「ジムに通い始めて数ヶ月、全身法メニューにも慣れてきたけど…最近マンネリ化してきたな…」「上級者は『胸の日』『背中の日』って分けてるけど、自分もそろそろ分割法ってのを始めた方がいいんだろうか?」
「全身法だと、後半バテて全部の部位を追い込めない。もっと胸だけ、背中だけを集中して鍛えたい!」
筋トレ初心者を最短で脱出させてくれる「全身法ルーティン」。
しかし、トレーニングに慣れ、扱える重量が伸びてくると、誰もが必ず「次のステップ」に進むべきタイミングが訪れます。
それが、「全身法」から「分割法(スプリットルーティン)」への移行です。
「分割法」とは、その名の通り、「胸の日」「背中の日」「脚の日」というように、トレーニングする部位を曜日ごとに分割する上級者向けのテクニック。
しかし、いつまでも全身法を続けていても成長は鈍化しますし、かといって移行のタイミングを間違えれば、逆に回復が追いつかず停滞してしまいます。
この記事では、「全身法」と「分割法」のどちらが効果的なのか、そしてあなたが「全身法」を卒業し、「分割法」へ移行すべき「3つのサイン」を明確にします。
さらに、中級者へのステップアップに最適な「3分割法」の具体的な最強メニューも徹底解説。

この記事でわかること
- なぜ上級者は「分割法」をやるのか?全身法からの移行が必要になる理由
- あなたが「分割法」に移行すべきかどうかを見極める「3つのサイン」
- 中級者へのステップアップに最適な「3分割法(PPL)」の具体的なメニュー例
なぜ「全身法」から「分割法」へ移行する必要があるのか?
初心者のうちは、各部位を週に何度も刺激できる「全身法」が最強です。
しかし、あなたが成長するにつれて、そのメリットがデメリットに変わる時が来ます。
① 停滞期(プラトー)の訪れ
全身法に慣れ、筋肉もついてくると、1回のトレーニングで扱う「総重量」が飛躍的に増大します。
それなのに、脚、背中、胸…と全身を1日でやろうとすると、後半の種目ではエネルギーも集中力も切れ、どの部位も「中途半端」にしか追い込めなくなります。
結果、筋肉への刺激が足りなくなり、成長が鈍化する「停滞期(プラトー)」に陥るのです。
② 「トレーニングボリューム(総負荷量)」の限界
筋肥大に最も重要な要素は、「トレーニングボリューム(総負荷量)= 重量 × 回数 × セット数」を増やし続けることです。
全身法では、1部位あたり1〜2種目しか行えません。
しかし、分割法で「今日は胸だけ」と決めれば、胸の種目を4種目も5種目も集中して行うことができ、1部位あたりのトレーニングボリュームを爆発的に高めることができます。
これが、上級者が分割法を採用する最大の理由です。
③ 回復が追いつかなくなる
あなたが成長し、高重量を扱えるようになると、トレーニングによる筋肉へのダメージも深くなります。
筋肉の回復には48時間〜72時間(2〜3日)必要です。
全身法を週3回(月・水・金)で行うと、脚や胸の筋肉が「まだ回復しきっていない」のに、次のトレーニング日が来てしまう…という事態に陥ります。
これでは、筋肉は成長するどころか、疲労が蓄積し、怪我のリスクも高まります。
分割法は、各部位に「十分な休養(回復期間)」を与えるための、極めて合理的なシステムなのです。
「分割法」はいつから始めるべき?移行の「3つのサイン」
「じゃあ、自分はいつから?」と迷う人のために、明確な「移行のサイン」を3つご紹介します。
このうち2つ以上当てはまったら、あなたはもう全身法を卒業すべき時です。
サイン①:「全身法」での重量が伸び悩んできたら
これが最も分かりやすいサインです。
全身法メニュー(レッグプレス、ラットプルダウン、チェストプレス等)で、これまで順調に伸びていた使用重量が、ここ1ヶ月ほど全く伸びなくなった。
これは、現在のトレーニングボリュームでは、あなたの筋肉にとって刺激が「マンネリ化」している証拠です。
サイン②:各部位をもっと「追い込みたい」と感じたら
「全身法の最後、チェストプレスをやる頃にはもうヘトヘト。
本当はもっと胸をやりたいのに、力が入らない…」。
このように、特定の部位に対して「物足りなさ」や「もっと集中してやりたい」という欲求が出てきたら、それは分割法に移るべき強いサインです。
あなたの意識と体が、次のステージを求めています。
サイン③:週に「4日以上」トレーニング時間が確保できるようになったら
これが物理的なサインです。
全身法は、回復期間を考えると週3回が限界です。
しかし、あなたが「もっとジムに行きたい」「週4回、週5回通える」という環境にあるなら、分割法に移行する絶好のチャンス。
「週5日」なら、「胸」「背中」「脚」「肩」「腕」と、各部位をじっくりと鍛える「5分割」も可能になります。
「物足りなさ」がサインだった
僕は、ジムに入会してから3ヶ月間、教わった通りの「全身法」を週3回、忠実に守ってきました。
体重も5kg増え、体つきも明らかに変わりました。
しかし、4ヶ月目に入った頃から、異変を感じ始めます。
「今日も脚トレからか…」。
全身法は、必ずエネルギー消費の激しい脚から始まります。
そのせいで、僕が一番鍛えたい「胸」のトレーニング(チェストプレス)は、いつも最後の方。
脚トレと背中トレでヘトヘトになった後では、もう胸を全力で追い込む気力も体力も残っていませんでした。
「胸トレの日が欲しい…」。
この「物足りなさ」こそが、僕が全身法を卒業すべきサインだったのです。
翌週から、僕は「3分割法」を導入。
初めて「胸だけ」を1時間集中して追い込めた日の、あの強烈なパンプ感と達成感は、今でも忘れられません。
【基本の型】代表的な「分割法」の種類と特徴
分割法には、いくつかの代表的な「型」があります。
あなたのライフスタイル(週に何回通えるか)に合わせて選びましょう。
① 2分割法(上半身 / 下半身):週4回に最適
・Day1:上半身(胸、背中、肩、腕)
・Day2:下半身(脚、尻、腹筋)
・Day3:休養
・Day4:上半身
・Day5:下半身
・Day6, 7:休養
この方法なら、週4回のトレーニングで、全身の各部位を「週2回」ずつ鍛えることができ、非常に効率的です。
② 3分割法(押す / 引く / 脚):最も王道な分割
・Day1:PUSH(押す日)
・Day2:PULL(引く日)
・Day3:LEG(脚の日)
・Day4:休養
・Day5:PUSH(押す日)…と繰り返す。
これは、動作の関連性で分けるため、非常に合理的で人気の高い「PPL(Push/Pull/Legs)スプリット」と呼ばれる方法です。
中級者への移行に最適で、週3〜5回通える人に向いています。
③ 4分割・5分割法(部位ごと):上級者・ボディビルダー向け
・例(5分割):「胸の日」「背中の日」「脚の日」「肩の日」「腕の日」
1部位に対して徹底的にボリュームを稼ぐ、最もハードな分割法。
各部位の回復を待つと、1部位を鍛える頻度は「週1回」になりがちです。
1回のトレーニングでその部位を完全破壊できる、強靭な肉体と精神力を持つ上級者向けの分割法と言えます。
初心者卒業に最適!「3分割法」の最強ルーティン例
全身法を卒業するあなたに、最もおすすめしたいのが「3分割法(PPL)」です。
週3回(各部位を週1回)でも、週4〜5回(サイクルを早める)でも対応可能な、最強のテンプレメニューをご紹介します。
(各種目「10回×3セット」を目安に)
Day 1: 押す日(PUSH)- 胸・肩(前/横)・三頭筋
「押す」動作で使われる筋肉をまとめて鍛える日です。
1. 【胸】ベンチプレス(またはチェストプレスマシン)
2. 【胸】インクライン・ダンベルプレス
3. 【肩】ショルダープレス(マシンまたはダンベル)
4. 【肩】サイドレイズ(ダンベル)
5. 【三頭筋】ケーブル・プレスダウン
Day 2: 引く日(PULL)- 背中・肩(後)・二頭筋
「引く」動作で使われる筋肉をまとめて鍛える日です。
1. 【背中】デッドリフト(または懸垂 / ラットプルダウン)
2. 【背中】ダンベルローイング(またはシーテッドローマシン)
3. 【肩】フェイスプル(リアデルト)
4. 【二頭筋】アームカール(ダンベルまたはマシン)
Day 3: 脚の日(LEG)- 脚・尻・腹筋
最も過酷ですが、最も重要な「脚」を集中して鍛える日です。
1. 【脚】バーベルスクワット(またはレッグプレスマシン)
2. 【脚】レッグエクステンション
3. 【尻/もも裏】レッグカール
4. 【ふくらはぎ】カーフレイズ
5. 【腹筋】アブドミナルクランチ(マシン) / レッグレイズ
「2分割法」(上半身/下半身)がおすすめな人
「3分割は、1部位あたりの頻度が週1回になりそうで不安…」。
そんな人には「2分割法」がおすすめです。
週に3〜4回しか通えないが、各部位の頻度を「週2回」に保ちたい人
前述の通り、「上半身の日」と「下半身の日」を交互に行う2分割法。
例えば「月:上半身、火:下半身、水:休、木:上半身、金:下半身」というスケジュール。
これなら、忙しい人でも、全身の部位を「週2回」という高頻度で刺激し続けることができ、筋肥大の効率を最大化できます。
分割法で失敗しないための注意点
分割法は強力ですが、やり方を間違えると諸刃の剣になります。
最後に、失敗しないための注意点です。
詰め込みすぎて「オーバートレーニング」にならない
「胸の日だから」と、ベンチプレスを10セット、ダンベルフライを10セット…というように、過剰なボリューム(セット数)を組むのはNGです。
特に初心者のうちは、1部位あたり合計10〜15セット程度でも十分です。
回復できないほどのダメージは、成長に繋がりません。
「脚トレ」から逃げない
「3分割」を導入したトレーニーが、最もやりがちな失敗。
それは、キツすぎる「脚の日(LEG)」から逃げ、「今日は胸をやろう」「背中をやろう」と、上半身ばかり鍛えてしまうことです。
脚という最大の筋肉を鍛えなければ、全身の成長は望めません。
脚トレから逃げる者は、筋トレの成長から逃げる者です。
休養(回復)もトレーニングの一部と心得る
「分割法にしたから毎日ジムに行けるぞ!」と、PUSH→PULL→LEG→PUSH→PULL…と7日間休みなく続けるのは危険です。
筋肉は「休んでいる時」に成長します。
トレーニングで筋肉を破壊し、食事で栄養を送り込み、そして「休養」で回復させる。
この3つが揃って初めて筋肥大が起こることを忘れてはいけません。
必ず週に1〜2日は完全な休養日(オフ)を設けましょう。
「脚トレ」から逃げた僕の末路
3分割法を始めた僕は、人生で初めて「脚の日」を経験しました。
スクワットとレッグプレスで、脚は震え、翌日はまともに歩けないほどの筋肉痛。
「こんなの、週に1回もやってられるか…」。
僕は、その恐怖から逃げました。
「今日は脚の日だけど、疲れてるから胸にしよう」。
そうやって、脚トレをスキップし、上半身ばかり鍛える日々。
結果、どうなったか。
半年後、鏡に映っていたのは、上半身はそこそこ厚みがあるのに、脚だけが異様に細い、アンバランスで滑稽な「チキンレッグ」と呼ばれる姿でした。
「かっこ悪い…」。
僕は、一番大事な土台から逃げた代償を、鏡の前で思い知りました。
その日から、僕は心を入れ替え、ジムで一番最初にスクワットラックに向かうようになりました。
まとめ:「分割法」をマスターし、中級者トレーニーの仲間入りをしよう
「全身法」が筋トレの世界への「入門」だとすれば、「分割法」は、あなたの体を自在にデザインしていく「応用」であり、中級者への「登竜門」です。
最後に、重要なポイントをもう一度おさらいします。
- 移行のサイン:「重量が伸び悩んできた」「物足りなさを感じる」「週4日以上通える」。
これが、全身法を卒業する合図。 - 分割法のメリット:1部位あたりの「トレーニングボリューム」を最大化でき、各部位に十分な「回復期間」を与えられる。
- 最強の型:初心者卒業には「3分割法(PPL:押す/引く/脚)」が最も合理的でおすすめ。
- 注意点:「脚トレ」から逃げないこと。
そして「休養」もトレーニングの最も重要な一部であると知ること。
「全身法」で土台を作ったあなたなら、必ず「分割法」を使いこなせます。


