「減量したいけど、ケトジェニック(糖質制限)は頭が回らなくて挫折した…」
「筋肉を落とさずに脂肪だけをキレイに落としたい。トレーニングのパワーも維持したいんだけど…」
「ローファット(脂質制限)が良いって聞くけど、具体的に何をどれくらい食べたらいいの?PFCバランスとか計算が難しそう…」
筋トレ民が減量(ダイエット)を決意した時、ケトジェニックや16時間断食など、様々な手法が頭をよぎるでしょう。
しかし、トレーニングのパフォーマンスを落とさず、筋肉量を最大限に維持しながら、着実に脂肪を削ぎ落とす——この難題をクリアするための、最も王道かつ持続可能な食事戦略が「ローファット(脂質制限)ダイエット」です。
ケトジェニックとは対照的に、筋肉と脳のエネルギー源である「炭水化物」をしっかり摂取できるため、トレーニングの質を落とさずに済み、空腹感とも戦いやすいのが最大の強み。
多くのボディビルダーやフィジーク選手が、コンテスト前の「絞り」にこの手法を取り入れています。
この記事では、「ただ脂質を抜けばいい」という単純なものではない、トレーニーのための「ローファットダイエット」完全ガイドをお届けします。
筋肉を落とさないためのPFCバランスの計算方法から、OK・NG食材リスト、具体的な1日の食事メニュー例まで。
この記事でわかること
- なぜ筋トレ民の減量に「ローファット」が最強の選択肢なのか
- 筋肉を落とさないための、具体的な「PFCバランス」と「カロリー」の計算方法
- ローファット中に食べていいOK食材、避けるべきNG食材の具体例
なぜトレーニーの減量に「ローファット」が最強なのか?

ケトジェニック(高脂質・低糖質)が短期決戦型なら、ローファット(高タンパク・低脂質・中〜高炭水化物)は、トレーニーの特性に最もマッチした持続可能な王道戦略です。
① 最大のメリット:炭水化物をしっかり摂れる(=筋トレの質が落ちない)
これが最大の理由です。
筋トレ(特に高強度のウェイトトレーニング)の主なエネルギー源は「糖質(筋グリコーゲン)」です。
ローファットダイエットでは、脂質を削る代わりに炭水化物をしっかり摂取できるため、トレーニングで必要なエネルギーが枯渇しにくく、筋力の低下やパフォーマンスダウンを最小限に抑えることができます。
「減量中なのに、意外と重量が落ちない」という状態を維持しやすいのです。
② 食事の満足感を維持しやすい(食材の選択肢が多い)
脂質を抑える必要はありますが、炭水化物(米、パン、麺、芋類など)を食べられるため、食事の「満足感(ボリューム感)」を維持しやすいのが特徴です。
和食(焼き魚、煮物、刺身など)との相性も抜群。
ケトジェニックのように、主食を完全に断つストレスがないため、精神的にも続けやすいと言えます。
③ 長期的に持続可能で、リバウンドのリスクが低い
極端な制限が少ないため、長期間(数ヶ月単位)の減量にも適しています。
また、減量終了後に通常の食事に戻す際も、炭水化物を食べ慣れているため、代謝が落ちにくく、リバウンドのリスクも比較的低いとされています。
(ケトジェニックは、終了後の糖質摂取で急激にリバウンドしやすい側面があります)
④ ケトジェニックダイエットとの比較(どちらが向いている?)
・ローファットが向いている人:
炭水化物(お米、パン)が大好き。
トレーニングの強度を落としたくない。
長期間で着実に痩せたい。
・ケトジェニックが向いている人:
脂質の多い食事(肉、チーズ)が好き。
短期間で一気に結果を出したい。
空腹感をなるべく感じたくない。
(詳しくは別記事「ケトジェニック完全ガイド」参照)
ローファットダイエットの「PFCバランス」黄金比率

ローファットダイエットの成功は、PFCバランスの設定で決まります。
「P(タンパク質)」「F(脂質)」「C(炭水化物)」の順番で、摂取グラム数を計算していきましょう。
(※まず、自分の「減量目標カロリー」を計算しておく必要があります。
例:維持カロリー – 500kcalなど)
① まず「タンパク質」を固定する(体重×2g〜)
減量中こそ、筋肉の分解(カタボリック)を防ぐために、タンパク質は最重要です。
絶対に減らしてはいけません。
目安は「体重(kg) × 2g 〜 2.5g」程度。
(例:体重70kgの人なら、140g〜175g)
② 次に「脂質」を固定する(総カロリーの15〜20%)
次に、制限対象の「脂質」の上限を決めます。
「ゼロ」にするのは健康を害するためNG。
一般的には、「総摂取カロリーの15%〜20%」の範囲に設定します。
(例:目標2000kcalなら、300kcal〜400kcal相当。
脂質は1g=9kcalなので、約33g〜44g)
脂質を20%以下に抑えるのが、ローファットダイエットの鍵です。
③ 残りのカロリー全てを「炭水化物」に充てる
最後に、目標カロリーから①タンパク質のカロリーと②脂質のカロリーを差し引いた、残りのカロリー全てを「炭水化物」で摂取します。
(タンパク質1g=4kcal, 炭水化物1g=4kcal)
【実践】減量カロリーとPFC計算の具体例
(例:体重70kgの男性、減量目標カロリーが 2,200kcal の場合)
1. タンパク質(P)を決める:
70kg × 2.2g = 154g
→ 154g × 4kcal/g = 616kcal
2. 脂質(F)を決める:
総カロリーの20%に設定。
2200kcal × 0.20 = 440kcal
→ 440kcal ÷ 9kcal/g = 約49g
3. 炭水化物(C)を決める:
残りのカロリーを計算。
2200kcal – 616kcal (P) – 440kcal (F) = 1144kcal
→ 1144kcal ÷ 4kcal/g = 286g
→ この場合の目標PFCバランス(グラム):
P 154g / F 49g / C 286g
このPFCバランスを達成できるように、日々の食事メニューを組み立てていきます。
「脂質15%」の世界は、驚くほどパワフルだった
僕は、ケトジェニックで挫折した経験から、ローファットダイエットに切り替えました。
計算した結果、僕の脂質摂取上限は「1日40g」(総カロリーの約18%)。
「40gなんて、すぐ超えちゃうだろ…」と不安でした。
しかし、実際に食事を組み立ててみると、意外なことに気づきました。
鶏むね肉、白身魚、白米、うどん、野菜…これらを「焼く・蒸す・茹でる」で調理すれば、脂質40gの枠内に余裕で収まるのです。
そして何より、炭水化物(糖質)をしっかり食べられる!
ケト中にあれほど渇望した「白米」が食べられる喜び。
そして、ジムでのトレーニング。
ケト中とは比べ物にならないほど、エネルギーがみなぎり、パワーが出る!
減量中なのに、重量が落ちない。
「脂質を減らす」という小さな犠牲と引き換えに、「炭水化物を食べられる」という大きなメリットを手に入れたことで、僕の減量は初めて「継続可能」なものになりました。
【食材リスト】ローファットダイエットの「食べていいもの」「避けるべきもの」

脂質「40g」と言われても、ピンと来ないかもしれません。
具体的な食材で覚えましょう。
「脂質が少ないもの」を選び、「脂質が多いもの」を避ける。
ただそれだけです。
積極的に摂りたい「OK食材」リスト
脂質が少なく、高タンパクまたは高炭水化物な食材たちです。
【タンパク質】鶏むね肉、白身魚、イカ・タコ、卵白、ノンオイルツナ缶など
・肉類:鶏むね肉(皮なし)、ささみ、牛ヒレ肉、豚ヒレ肉、馬肉(赤身)
・魚介類:白身魚(タラ、カレイ、タイ)、イカ、タコ、エビ、貝類、ノンオイルツナ缶
・その他:卵白(卵黄は脂質が多いので個数注意)、カッテージチーズ、無脂肪乳、無脂肪ヨーグルト
【炭水化物】白米、玄米、オートミール、うどん、そば、芋類、果物など
・穀物:白米、玄米、オートミール、うどん、そば、パスタ、餅、全粒粉パン
・芋類:さつまいも、じゃがいも、里芋、長芋
・その他:果物(バナナ、リンゴなど)、和菓子(大福、団子、羊羹 ※脂質ゼロのもの)
【脂質】最低限は必要!アボカド、ナッツ、魚油など「良質な脂質」を少量
脂質をゼロにするのではなく、設定した上限(例:40g)までは、「良い脂質」で満たす意識を持ちましょう。
・青魚(サバ、イワシなど)※脂質は多いが、オメガ3のため適量ならOK
・アボカド(1/4個程度)
・ナッツ類(10粒程度)
・オリーブオイル、亜麻仁油(小さじ1杯程度)
絶対に避けるべき「NG食材」リスト
これらを食べると、一瞬で1日の脂質上限を超えてしまいます。
減量中は「悪魔の食べ物」として避けましょう。
揚げ物全般、肉の脂身、洋菓子、スナック菓子、加工肉(ソーセージ等)
・揚げ物:唐揚げ、天ぷら、とんかつ、フライドポテト(脂質の塊)
・肉の脂身:牛バラ肉、豚バラ肉、鶏皮、サーロインステーキの脂身
・洋菓子:ケーキ、クッキー、ドーナツ、アイスクリーム(砂糖+脂質)
・スナック菓子:ポテトチップスなど
・加工肉:ソーセージ、ベーコン、サラミ(見た目以上に脂質が多い)
隠れ脂質に注意(ドレッシング、カレールー、マヨネーズ)
良かれと思って食べているものが、実は高脂質な場合があります。
・ドレッシング:ごまドレ、シーザーサラダドレなどは脂質爆弾。
ノンオイルを選ぶ。
・マヨネーズ:言わずもがな脂質の塊。
・カレールー、シチューのルー:固形ルーは脂質でできている。
・その他:ナッツの「食べ過ぎ」、アボカドの「食べ過ぎ」。
ローファット実践者の1日の「食事メニュー」サンプル(減量期)

(目標:P154g, F49g, C286g, 2200kcalの場合)
※あくまで一例です。
このバランスを参考に、食材を入れ替えてみてください。
・朝食 (7:00):玄米(150g), 納豆1パック, 焼き鮭(1切れ ※脂質カウント), 味噌汁(わかめ・豆腐)
・昼食 (12:00):鶏むね肉(200g)の蒸し鶏, 白米(200g), ブロッコリー, キムチ
・間食/トレ前 (16:00):バナナ1本, プロテイン(30g)
・トレーニング (17:30-19:00)
・トレ後 (19:15):プロテイン(30g), 大福1個 (脂質ほぼゼロ)
・夕食 (20:30):タラのホイル蒸し(200g), じゃがいも(150g), 野菜サラダ(ノンオイルドレ), 卵白3個分
・就寝前 (23:00):(必要なら)無脂肪ヨーグルト
「空腹」をどう乗り越えるか?(分食と食材選び)
ローファットは炭水化物が摂れるため、ケトジェニックより空腹感は感じにくいですが、それでもアンダーカロリーでは空腹になります。
対策としては、食事回数を5〜6回に分ける「分食」が有効です。
また、白米よりも「玄米」や「オートミール」、「芋類」、そして「野菜」や「きのこ類」といった、食物繊維が豊富で消化がゆっくりな(低GI)食品を選ぶことで、腹持ちが良くなり、空腹感を紛らわすことができます。
ローファットダイエットを成功させる「5つの鍵」

最後に、ローファットダイエットを失敗させないための重要な「鍵」を5つ紹介します。
① 「脂質=0g」を目指さない(最低限は必須!)
ストイックになりすぎ、「脂質ゼロ」を目指してしまう人がいます。
これは危険です。
前述の通り、脂質はホルモン生成や細胞機能維持に不可欠。
最低でも総カロリーの10〜15%は確保するようにし、その際はアボカドやナッツ、魚油など「良質な脂質」から摂るようにしましょう。
② 「P(タンパク質)」の摂取量は絶対に減らさない
カロリーを減らすことに集中するあまり、タンパク質まで削ってしまう。
これは最悪の選択です。
減量中こそ、筋肉の分解を防ぐために、タンパク質(体重×2g〜)は「聖域」として、絶対に減らしてはいけません。
カロリーを削るなら、まず「悪い脂質」、次に「(余分な)炭水化物」の順番です。
③ 「C(炭水化物)」の質にもこだわる(低GI食品の活用)
炭水化物が食べられるからといって、砂糖や菓子パンばかり食べていては、血糖値が乱高下し、体脂肪も蓄積しやすくなります。
できるだけ、玄米、オートミール、全粒粉パン、芋類といった「低GI(グリセミック・インデックス)」の、食物繊維が豊富な炭水化物を選ぶことが、血糖値の安定と空腹感の抑制に繋がります。
(※トレ直後は、吸収の速い高GIの白米や餅も有効です)
④ 「ビタミン・ミネラル」(特に脂溶性)の不足に注意する
脂質を制限すると、脂質と一緒に摂取される「脂溶性ビタミン(A, D, E, K)」の吸収が低下する可能性があります。
また、食事全体量が減ることで、他のビタミン・ミネラルも不足しがちに。
緑黄色野菜や海藻類などを意識的に食べ、必要であればマルチビタミンなどのサプリメントも活用しましょう。
⑤ 停滞したら「チートデイ/ハイカーボデイ」を検討する
ローファットダイエットを続けていても、いずれ「停滞期」は訪れます。
そんな時は、代謝を再活性化させるために、計画的に「ハイカーボデイ」や「チートデイ」を設けるのが有効です。
(詳しくは別記事「チートデイ完全ガイド」参照)
「ノンオイル」の罠にハマった私
私は、ローファットダイエットを「脂質さえ摂らなければ何でもOK」と誤解していました。
スーパーでは「脂質ゼロ」「ノンオイル」と書かれた商品ばかりをカゴへ。
ドレッシングはもちろんノンオイル、パンも脂質の少ないフランスパン、おやつは「脂質ゼロ」のゼリーや和菓子。
しかし、体重は一向に減りませんでした。
それもそのはず。
私は「脂質」を気にするあまり、「糖質」の量を全く気にしていなかったのです。
ノンオイルドレッシングには大量の砂糖(糖質)が使われていることを知らず、和菓子も「脂質ゼロ」を免罪符に食べ放題。
PFCバランスは、「超・高炭水化物、低タンパク質、低脂質」という最悪のバランス。
総カロリーもオーバーしていました。
ローファットは「脂質だけ」を見ればいいのではなく、「PFC全体のバランス」の中で、脂質を「抑える」という戦略なのだと、失敗から学びました。
まとめ:ローファットを制覇し、筋肉を残して脂肪を削ぎ落とそう

ローファットダイエットは、筋トレ民にとって最も親和性が高く、持続可能で、効果的な減量戦略です。
「炭水化物を食べられる」という大きなメリットを活かし、トレーニングの質を維持しながら、確実に脂肪だけを削ぎ落としていきましょう。
最後に、ローファット成功の鍵をまとめます。
- 目的:「炭水化物」をエネルギー源とし、トレーニングの質を維持しつつ、脂肪を燃やす。
- PFC計算:①タンパク質(体重×2g〜)を固定 → ②脂質(総カロリーの15〜20%)を固定 → ③残りを全て炭水化物に。
- 食材選び:NG食材(揚げ物、脂身、洋菓子など)を徹底的に避け、OK食材(鶏むね肉、白身魚、米、芋など)を選ぶ。
- 注意点:脂質ゼロはNG。
タンパク質は死守。
炭水化物の「質」にもこだわる。
ビタミン不足に注意。
ケトジェニックが合わなかった人も、初めて本格的な減量に取り組む人も、この「王道」のローファットダイエットから始めてみませんか?




