がつってデッドリフトを落とした日
僕は、デッドリフトで自己ベスト更新を目指していました。
その日は特に気合が入っていましたが、トレーニング前の水分補給を怠り、トレ中もあまり水を飲まずにセットを重ねていました。
そして、自己ベスト重量に挑戦し、バーベルを引き上げた瞬間、右のふくらはぎに激痛が!
「ぐわっ!!」。
強烈なこむら返りに襲われ、僕はバーベルを床に落としてしまいました。
幸い怪我はありませんでしたが、周りの視線と、ふくらはぎの激痛、そして自己ベスト更新失敗というトリプルパンチで、心は完全に折れました。
後でトレーナーに相談すると、「それ、完全に水分とミネラル不足ですよ。
デッドリフトみたいな高強度種目の前は、特にしっかり補給しないと」と指摘されました。
僕は、水分補給という「基本中の基本」を怠ったせいで、最高のチャンスを逃してしまったのです。
あの痛みと共に、「水の大切さ」を骨身に染みて学びました。
あなたは足りてる?「脱水症状」を見抜くセルフチェック法

自分が水分不足かどうかを客観的に知るための簡単な方法があります。
① 喉の渇き(初期サインだが遅い場合も)
最も分かりやすいサインですが、前述の通り、喉が渇いたと感じる時点では、すでに脱水が始まっている可能性があります。
特に高齢者や、運動に集中している時は、渇きを感じにくい場合もあるため、これだけに頼るのは危険です。
② 尿の色をチェック!(最も分かりやすい指標)
これが最も簡単で信頼性の高いセルフチェック法です。
・理想的な状態:薄い黄色〜ほぼ透明。
・水分不足のサイン:濃い黄色〜オレンジ色。
尿の色が濃い場合は、意識的に水分摂取量を増やす必要があります。
トレーニング前後だけでなく、普段からトイレに行くたびにチェックする習慣をつけましょう。
③ めまい、頭痛、倦怠感
これらは、脱水が進行している可能性を示すサインです。
特にトレーニング中にこれらの症状を感じた場合は、すぐに運動を中止し、涼しい場所で水分と塩分(電解質)を補給し、休息する必要があります。
無理は禁物です。
【実践】筋トレ効果を最大化する「水分補給」完全マニュアル

では、具体的にいつ、どれくらい、何を飲めば良いのでしょうか?
トレーニング効果を最大化するための、具体的な水分補給戦略です。
① トレーニング「前」:2〜3時間前から計画的に
トレーニング開始時点で、すでに体が潤っている状態(水分充足状態)にしておくことが理想です。
・2〜3時間前:コップ2杯程度(約400〜600ml)の水を飲みます。
・30分〜1時間前:コップ1杯程度(約200〜300ml)の水を飲みます。
直前にガブ飲みすると、お腹がタポタポになりパフォーマンスが低下するため、計画的に補給しましょう。
② トレーニング「中」:こまめに少量ずつ(15〜20分ごと)
トレーニング中は、汗によって継続的に水分が失われていきます。
喉の渇きを感じる前に、15〜20分ごとに、コップ半分〜1杯程度(約150〜250ml)の水分を「こまめに」補給しましょう。
1時間程度のトレーニングであれば、合計で500ml〜1L程度が目安となります。
セット間のインターバルなどを利用して、習慣的に飲むようにします。
③ トレーニング「後」:失われた水分を速やかに補充(体重測定も有効)
トレーニングで失われた水分を速やかに補充することは、疲労回復を早める上で非常に重要です。
より正確に把握したい場合は、トレーニング前後の体重を測定し、「減少した体重 × 1.2〜1.5倍」の水分を、トレーニング後数時間かけて摂取するのが理想的です。
(例:体重が1kg減少した場合、1.2〜1.5Lの水分を補給)
まずは、トレーニング直後にコップ1〜2杯の水分を摂ることから始めましょう。
④ 日常生活:1日を通してトータルでどれくらい必要?(目安量)
トレーニング時だけでなく、日常生活においても、十分な水分摂取は健康とコンディション維持の基本です。
一般的に推奨される1日の水分摂取量は「約1.5〜2.5リットル」ですが、筋トレを行う人は、トレーニングによる発汗量を考慮し、それ以上(例:2.5〜3.5リットル以上)を目安にすると良いでしょう。
食事に含まれる水分も考慮しつつ、こまめな水分補給を心がけましょう。
何を飲むべき?水 vs スポーツドリンク vs BCAA/EAA

水分補給と言っても、何を飲むのがベストなのでしょうか?
基本は「水」でOK!ただし注意点も
最も手軽で、コストもかからず、カロリーゼロ。
基本的な水分補給は「水」(常温または少し冷たい程度)で十分です。
ただし、長時間の激しいトレーニングで大量に汗をかく場合は、水だけでは失われた電解質(ミネラル)を補給できません。
スポーツドリンクが必要になるのはどんな時?(電解質・糖質の役割)
「スポーツドリンク」は、水分だけでなく、汗で失われる電解質(ナトリウム、カリウムなど)や、エネルギー源となる糖質を含んでいます。
・1時間以上の長時間のトレーニングを行う場合
・非常に暑い環境で大量に汗をかく場合
・トレーニング中にエネルギー補給もしたい場合
このような場合には、スポーツドリンク(または経口補水液)の利用が有効です。
ただし、糖質が多く含まれるため、減量中などは飲み過ぎに注意が必要です。
(水で薄めて飲むのも良い方法です)
BCAA/EAAは水分補給の代わりになる?
トレーニング中にBCAAやEAAを飲む人も多いでしょう。
これらはアミノ酸補給には有効ですが、それ自体が十分な「水分補給」になるわけではありません。
BCAA/EAAを溶かす「水」の量をしっかりと確保することが重要です。
また、電解質は含まれていない場合がほとんどなので、大量発汗時は別途スポーツドリンクなどで補う必要があります。
避けるべき飲み物:カフェイン、アルコール、糖分の多いジュース
・カフェイン飲料(コーヒー、エナジードリンク):利尿作用があり、脱水を助長する可能性があるため、トレーニング中の水分補給としては不向きです。
・アルコール:論外です。
利尿作用が非常に強く、脱水を引き起こします。
・糖分の多いジュースや清涼飲料水:吸収が遅く、胃に負担がかかる上、過剰な糖質摂取に繋がります。
習慣化が鍵!毎日十分な水分を摂るための「5つのコツ」

頭では分かっていても、意識しないと忘れがちなのが水分補給。
習慣化するためのコツです。
① マイボトル(水筒)を常に携帯する
常に手元に飲み物があれば、自然と飲む回数が増えます。
お気に入りのマイボトルを見つけて、職場や外出先に常に携帯しましょう。
容量が分かっていれば、1日にどれくらい飲んだかの目安にもなります。
② 時間を決めて飲む(例:1時間ごとにコップ1杯)
「喉が渇いたら飲む」のではなく、「時間」を決めて飲む習慣をつけましょう。
例えば、「毎時0分になったらコップ1杯の水を飲む」など、自分なりのルールを決めると忘れにくくなります。
③ アプリやタイマーでリマインドする
どうしても忘れてしまう人は、スマホアプリやスマートウォッチのリマインダー機能を活用しましょう。
一定時間ごとに通知が来るように設定すれば、意識的に水分補給のタイミングを作れます。
④ 起床後と就寝前にコップ1杯の水を習慣に
睡眠中は長時間水分が摂れないため、体は脱水傾向にあります。
「起床後すぐ」と「就寝前」にコップ1杯の水を飲む習慣は、1日の水分バランスを整える上で非常に効果的です。
⑤ 食事からも水分を意識する(スープ、野菜、果物)
水分は飲み物だけでなく、食事からも摂取しています。
特に、スープや味噌汁、野菜(きゅうり、レタスなど)、果物(スイカ、オレンジなど)には多くの水分が含まれています。
バランスの取れた食事を心がけることも、水分補給に繋がります。
「尿の色」が僕のコンディションバロメーター
僕は、トレーニングの記録はつけていましたが、水分補給に関してはかなり無頓着でした。
喉が渇けば飲む、という程度。
しかし、ある時期からトレーニング中に集中力が続かなかったり、翌日の疲労感が抜けにくかったり、という不調を感じるようになりました。
そんな時、「尿の色で脱水状態が分かる」という情報を知りました。
試しに意識して自分の尿の色をチェックしてみると…日によってはかなり「濃い黄色」をしていることに気づきました。
「これか…!」。
僕はその日から、意識的に水分摂取量を増やし、「常に薄い黄色」をキープするように心がけました。
マイボトルを持ち歩き、1時間ごとに水を飲む。
すると、驚くほどトレーニング中の集中力が持続するようになり、翌日の疲労感も明らかに軽減されたのです。
「尿の色」というシンプルな指標が、僕のコンディションを測るバロメーターとなり、水分補給への意識を劇的に変えてくれました。
まとめ:水分補給を制する者は、トレーニングを制する

水分補給は、筋トレのパフォーマンス、回復、そして安全性を根底から支える、最も基本的にして最も重要な要素です。
決して軽視してはいけません。
最後に、戦略的な水分補給のポイントをまとめます。
- なぜ重要か?:筋肉の7割は水。
わずか2%の脱水でパフォーマンス激減、痙攣、回復遅延、集中力低下を招く。 - 脱水のサイン:「喉の渇き」は遅い。
「尿の色」を常にチェック! - タイミングと量:トレ前(計画的に)、トレ中(15-20分毎にこまめに)、トレ後(速やかに)。
日常生活でもトータル2.5L以上目安。 - 飲み物:基本は「水」。
長時間・高強度・多量発汗時は「スポーツドリンク」も有効。 - 習慣化:マイボトル携帯、時間で飲む、リマインダー活用、起床後・就寝前。
あなたの体は、あなたが思っている以上に「水」を欲しています。
「喉が渇いてから」ではなく、「喉が渇く前に」飲む。
この意識的な水分補給戦略が、あなたのトレーニングをより安全に、より効果的にし、理想の体への到達を加速させるはずです。




