「よし、増量期だ!とにかくたくさん食べれば筋肉は大きくなるんだろ?…って思ったけど、最近お腹周りの脂肪がヤバい…。これじゃただのデブじゃないか…。」
「”リーンバルク”が良いって聞くけど、カロリー計算とかPFCとか、何だか難しそう。一体何から始めたらいいんだ…。」
筋トレの成果を最大化する増量期。
しかし、がむしゃらに食べるだけでは、筋肉と一緒に余分な脂肪まで増えてしまい、理想の身体から遠ざかってしまうことも少なくありません。
その結果、鏡に映るのは筋肉質とは言い難い、「ただのデブ」になってしまった自分…。そんな悲しい経験、絶対にしたくないですよね。
この記事では、そんな増量期の失敗を防ぐための最強の戦略、「リーンバルク」の正しいやり方を、誰でも実践できるよう5つの簡単なステップに分けて徹底的に解説します。
カロリー計算から具体的な食事メニューまで、この記事1本でリーンバルクのすべてが分かります。
もう増量期の食事で迷うことはありません。

この記事でわかること
- リーンバルクを成功させるための正確なカロリー設定方法
- 筋肉を最大化し脂肪を最小化する「黄金のPFCバランス」
- 真似するだけでOKな1日のモデル食事プランとおすすめ食材
そもそもリーンバルクとは?ダーティバルクとの決定的な違い
リーンバルクの旅を始める前に、その定義と、よく比較される「ダーティバルク」との違いを明確にしておきましょう。
この違いを理解することが、成功への第一歩です。
リーンバルク:クリーンに筋肉量を増やす戦略
リーンバルクとは、「リーン(Lean=脂肪が少ない)」という言葉通り、余分な体脂肪の増加を可能な限り抑えながら、筋肉量を徐々に増やしていく増量法です。
摂取カロリーやPFCバランスを厳密に計算し、栄養価の高いクリーンな食材を中心に食事を組み立てます。
ダーティバルク:とにかく体を大きくする戦略
一方、ダーティバルクは、カロリー計算などをあまり気にせず、ジャンクフードや高カロリーな食品も活用して、とにかく総摂取カロリーを増やし、体重と筋肉量を増やす方法です。
短期間で体を大きくできますが、筋肉と同時に大量の脂肪もついてしまうリスクが非常に高いです。
なぜ今、リーンバルクが選ばれるのか?
最大の理由は、増量後の減量期が圧倒的に楽になるからです。
ダーティバルクで増やした大量の脂肪を落とすには、長く辛い減量期間が必要となり、その過程で筋肉まで失ってしまうリスクがあります。
リーンバルクなら、見た目の良い状態を維持しながら筋肥大でき、その後の減量も短期間で済みます。
【ステップ1】全ての基礎!消費カロリーと摂取カロリーを計算する
ここからが実践編です。
リーンバルクは、感覚ではなく数字に基づいた戦略です。
まずは自分の体の「エネルギー収支」を正確に把握しましょう。
まずは自分の「TDEE(総消費カロリー)」を知ろう
TDEEとは、基礎代謝や運動などで1日に消費するカロリーの総量です。
この数値を基準に、リーンバルクの摂取カロリーを決めていきます。
基礎代謝量(BMR)の計算方法
BMRは、生命維持に最低限必要なエネルギー量です。
ハリス・ベネディクト方程式の改良版を使って計算します。
男性: 13.397×体重(kg) + 4.799×身長(cm) – 5.677×年齢 + 88.362
女性: 9.247×体重(kg) + 3.098×身長(cm) – 4.330×年齢 + 447.593
活動レベルに応じたTDEEの算出
算出したBMRに、あなたの活動レベルに応じた係数を掛けてTDEEを求めます。
- 活動レベルが低い(週1-2回軽い運動): BMR × 1.375
- 活動レベルが普通(週2-3回まあまあ運動): BMR × 1.55
- 活動レベルが高い(週4-5回ガッツリ運動): BMR × 1.725
リーンバルクの摂取カロリーを設定する(TDEE + 200〜500kcal)
筋肉を増やすには、消費カロリーを上回るカロリー摂取(オーバーカロリー)が必要です。
リーンバルクでは、算出したTDEEに**「+200〜500kcal」**を加えた数値を1日の目標摂取カロリーとします。
まずは+200kcalから始め、体の反応を見ながら調整していくのがおすすめです。
【ステップ2】最重要!リーンバルクの黄金PFCバランスを設定する
目標カロリーが決まったら、次はその「中身」であるPFCバランスを決めます。
これがリーンバルクの成功を左右する最も重要な要素です。
タンパク質(P):最優先で確保すべき栄養素 (体重×2g)
筋肉の材料であるタンパク質は、最優先で確保します。
体重1kgあたり2g(例:体重70kgなら140g)を目標に設定しましょう。
タンパク質は1gあたり4kcalです。
脂質(F):ホルモンバランスを保つ生命線 (総カロリーの20-25%)
脂質はホルモン生成や細胞膜の構成に不可欠です。
極端に減らすとコンディションを崩す原因になります。
目標摂取カロリーの20〜25%を脂質から摂取するように設定します。
脂質は1gあたり9kcalです。
炭水化物(C):トレーニングのエネルギー源 (残り全て)
タンパク質と脂質で設定したカロリーを、総摂取カロリーから引いた残りが炭水化物の摂取カロリーとなります。
炭水化物は1gあたり4kcalです。
【具体例】TDEEが2500kcalの人のPFC設定シミュレーション
体重70kg、TDEE2500kcalの人が+300kcalでリーンバルクを行う場合(目標2800kcal)
- タンパク質: 70kg × 2g = 140g (560kcal)
- 脂質: 2800kcal × 20% = 560kcal (約62g)
- 炭水化物: 2800 – 560 – 560 = 1680kcal (420g)
この場合、1日の目標はP:140g, F:62g, C:420gとなります。
【ステップ3】カロリーとPFCを満たす「最強の食材」を選ぶ
計算したPFCを、具体的にどの食材から摂取するかが重要です。
できるだけ加工度の低い、自然な食材(ホールフード)を選びましょう。
主食(複合炭水化物)を選ぶ
血糖値の上昇が緩やかで、エネルギーが持続しやすい複合炭水化物がおすすめです。
- オートミール、玄米、もち麦、全粒粉パスタ、そば、さつまいも、かぼちゃ
主菜(高タンパク・低脂質)を選ぶ
リーンバルクの主役です。
余計な脂質を含まない、良質なタンパク質源を選びましょう。
- 鶏むね肉、ささみ、牛ヒレ肉、牛もも肉、マグロ、カツオ、エビ、イカ、卵、カッテージチーズ、ギリシャヨーグルト
良質な脂質を摂取する
身体の炎症を抑え、コンディションを整える不飽和脂肪酸を積極的に摂りましょう。
- アボカド、アーモンド、くるみ、オリーブオイル、アマニ油、サバ、イワシ、サンマ
エピソード:ダーティバルクで自信を失った僕の再挑戦
大学時代、僕は「増量ならピザとラーメンだろ!」と信じて疑わないダーティバルク信者でした。
体重は増えましたが、ユニフォームの腹回りははち切れんばかり。
鏡に映る自分を見て自信を失い、筋トレのモチベーションも低下…。
社会人になり、この記事で解説されているPFC計算を学んでリーンバルクに再挑戦。
最初は面倒でしたが、数字が示す道筋は明確でした。
「何をどれだけ食べれば良いか」が分かると、食事はゲームのように楽しくなり、体の変化も明らかに違いました。
あの時の失敗があったからこそ、正しい知識の価値が分かります。
【ステップ4】真似するだけ!リーンバルク1日のモデル食事プラン
計算と食材選びが終わったら、いよいよ1日の食事プランに落とし込みます。
ここでは摂取カロリー3000kcalを目指す場合のモデルプランをご紹介します。
時間 | 食事 | メニュー例 | PFC目安 |
---|---|---|---|
7:00 | 朝食 | オートミール100g、プロテイン30g、卵2個、ミックスナッツ15g | P:45g, F:20g, C:70g |
10:00 | 間食1 | おにぎり2個(鮭・梅)、サラダチキン1個 | P:30g, F:5g, C:80g |
13:00 | 昼食 | 玄米250g、鶏むね肉200g(焼くor茹でる)、ブロッコリー、アボカド半分 | P:50g, F:15g, C:90g |
16:00 | 間食2 | バナナ2本、ギリシャヨーグルト1個 | P:15g, F:2g, C:55g |
19:00 | トレーニング | トレーニング中にカーボドリンク(マルトデキストリン50g) | P:0g, F:0g, C:50g |
21:00 | 夕食 | 玄米200g、サバの塩焼き1切れ、味噌汁、ほうれん草のおひたし | P:30g, F:20g, C:75g |
食事の回数を5〜6回に分けることで、血糖値を安定させ、タンパク質の吸収効率を高める効果が期待できます。
【ステップ5】体重と見た目の変化を記録し、微調整を繰り返す
計画を立てて実行したら、最後は評価と改善のフェーズです。
リーンバルクは一度で完璧な設定ができるわけではありません。
自分の体の反応を見ながら微調整を繰り返しましょう。
体重の増え幅は「1ヶ月に体重の1%」が理想
リーンバルクにおける理想的な体重の増加ペースは、1ヶ月あたり自分の体重の0.5%〜1%程度です。
体重70kgの人なら、月に350g〜700gの増加が目安。
これより早いペースだと、脂肪が増えすぎている可能性があります。
停滞したら:摂取カロリーを+100kcal増やす
1ヶ月続けても体重に変化が見られない場合は、体が現在の摂取カロリーに慣れてしまったサインです。
炭水化物の量を25g増やすなどして、総摂取カロリーを100kcal増やしてみましょう。
脂肪が増えすぎたら:摂取カロリーを-100kcal減らす or 有酸素運動を取り入れる
ペースが早すぎる場合は、摂取カロリーを100kcal減らすか、週に1〜2回、20分程度のウォーキングなどの軽い有酸素運動を取り入れて消費カロリーを少しだけ増やしてみましょう。
リーンバルクを成功に導くQ&A
最後に、リーンバルクに関するよくある疑問にお答えします。
Q1. リーンバルク中に間食はしても良いですか?
A1. むしろ、積極的にすべきです。
1日の摂取カロリーを2〜3食で摂ろうとすると、1食あたりの量が多くなりすぎて消化吸収の負担が大きくなります。
おにぎり、プロテイン、和菓子などを活用し、5〜6回に分けて栄養補給するのが理想です。
Q2. コンビニや外食でリーンバルクは可能ですか?
A2. 可能です。
コンビニなら、サラダチキン、おにぎり、ゆで卵、焼き魚などを組み合わせることでPFCバランスを調整できます。
外食なら、定食屋でご飯を大盛りにしたり、ステーキハウスで赤身肉を選ぶなど、工夫次第でリーンバルクを継続できます。
Q3. 女性でもリーンバルクはやるべきですか?
A3. メリハリのある美しいボディラインを目指す女性にこそ、リーンバルクはおすすめです。
ただ痩せるだけでなく、ヒップや背中などに筋肉をつけることで、引き締まった魅力的な身体を作ることができます。
カロリー設定を女性の体に合わせれば、基本的な考え方は全く同じです。
エピソード:鏡を見るのが楽しくなった日
リーンバルクを始めて3ヶ月。
体重は2kg増えた。
以前の僕なら「太った」と焦っていたかもしれない。
でも今は違う。
鏡に映る身体は、明らかに厚みを増した胸板と、丸みを帯びた肩、それでいて腹筋のラインは失われていない。
「これが、筋肉で増えるってことか…」
正しい知識に基づいて食事をコントロールし、トレーニングに励んだ結果が、確かにそこにあった。
数字と見た目の両方で成長を実感できる今、筋トレが楽しくて仕方がない。
まとめ:リーンバルクを制する者が、理想の身体への最短ルートを歩む
「ただのデブ」で終わらないための、正しいリーンバルク食事術をご紹介しました。
最初はカロリー計算やPFCバランスの設定が少し難しく感じるかもしれません。
しかし、一度その知識を身につけてしまえば、それはあなたの一生の財産となります。
リーンバルクとは、単なる増量法ではなく、自分の身体を科学的に理解し、自在にコントロールするための最強のメソッドです。
感覚に頼った無謀な増量から卒業し、知識という武器を手に、理想の身体への最短ルートを歩み始めましょう。